DTFのプレス温度で
転写・洗濯強度はどう変わる?
100〜180℃で比較しました
DTFのフィルムは、結局何℃で何秒プレスすればよいのか。展示会などで聞いても、答えは120℃から150℃、0秒でよいものから20秒のもの、熱いうちに剥がすもの、冷めてから剥がすもの…と、会社ごとにばらばらです。
そこで当社では、小型DTF(WIPシリーズ)のインク・フィルム・パウダーを使い、100℃・120℃・135℃・150℃・180℃で綿とポリエステルにプレスして、剥がし方の違いと洗濯後の剥がれまで比べました。この記事では、その結果と、温度より先に気をつけたい圧力・素材・シリコン紙の注意点をまとめます。
- DTFのプレス温度・時間は、インク・フィルム・パウダーの組み合わせでメーカーごとに違います。この記事の数字は当社WIPシリーズの資材での結果です
- 温度より先に大事なのは圧力。アイロンでさっと押さえる程度では、フィルムにイラストが残ったり、後で剥がれたりします
- 綿は135℃以上(140〜145℃くらいが無難)。100℃はもちろん、120℃でも剥がすときに細い部分が欠けました
- ポリエステルは125〜135℃程度。120℃でもきれいに転写できましたが、100℃は転写・洗濯とも不良でした。高温はプレス跡やブリード(再昇華)のリスクがあります
- 180℃でも付きは良好でしたが、インク変色の可能性が見られました。仕上げプレスまで定着が完了していれば、洗濯には強いという結果です
DTFのプレス条件が会社ごとに違う理由
小型DTFでTシャツを作るときは、印刷のあとにパウダーを付ける・ベイキングをする・Tシャツにプレスするの3つの作業があります。大型の自動機ではパウダーとベイキングを機械がやってくれますが、フィルムをTシャツに合わせて熱プレス機でプレスする作業は、大型・小型どのDTFでも同じです。
ところが、そのプレスの温度と時間は会社によって答えが違います。理由のひとつは、DTFプリンターはプリンターメーカーの範疇、フィルムとパウダーは販売店や資材メーカーの範疇と、責任の範囲が分かれているケースがあることです。温度・秒数・剥がすまでの時間など、色々な特徴が会社ごとに違うので、ユーザーにとっては「結局何℃で何秒なのか」が分かりにくくなっています。
今回の検証も、当社WIPシリーズのインク・フィルム・パウダーでの結果です。インクもフィルムもパウダーも会社ごとに違うので、すべてのDTFに当てはまるものではありません。お使いの資材の説明書を基本にして、この記事は「温度を変えると何が起きるか」を知る参考にしてください。
※パウダーの付け方・ベイキングの温度はDTFのパウダーとベイキング完全ガイドにまとめています。
温度より先に:圧力と、プリントしづらい素材
注意点1:しっかり圧力をかけてプレスする
DTFでいちばん気をつけたいのは、熱プレス機の圧力をしっかりかけることです。圧力が弱いと、イラストがうまく転写されず、フィルムにイラストが残ってしまいます(特に細かいイラストのとき)。
SNSでは、主に海外のアカウントで、家庭用アイロンで「さらっと」押してすぐに剥がし、きれいにできているような動画をよく見かけます。動画では、これを「行き過ぎた表現」と話しています。家庭用アイロンでもプレス自体はできますが、さらっとかける程度では転写不良になり、最初の剥がれにつながります。動画では、撮影に使ったスウィング式の熱プレス機を示しながら、圧力ムラがなく、しっかり重くかけられることが必要だと話しています。
注意点2:どんな素材でも簡単にできるわけではない
DTFは「ほとんどの繊維素材にプリントできる」と案内されることが多く、当社も反省している点だと動画では話しています。プリントできても、条件がある素材や難しい素材があります。
- キャンバス生地(トートバッグなど):硬くて厚みがあり、細いイラストは転写しづらくなります。剥がれが起きるのは、たいてい圧力が弱いときです。圧力と温度をしっかりかけてください(DTFでのバッグへのプリントも参考になります)。スウェットのような柔らかくて厚みのある生地は、DTFで問題を感じることはあまりないそうです
- ナイロン生地:転写はできますが、洗濯を重ねると剥がれや欠けの原因になります。これはDTFに限らず熱転写全般の話です

ナイロン生地は、生地そのものの洗濯表示も多くが手洗い推奨です。そのため動画では、ナイロンにプリントしたものは「洗濯非推奨」として販売するのが良いと話しています。大量生産のプリント工場の中には、ナイロンにはDTFを使っていないところもあると聞いた、とも紹介しています。DTFは洗濯に強いという情報が多いですが、ナイロンでは同じように考えず、お客様にも説明したうえで販売してください。
検証の条件と、推奨値でのプレス
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 資材 | 当社WIPシリーズのインク・フィルム・パウダー(動画は小型DTF A3機の発売記念。A4機との違いは少ないと説明しています) |
| プレス時間 | 一般的にDTFは15秒ほどのプレスが多いので、15秒で統一 |
| 温度 | 100℃・120℃・135℃・150℃・180℃(推奨値の確認は130℃) |
| 剥がし方 | プレス直後に剥がす(0秒剥がし=ホットピール)と、1分ほど冷ましてから剥がす、の2通り |
| 生地 | United Athleの綿Tシャツ(グレーでの転写テストは5001-01)とポリエステルTシャツ(5089-01)。洗濯テストは黒の綿・ポリエステル |
| 洗濯 | 約5日間かけて5〜6回洗濯(動画内のテロップには「5回」「6回」の両方の表記があります) |
温度の考え方は、低いとパウダーが溶けにくく定着しづらい、高いと定着しやすいです。ただし温度が高いと、生地のプレス跡や、ポリエステルのブリード(再昇華。生地の染料がにじみ出る現象)の影響が出ます。


130℃・15秒、1分冷ましてから剥がす(推奨値)
まず推奨値どおり、綿のTシャツに130℃・15秒でプレスし、1分ほど冷ましてから剥がしました。剥がしたフィルムにイラストの残りはなく、細かいデザインもきちんと転写できています。このあと仕上げプレスをして完成です。

135℃・15秒で、すぐ剥がすと?
次に、135℃・15秒でプレスしてすぐに剥がしてみました。意外とスムーズに柔らかく剥がせ、フィルムにも残りはなく転写できました。ただ、少し浮いたような感じがあり、やはり仕上げプレスをしたほうが良い状態です。動画では、DTFは基本的に再プレス(仕上げプレス)をしたほうが良いと説明しています。生地との定着が、目で見て確認できないところで甘い場合があり、甘いと洗濯でイラストが剥がれるためです。
今回は小さなデザインでのテストです。A3のような大きなイラストを、プレス直後に一気に剥がして全部きれいにできるかは、イラストによって変わります。最終的に仕上げプレス(15秒)をすれば良いので、剥がすまでの時間は、ご自身で試して好みで決めて良いというのが動画の結論です。基本は少し冷ましてからのほうが無難です。
温度別の転写結果(100℃・180℃・120℃)
100℃:フィルム残りが出る。意外にもホットピールのほうがまし
極端に下げた100℃・15秒で、すぐ剥がすものと1分冷まして剥がすものを比べました。すぐ剥がしたほうは、思ったより付いてはいるものの、何か所かフィルムにイラストが残りました。

1分冷ましてから剥がしたほうは、さらに付きが悪く、イラストがフィルム側に大きく取られてしまいました。低温の場合は、ホットピール(すぐ剥がす)のほうが転写は良好という、意外な結果です。いずれにしても、低温のプレスに基本的にメリットはありません。

180℃:付きは非常に良い。ただしインク変色の可能性
極端に上げた180℃・15秒では、すぐ剥がしたものも、1分冷ましてから剥がしたものも、フィルムはすっと剥がれ、付きも非常に良好でした。動画では、綿の場合は135℃より少し高め(150℃くらい)のほうが良いかもしれない、と話しています。

一方、洗濯テスト用に黒の綿・ポリエステルに180℃でプレスしたものは、黒い部分に少し影響が見られました。パウダーが出てきたような見え方で、インクが変色している可能性があります。高温は、生地へのダメージも含めて影響が出るおそれがあります。
120℃:綿は剥がすときに欠け、ポリエステルはきれい
途中経過として、120℃で綿の生地から剥がそうとしたときに、細い部分に欠けが出ました。温度が少し低いだけでも、転写に影響があります。一方、ポリエステル生地は120℃でもきれいに転写できました。生地の表面が平らなので、ポリエステルのほうが転写しやすいようです。

ポリエステルを100℃でプレスしたものは、1分冷まして剥がすと、やはりフィルムにイラストが残りました。ポリエステルでも100℃は難しいという結果です。

| 温度(15秒) | 綿 | ポリエステル |
|---|---|---|
| 100℃ | フィルム残りあり。冷ましてから剥がすとさらに悪い | フィルム残りあり |
| 120℃ | 剥がすときに細い部分が少し欠けた | きれいに転写できた |
| 130〜135℃ | 問題なし(すぐ剥がしても1分冷ましてもOK) | 問題なし |
| 150℃ | 問題なし | 問題なし |
| 180℃ | 付きは非常に良いが、インク変色の可能性 | 付きは良いが、インク変色の可能性 |
※動画の検証結果を当社でまとめた表です。プレス機は、表示温度と実際の温度に−5℃や−10℃の差がある場合があります。
洗濯後の結果:綿とポリエステル
黒の綿とポリエステルのTシャツに、100℃・120℃・135℃・150℃・180℃でプリントし、5日ほどかけて洗濯を重ねてから比べました。

綿:低温は洗濯で剥がれる。135℃以上で
- 100℃:洗濯後に剥がれが出ました。低温でプレスすると、洗濯の影響を受けやすくなります
- 120℃:洗濯での剥がれは見当たりませんでしたが、転写のときに欠けが出ていたので、おすすめしません
- 135℃:問題なし。案内は135℃ですが、140℃くらいでも大丈夫です
- 150℃・180℃:高くても洗濯の問題はありませんでしたが、高すぎると生地のダメージやインクの変化など、色々な影響が出るかもしれません

動画のテロップでは「低温×綿生地のDTFは相性が悪い。135℃以上の温度でプレスしましょう」とまとめています。プレス機によっては表示温度と実際の温度に差があることも考えると、綿は140〜145℃くらいでプレスしたほうが無難です。
ポリエステル:100℃は定着不良、130℃付近で十分
- 100℃:プリントはできていましたが、洗濯後に定着不良が出ました。低すぎます
- 120℃:綿と比べると損傷は少なく、定着・洗濯強度はありそうです。転写は綿よりポリエステルのほうが簡単です
- 135℃:130℃付近でプレスすれば十分です
- 150℃・180℃:今回の生地(United Athle 5089-01)ではブリードは起きませんでした。ただしこの生地がたまたまブリードに強いだけで、一般的には150℃を超えるとブリードが起きる可能性が高くなります(140℃などでも起きることがあります)

洗濯の結果は、綿もポリエステルも、転写のときにうまく付かなかったものはそのまま洗濯の影響を受け、きちんと転写できたものは影響を受けていない、という傾向でした。動画では「当社のDTFプリントは、仕上げまでの定着が完了していれば洗濯強度はある」とまとめています。
※白トナーの抜ける転写紙での洗濯の比較は洗濯堅牢度の記事にまとめています。
まとめ:素材別の温度の目安
| 素材 | 温度の目安(15秒) | 理由・注意点 |
|---|---|---|
| 綿 | 135℃以上(140〜145℃くらいが無難) | 低温だと剥がすときの欠けや、洗濯での剥がれが出やすい。プレス機の表示温度との差も考えて少し高めに |
| ポリエステル | 125〜135℃程度(130℃近辺) | 120℃でも転写できたが、100℃は不良。高温はプレス跡やブリード(再昇華)のリスクがある |
| 共通 | 15秒プレス → 剥がす → 仕上げプレス | 剥がすまでの時間は試して好みで。フィルムの上にはシリコン紙を敷く。しっかり圧力をかける |
動画の最後は、「プレス圧を高めて、綿・ポリエステルで若干温度調整を行ってください」という言葉で締めくくっています。2026年10月時点の当社のA3機の製品ページでも、この検証のまとめとして、綿は135℃以上が望ましい、ポリエステルは130℃前後を推奨、仕上げプレスは基本的に必須で、行うことで洗濯耐久性が向上すると案内しています。
注意点
白トナー(抜ける転写紙)のプレス温度は、DTFとは条件が違います。白トナーの温度と時間は白トナープリントのプレス温度と時間にまとめています。
よくある質問
- DTFのフィルムは何℃・何秒でプレスすればよいですか?
- インク・フィルム・パウダーの組み合わせでメーカーごとに違うため、使っている資材の説明に従うのが基本です。当社の小型DTF(WIPシリーズ)の資材では、動画撮影時(2026年2月公開)の推奨値が約130℃・15秒、プレス後に1分ほど冷ましてから剥がす、でした。温度を変えて比べた結果、綿は135℃以上(140〜145℃くらいが無難)、ポリエステルはプレス跡やブリードを考えて125〜135℃程度が目安です。
- 温度が低いとどうなりますか?
- パウダーが十分に溶けず、フィルムにイラストが残る転写不良が起きます。100℃では綿・ポリエステルともフィルム残りが出て、5〜6回洗濯した後は剥がれや定着不良が見られました。綿は120℃でも、剥がすときに細い部分が少し欠けました。
- 温度を高くすればするほど、よく付きますか?
- 180℃でも転写と洗濯の結果に大きな問題はありませんでしたが、インクが変色した可能性が見られました。生地へのダメージや、ポリエステルの色がにじむブリード(再昇華。150℃を超えると起きやすくなる)も心配なので、高すぎる温度はおすすめしません。
- 熱いうちに剥がしても大丈夫ですか?
- 135℃・15秒でプレスした直後に剥がしても、意外とスムーズに剥がせて転写できました。ただし生地との定着が目で見えないところで甘い場合があり、甘いと洗濯でイラストが剥がれるので、仕上げプレスが必要です。A3の大きなデザインなどは、ご自身で試してから決めてください。
- アイロンでもDTFのフィルムを転写できますか?
- おすすめしません。DTFはしっかり圧力をかけてプレスする必要があり、アイロンでさっと押さえる程度では転写不良や、後の剥がれにつながります。圧力ムラが少なく、しっかり重くかけられる熱プレス機を使ってください。
- 仕上げプレスは必要ですか?
- 当社の製品ページでは、仕上げプレスは基本的に必須で、行うことで洗濯耐久性が向上すると案内しています。フィルムを剥がしたあと、もう一度プレスすると生地になじみます。
この記事のもとになった動画
【比較検証】DTFのプレス温度による転写・洗濯強度の違いと注意点について(2026年2月公開)
※動画内で紹介しているA3機(35万円)は、2026年7月からプリンターの販売を見合わせています。2026年10月時点で販売中のA4機 WIP754Rは270,000円(税別)/297,000円(税込)です。
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東京・大阪・福井のショールームで、小型DTFのプレスから仕上げまでをご覧いただけます。
綿・ポリエステルへの仕上がりを確かめられる無料サンプルも受け付けています。
※本記事の価格・仕様は2026年10月時点の情報です。温度・時間は当社WIPシリーズの資材での検証結果で、ほかのDTFには当てはまらない場合があります。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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