後工程ガイド
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03 / PRESS

Tシャツプレスの基本

セッティング・圧力・プレス機2台の生産性

Tシャツプリントをする以上、プレス機を使う作業は必ず通る道です。
Tシャツを乗せて閉じるだけ——簡単そうに見えますが、ここにはっきりとしたコツがあります。今回はその基本的な考え方を整理します。

結論

プレスの基本は、下ゴテにTシャツをかぶせて「前身頃1枚だけ」をサンドすること。圧力と熱が1枚に集中し、転写が一番きれいに決まります。

圧力が足りないと、洗濯したときに落ちます。DTFでも同じです。温度・時間・圧力の3つが揃って、はじめてクレームのない仕上がりになります。

生産性を上げたいなら、プリンターを大型化する前にプレス機をもう1台。実測では1枚50.5秒のうち25秒が待ち時間でした。ここを消すだけで1.5倍から約2倍になります。

プレス機は、必ず通る道です

プレス機を使う作業はTシャツプリントで必ず通る道

白トナープリントでもDTFプリントでも、転写紙を作ったあとは必ずプレス機を通します。ここの精度が、そのまま仕上がりと歩留まりに直結します。

生産性を上げたいとき、多くの方はプリンターを大型化します

実はプレス機が2台あることで生産性が上がります

枚数が増えてくると、多くの方が「もっと速いプリンターに買い替えよう」と考えます。高額で大型な機種に変える方も少なくありません。ただ、実際に詰まっているのはプリンターではないことがほとんどです。

全7工程を実測したところ、総作業時間は2時間56分59秒。そのうち後工程が88.6%を占めていました。前工程(印刷・糊付け)はわずか11.4%です。

数字で見ると

仮に印刷と糊付けをゼロにしても、全体は約11%しか縮まりません。

だから、数十万円かけてプリンターを買い替える前にプレス機をもう1台——という判断になります。

区分実測時間構成比1枚あたり
前工程(印刷・ペイスター)20:1411.4%32.0秒
後工程(周辺カット〜仕上げ)2:36:4588.6%197.3秒
後工程 ÷ 前工程約7.7倍約6.2倍

※ 前工程は38枚、後工程は50枚での計測。同一ロットを通した実測ではないため、「1枚あたり」は枚数で割り戻した参考値です。


PART 1

第1部 プレス機でのセッティング方法

Tシャツをプレス機にセットする

基本は「下ゴテにかぶせる」。置くのではありません

下ゴテにTシャツをかぶせてセットする
生地1枚をサンドする:圧力と熱が前身頃1枚に集中
◎ 下ゴテにかぶせる
上ゴテ→転写シート→前身頃1枚→下ゴテ。後身頃は下ゴテの裏へ回ります。
圧力と熱が前身頃1枚に集中。2枚重ねにならないので、転写が一番きれいに決まります。
下ゴテの上にポンと置く:悪くはないが、ベストではない
△ 広げたまま上に置く
前身頃と後身頃の生地2枚が挟まった状態になります。
悪くはないが、ベストではない。縫い目の段差と、後ろ生地に取られる圧力・熱に注意が必要です。

かぶせる理由は、3つあります

01

圧力と熱が1枚に集中する

生地が2枚重ねだと、圧も熱も後ろの生地に取られます。1枚だけなら、かけた分がそのまま転写に効きます。

02

裏の生地まで糊が突き抜けない

かぶせずにプレスすると、裏の生地まで糊が突き抜けます。前身頃と後身頃がくっついてしまう原因です。

03

後ろのシワが邪魔をしない

後ろの生地にシワが出ていると、それが段差になって前面の圧力を乱します。かぶせれば、そもそも挟まりません。

まとめると。下ゴテにTシャツを被せた方が、しっかり圧力がかかり、定着が良好になります。

プリントしたい場所に、段差がないかを見る

プリントしたい場所に折り目やリブの段差がどうあるか

Tシャツには、折り目・リブ(襟)・縫い目・袖の折りなど、厚みの違う部分があります。この段差がプレス面に入ると、そこだけ圧が集中し、周りは圧が足りなくなります。

生地の段差がどこにあり、どう避けるかを考える

胸の高い位置にプリントする場合は襟ぐりのリブが、袖にプリントする場合は袖の折り返しが、それぞれプレス面に入り込んできます。セット前にプリント範囲に段差が入っていないかを確認する。この数秒が、失敗した1枚を防ぎます。

段差を解消する道具

① ラバースポンジマット ── Tシャツの中に入れて段差を逃がす

ラバースポンジマット M・L・XL

Tシャツの中(前身頃と後身頃の間)に入れて、プレスしたい面を持ち上げます。ゴールは「段差がなく、一枚の布地だけがフラット」な状態です。

サイズ寸法適した用紙商品コード価格(税込)
M22×32cmA4サイズの用紙に最適R-MATM2,090円
L32×44cmA3サイズの用紙に最適R-MATL4,180円
XL40×50cmR-MATXL5,610円

ラバースポンジマットの商品ページ

② プレス機用 段差マット ── 圧力が均等にならないときに

プレス機用段差マット MATA3

適度な硬さがあるタイプです。プレス機の圧力が均等にならないときにお使いください。

商品サイズ厚み商品コード価格(税込)
プレス機用 段差マット460×350mm約6mmMATA38,800円

※ プレス機は商品に含まれません。

プレス機用 段差マットの商品ページ

③ ラバークッション ── しっかり段差を解消したいときに

ラバークッション 厚さ8mm

厚さ8mmのしっかりした弾力で段差を吸収します。パーカーやTシャツの中に差し込み、フードや縫い目の段差を解消するのに向いています。プレス機の台に敷いて下敷きとしても使えます。

サイズ商品コード価格(税込)合わせているプレス機
40×50cmR-CSN8,800円
38×38cmR-CSN386,600円
38×29cmR-CSN295,500円JL-PL002A/JL-PL002B/JL-PL003A/JL-PL003B 用の交換下ゴテに合わせたサイズ
15.5×15.5cmR-CSN151,650円JL-CO003A 2in1プレスに合わせたサイズ
16×9cmR-CSN161,100円JL-CA001B マーキングプレスに合わせたサイズ。袖やポケットなどのワンポイントのプレスに便利
クイックアートオリジナルプレス機には最初から付属しています。上記は同じ材質の交換用です。傷んだりへたりが出てきたら交換してください。へたったマットを使い続けると、圧が逃げて転写が甘くなります。

ラバークッションの商品ページ

④ 下ゴテに被せられない場所は、小型プレス機という手も

JL-CA001BⅡ マーキングプレス機

袖のように、そもそも下ゴテに被せることが難しい場所があります。無理にセットすると段差との戦いになり、時間もかかります。そういう場所は下ゴテが小さいプレス機を使うのが早いです。

商品商品コード価格(税込)備考
JL-CA001BⅡ マーキングプレス機JL-CA001B265,560円送料:北海道・沖縄以外 +1,760円

セッティングの目的は、すべて「圧力」です このページの核心

しっかり圧力をかける

ここまでの「かぶせる」「段差を避ける」は、すべてしっかり圧力をかけるためにやっています。生地をかぶせるのも、圧力をきちんとかけるためです。

圧力が足りないと、洗濯したときに落ちます。DTFでも同じです。
プレスした直後は、圧力が足りていても見た目は変わりません。差が出るのは、お客様が洗濯したあとです。

「フワッと押しただけ」は、圧力がかかっていません

プレス機を閉じても、フワッと押した状態では緩く、上に乗っているだけです。これでは圧力はかかっていません。

SNSで見かける「軽く押すだけ」のプレス動画には注意してください。
DTFが主流になるなかで、そうした動画が数多く出回っています。手軽そうに見えますが、あの押し方では圧力が足りず、洗濯で落ちます。
※ 動画内での見解です。

海外製の小型プレス機を使っている方も増えています。ただ、機種によっては強い圧力をかけられない構造のものがあります。強い圧力をかけるには、それができるプレス機が必要です。

圧力をかけられるプレス機を選ぶ

JL-PL003BⅡ 平板スウィング式Wide プレス機

スウィングするタイプのプレス機がおすすめです。上ゴテが横にスライドして開くため、しっかり圧力をかけられ、圧のかかり方も均一になります。

商品商品コード価格(税込)備考
JL-PL003BⅡ 平板スウィング式Wide プレス機JL-PL003B2184,140円送料:北海道・沖縄以外 +8,140円

剥がすのは、冷ましてから

基本の手順

しっかり圧力をかける → ある程度冷ます → 剥がす

温度・時間・圧力——この3つをきちんとかけることで、クレームのない仕上がりになります。


PART 2

第2部 プレス機2台だとどうなるか

プレス機2台での作業

多くの現場では、作業者1人に対してプレス機1台です。2台にすべきかどうかの判断材料は、ひとつだけ。「限られた時間で生産枚数を増やしたいか」——これに尽きます。

1台だと、プレス機が閉じている間は作業者が待つしかありません。2台あれば、1台目がプレスしている間に2台目へ次の1枚をセットできます。終わったら開けて横に置き、次を持ってくる。待ち時間がそのまま作業時間に変わります。

1.5
プレス時間が短い場合
約2
プレス時間が長い場合
1人でも
もう1台置くだけで効く

1人でも、プレス機をもう1台置くだけで生産性が上がります。プレス時間が短く終わる転写紙でも1.5倍、時間のかかるものなら約2倍。作業時間はほぼ半分になります。

なぜ半分になるのか ── 実測すると理由がはっきりします

50枚を実測したときのプレス工程は42分04秒、1枚あたり50.5秒でした。
このときのプレス時間そのものは25秒です。つまり——

1枚50.5秒の内訳

プレス時間 25秒 + 着脱・待機 約25秒

半分が、機械が閉じているのを人が待っている時間でした。

プレス機が2台あれば、この待ち時間に次の1枚をセットできます。1台目が25秒かけて圧着している間に、2台目の着脱を済ませてしまう。すると1枚あたりのサイクルは50.5秒から約25秒へ——ちょうど半分になります。

条件プレス機1台プレス機2台効果
プレス25秒(実測)50.5秒/枚約25秒/枚約2倍
プレス時間が短い転写紙約40秒/枚約25秒/枚約1.5倍
プレス時間が長いものほど、2台にした効果が大きくなります。着脱の時間(約25秒)は変わらないので、圧着に時間がかかる転写紙ほど「待っている時間」が長く、そこを丸ごと消せるからです。

作業者と台数の組み合わせ

作業者と台数の組み合わせ表

Tシャツ50枚の所要時間の目安/1人が扱えるのは2台まで

プレス機1人2人3人
1台50分50分50分
2台25分25分25分
3台25分17分17分
4台25分13分13分
5台25分13分10分
6台25分13分8分

ちょうどいい組み合わせ / グレー=台数か人数のどちらかが余っている

01

1人なら「2台まで」

1人の作業者が同時に扱えるのは2台までです。3台目を置いても、1人では25分のまま変わりません(表のグレー部分)。台数を増やすなら人も増やす——この組み合わせがセットになっています。

02

一番効くのは「1台目→2台目」

50分が25分。ここだけが半分になります。2人4台にしても13分で、そこからは伸びが鈍っていきます。追加投資1台あたりの効果は、最初の1台が圧倒的に大きいということです。

費用対効果で考えると。プレス機1台の追加で50枚あたり25分が浮きます。数十万円のプリンター買い替えと比べたとき、どちらが先に効くか——判断の材料にしてください。

※ セットにかかる時間もプレス時間も、作業者・転写紙・デザインによって変わります。上の表はおおよその目安としてご覧ください。実測では1枚あたり50.5秒(うちプレス時間25秒)でした。


まとめ

仕上げプレスは、基本した方がいいです

仕上げプレスは基本した方がいいです

転写紙を剥がしたあと、もう一度プレスする「仕上げプレス」。ひと手間増えますが、やった方がいいです。理由は、耐久性が上がり、洗濯に強くなるからです。そして業者としては、そこがそのままリピート受注につながります。作った直後の見た目は同じでも、10回洗ったあとで差が出ます。

→ 洗濯前後の見え方は「洗濯前と洗濯後の比較」(making_point_wash.html)で実物の写真を掲載しています。

プレス機の構造で、圧力のかかり方が変わります

意外と知られていませんが、プレス機は構造によって圧のかかり方が違います。同じ温度・同じ時間で設定していても、仕上がりに差が出る原因がここにあります。

横にスライドするタイプは圧力が全体的に均一
◎ 横にスライドするタイプ
上ゴテが水平を保ったまま下りてくるため、プレス面の全体に均等に圧がかかります。
あおりタイプは奥が強く手前が弱い
△ あおり式(ヒンジ開閉)
奥のヒンジを支点に閉じるため、奥が強く、手前が弱くなります。同じ設定でも、手前ほど圧が足りず転写が甘くなります。
あおり式をお使いの場合は、プリント位置を奥寄りにセットする手前の圧不足を前提に確認する——といった対応が必要になります。

自動プレス機なら、上から垂直に落ちるタイプ

自動プレス機でも上から垂直に落ちるタイプのほうがスペック良好

自動プレス機を検討する場合も同じ考え方です。上ゴテが垂直に下りてくるタイプの方が、圧が均一にかかります。カタログの温度や時間だけでなく、「どう閉じるか」を見てください。

構造圧のかかり方注意点
横スライド(スウィング)式全体に均一
あおり式(ヒンジ開閉)奥が強く手前が弱い手前ほど転写が甘くなりやすい
自動・垂直落下式均一

当社の熱プレス機一覧

このページのまとめ

  1. 下ゴテにかぶせて、前身頃1枚だけをサンドする(圧力と熱が集中/糊が裏に抜けない/後ろのシワが邪魔しない)
  2. プリント範囲に段差が入っていないか、セット前に確認する
  3. 段差はマットで逃がすか、小型プレス機に持ち替える
  4. 圧力が足りないと洗濯で落ちる。フワッと押しただけでは圧力はかかっていない
  5. しっかり圧力をかけ、ある程度冷ましてから剥がす
  6. 仕上げプレスで耐久性が上がり、洗濯に強くなる=リピートにつながる
  7. プレス機2台で生産性が1.5倍〜約2倍(50枚のプレスが50分→25分)
  8. プレス機の構造によって圧のかかり方が違う。あおり式は奥が強く手前が弱い

よくある質問

Tシャツは下ゴテに「置く」のではだめですか?

悪くはありませんが、ベストではありません。置くだけだと前身頃と後身頃の2枚が重なった状態でプレスすることになり、圧力と熱が後ろの生地に取られます。また、裏の生地まで糊が突き抜けることがあります。かぶせて1枚だけをサンドする状態が、転写が一番きれいに決まります。

プレスしたのに、洗濯すると絵柄が落ちてしまいます

圧力が足りていない可能性が高いです。プレス機を閉じても、フワッと押した状態では上に乗っているだけで、圧力はかかっていません。DTFでも同じです。強い圧力をかけられるプレス機かどうか、あわせてご確認ください。

ラバースポンジマット・段差マット・ラバークッション、どれを買えばいいですか?

身頃のプリントで襟や縫い目の段差を逃がしたいならラバースポンジマット(用紙サイズに合わせてM=A4向け/L=A3向け)。プレス機の圧力が均等にならないときは段差マット。パーカーのフードなど厚い段差をしっかり解消したいときはラバークッション(厚さ8mm)です。

袖にプリントしたいのですが、うまくいきません

袖の折り返しが段差になっているのが原因です。マットで逃がすか、下ゴテの小さいマーキングプレス機を使うと確実です。

剥がすのは熱いうちですか、冷めてからですか?

しっかり圧力をかけたあと、ある程度冷ましてから剥がすのが基本です。※ 転写紙ごとに指定が異なる場合は、その一覧をご指定ください。

仕上げプレスは省略してもいいですか?

おすすめしません。作った直後の見た目は変わりませんが、洗濯を重ねたときの耐久性に差が出ます。納品後の評価に直結する部分です。

プレスの手前側だけ転写が甘くなります

あおり式のプレス機をお使いではないでしょうか。あおり式は奥のヒンジを支点に閉じるため、構造上どうしても手前の圧が弱くなります。プリント位置を奥寄りにするか、圧の均一なスウィング式への入れ替えをご検討ください。

生産性を上げたいのですが、プリンターを買い替えるべきですか?

まず後工程を見てください。実測すると、総作業2時間57分のうち88.6%が後工程で、前工程の約7.7倍でした。仮に印刷と糊付けをゼロにしても全体は約11%しか縮まりません。プレス機をもう1台置くだけで、生産性は1.5倍から約2倍になります。プリンターの買い替えより先に効く可能性が高いです。

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