UVプリンターがなくても、
木にフルカラープリント。
小型DTFで5種類を試しました
木にフルカラーでプリントして販売している方の多くは、UVインクジェットプリンターを使っています。ただ、UVプリンターは安くないため、なかなか手が届かない方もいらっしゃいます。
そこで当社は2022年、小型DTFプリンターで、シナ・カツラ・シタン・コクタン・コルクの5種類にプリントしてみました。転写は家庭用アイロンです。この記事では、作り方とアイロンの条件、木材ごとの結果、水につけたときの様子、プリントできなかった素材までを、東京ショールームでの実演をもとにまとめます。白トナープリンタで木材に転写した白トナー版の記事との違いも比べます。
- 小型DTFプリンターなら、UVプリンターがなくても木に白を含むフルカラーでプリントできる。転写は家庭用アイロンでできた
- アイロンの条件は約150℃・5〜10秒、体重をかけてしっかり・向きを変えて2回。先に木の湿気を飛ばし、完全に冷めてから剥がす
- シナ・カツラ・シタン・コクタン・コルクの5種類すべてにプリントできた(コクタンは一部の転写が甘かった)
- 水につけてもにじみは見られなかった。ただし耐水性は「問題ないとは言い切れない」というのが当社の見方
- 写真のようなカラーボックスの板にはプリントできなかった。仕事にする前に、使う木材で必ずテストする
なぜ小型DTFで木にプリントするのか
当社では以前から、家庭用インクジェットプリンターで作る木材用パウダープリントという方法をご案内してきました。個人の方でも木にプリントできる方法ですが、動画では難点として次の2つを挙げています。
- 白の表現が難しい
- 水を含むとにじんでしまう(耐水性の課題)
小型DTFプリンターは、CMYKの上に白インクを重ねて印刷できます。白が出せることに加えて、耐水性がどうなるかも確かめるのが、この動画のねらいです。一般に木へのフルカラープリントはUVインクジェットプリンターが主流ですが、動画のテロップでは「この動画はUVインクジェットプリンタを買えない方向け」と伝えています。自分で木にプリントするための、新しい選択肢としての紹介です。

※当社の木材用パウダープリント(インクジェット)や、白トナープリンタでの木材転写については、木材にフルカラー転写する方法でも比べています。
フィルムの作り方(印刷・パウダー・ベイキング)
木に転写する前に、まず転写用のフィルムを作ります。ここまでの工程は、Tシャツにプリントするときと同じです。
| 工程 | やること(動画撮影時) |
|---|---|
| ① 印刷 | パソコンから専用のRIPソフトでデータを送り、フィルムをキャリーシート(撮影時は特許申請中)に付けて印刷。CMYKの上に白が乗る |
| ② パウダー | 印刷したフィルムにパウダー(粉)をまぶし、余分を落とす。テロップでは「印刷してから1時間以内くらい」に行う |
| ③ ベイキング | ホットプレートで3分ほど加熱してパウダーを溶かす。これでフィルムが完成 |




DTFプリンターは「白インクが詰まりやすい」と言われることがあり、動画撮影時(2022年)は当社でも改良を進めている最中でした。現在のA4機WIP754Rの商品ページでは、作業前のクリーニングは通常約100円・強力約200円、A4 1枚あたりの製作費は約167円(フィルム132円+インク35円)と案内しています。
※パウダーとベイキングの詳しいコツはDTFのパウダーとベイキング完全ガイドをご覧ください。
家庭用アイロンで木に転写する
できあがったフィルムを木に当てて、家庭用アイロンで転写します。手順は5種類の木材で共通です。
| 手順 | やること | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | アイロンを木に当てて、湿気を飛ばす | 木材は湿気があるとプリントが付きにくい |
| 2 | フィルムを木に合わせ、上にシリコン紙(リケイ紙)を重ねる | アイロンが直接フィルムに当たらないようにする |
| 3 | 約150℃で5〜10秒、体重をかけてしっかりプレス | 動画のアイロンでは、目盛りの中ほどで約150℃ |
| 4 | 向きを変えて、もう1回プレス(合計2回) | 全体にしっかり熱と圧力をかける |
| 5 | 完全に冷めてから、フィルムを剥がす | 熱いうちに剥がさない |

動画では、プレス機ではなく家庭用アイロンで転写しています。ポイントは「体重をかけてしっかり」「向きを変えて2回」です。
※動画で紹介している条件は、2022年の実演でのものです。DTFのプレス温度による仕上がりの違いはDTFのプレス温度の記事でも検証しています。
5種類の木材の結果
色の薄い木から、濃い色の木、表面がでこぼこしたコルクまで、5種類にプリントした結果です。
| 木材 | 結果 | 動画での様子 |
|---|---|---|
| シナ(薄い色・丸) | ○ | きれいにプリントできた |
| カツラ(丸) | ○ | プリントできた |
| コクタン(黒檀・濃い色) | ○ | 転写が甘い部分があったが、プリントできた |
| シタン(紫檀・濃い色) | ○ | 濃い色の木でも、白を含めてプリントできた |
| コルク(コースター) | ○ | 表面がでこぼこしたコルクにもプリントできた |



濃い色の木に白を含めてプリントできるのは、白インクを持つDTFならではです。家庭用インクジェットの木材用パウダープリントでは、濃い色の木は下地の色の影響を受けやすいことを、白トナー版の動画でも紹介しています。
※動画はプリント直後の仕上がりを見たもので、こすれや長期間の使用での耐久性は検証していません。
水につけるとどうなる?
家庭用インクジェットの木材用パウダープリントは、水を含むとにじむのが課題でした。そこで、プリントした5種類を水につけてみました。


結果は、にじみは見られませんでした。動画では「耐水性に問題がないとは言い切れないが、水の影響はかなり少ないのではないか」とまとめ、テロップで「本格的なテストはご自身で」と伝えています。コースターのように水がかかる商品にする場合は、実際の使い方に近い条件で確かめてください。
白トナー×Type-Cとの比較
当社は2020年に、白トナープリンタと抜ける転写紙Type-Cでも木材への転写を実演しています(白トナー版の記事)。2つの動画で分かったことを並べると、次のとおりです。同じ木材に刷り比べたものではないので、目安としてご覧ください。
| 項目 | 小型DTF(2022年の動画) | 白トナー×Type-C(2020年の動画) |
|---|---|---|
| 使う機械 | 小型DTFプリンター、ホットプレート(ベイキング)、家庭用アイロン | 白トナープリンタ、プレス機(マーク作りに必要)。転写は家庭用アイロンでも可 |
| マークの作り方 | 印刷→パウダー→ベイキング | 印刷→糊シートと合わせてプレス→熱いうちに剥がす |
| 木への転写条件 | 家庭用アイロンで約150℃・5〜10秒×2回、上にシリコン紙 | プレス機で110℃・15秒、上にヒートバリアマット、圧力は強くしすぎない |
| 剥がし方 | 完全に冷めてから | 冷めてから |
| 結果 | 5種類すべてプリントできた(コクタンは一部甘い)。カラーボックスの板は付かなかった | 5枚中4枚がきれいに転写。コーティングされたお盆の裏は付かなかった |
| 水につけた結果 | にじみは見られなかった(耐水性は断定せず) | 動画では検証していない |
| 本体価格(2026年10月時点) | A4機WIP754R 270,000円(税別) | 白トナープリンタWTRIP835 390,000円(税別) |
| 1枚あたりの材料費の目安 | A4で約167円(フィルム+インク、商品ページ) | Type-C A4 100枚セット37,950円(税込) |
どちらの方法でも、コーティングや印刷がされた表面には付きにくいという点は共通していました。違いは、マークの作り方と、日々の手入れです。DTFはインクジェットなので、白インクを使う以上定期的なクリーニングが必要です。白トナープリンタはトナーなので、インクのような詰まりのクリーニングはいりません。
すでに白トナープリンタで衣類のプリントをしている方なら、Type-Cを足すだけで木材を試せます。これから木材や革、水着など素材の幅を広げたい方には、小型DTFが選択肢になります。
※当社は白トナープリンタと小型DTFプリンターの両方を販売しています。比べ方の詳しい考え方は白トナープリンターとDTF、本当はどっち?もご覧ください。
向かないケースと注意点
5種類の木にはプリントできましたが、どんな素材にもできるわけではありません。動画では、もともとプリントが難しいと言われている素材として、写真のようなカラーボックスの板にも試しました。

そのほか、次の点にも気をつけてください。
- A4機はA4サイズまでのプリントです。大きな板や家具全体へのプリントには向きません。
- 耐水性・こすれ・屋外での使用・長期間の耐久性は検証していません。商品にする前に、使い方に合わせて確かめてください。
- DTFは白インクを使うため、作業前のクリーニングが必要です。たまにしか刷らない場合の考え方はDTFプリンターの運用の実際をご覧ください。
動画撮影時、当社はフィルムを無償サンプルとしてお送りし、ご自身のアイロンで、プリントしたい木材に試していただくご案内をしていました。データの持ち込みのご相談にも、できる限り対応しています。動画の最後では、大型のDTFプリンターはたくさん作るための機械で、扱いやすさでは小型に分がある、小型DTFはDIYやハンドメイドをする方に支持されるはず、と話しています。
※当社は小型DTFプリンター・白トナープリンタのメーカーで、木材の専門家ではありません。木材の名前は動画内の表記のとおりです。
よくある質問
- UVプリンターがなくても、木にフルカラーでプリントできますか?
- できる木材があります。当社が2022年に小型DTFプリンターで、シナ・カツラ・シタン・コクタン・コルクの5種類にプリントしたところ、5種類ともプリントできました(コクタンは一部の転写が甘い部分がありました)。ただし、写真のようなカラーボックスの板にはプリントできませんでした。
- 木にプリントするには、何が必要ですか?
- 動画で使ったのは、小型DTFプリンター(専用のフィルム・インク・パウダー)、パウダーを焼くホットプレート、家庭用アイロン、当て紙のシリコン紙(リケイ紙)です。2026年10月時点で、A4機WIP754Rは270,000円(税別)です。
- アイロンの温度と時間は?
- 動画の実演では、先にアイロンで木材の湿気を飛ばしてから、フィルムとシリコン紙を重ね、約150℃で5〜10秒、体重をかけてしっかりプレスし、向きを変えてもう1回プレスしました。完全に冷めてからフィルムを剥がします。アイロンの温度には個体差があります。
- どんな木でもプリントできますか?
- できない素材もあります。動画では、写真のようなカラーボックスの板にはプリントが付きませんでした。木材は種類が多く、表面の加工でも結果が変わります。動画でも「テストなしでいきなり仕事にするのは時期尚早」としています。
- 水に濡れても大丈夫ですか?
- プリントした5種類を水につけてみたところ、にじみは見られませんでした。ただし動画では「耐水性に問題がないとは言い切れない」としています。屋外での使用や長期間の耐久性は検証していないため、使い方に合わせてご自身でテストしてください。
- 白トナー×抜ける転写紙Type-Cと、どちらが向いていますか?
- どちらも木材に白を含むフルカラーで転写できます。白トナーは110℃・15秒のプレス、DTFは家庭用アイロンで約150℃・5〜10秒×2回と、条件が違います。衣類のプリントを中心に、メンテナンスを少なくしたいなら白トナー、木材や革など素材の幅を広げたいならDTF、というように刷りたいもので選ぶのがおすすめです。
この記事のもとになった動画
UVインクジェットプリンタが無くても木にプリントできる方法教えます 業者様向け小型DTFプリント講座(2022年12月公開。機種・価格は当時のもの)
プリントしたい木材で、まず試してみませんか
小型DTFの無料サンプルを受け付けています。東京・大阪・福井のショールームでは、
実機でのプリントもご覧いただけます(完全無料・要予約)。
※本記事の価格は2026年10月時点の情報です。プリントの条件・結果は動画公開時(2022年12月)の実演のものです。動画撮影時はA4機27万円・A3機40万円(税別)と紹介していました。現在のA4機はWIP754R(270,000円・税別)で、A3機は2026年7月からプリンター本体の販売を見合わせています。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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