後工程ガイド
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02 / POSITION

プリント位置決め 完全マニュアル

初級 L字定規/中級 レーザー/上級 プロジェクター

Tシャツ50枚を作って計測したとき、位置決めだけで約50分かかっていました。全工程で最も長い時間です。
数枚なら気にならない工程ですが、50枚100枚となると、それがそのまま作業時間とミスの数になって返ってきます。予算と枚数に応じた3つのやり方を、実際に全部試したうえでまとめました。

結論

枚数が少ないならL字定規2本(約700円)。繰り返すなら墨出し器の十字レーザー(5,000円以内)。サイズ違いや変則配置が多いならプロジェクター+グリッド投影

そしてどの方法でも、マスキングテープで留めるひと手間を入れるだけで1枚1分が30〜40秒になります。

50:29
50枚の位置決め(実測)
60.6
1枚あたり
28.5%
全工程で最長
1分 → 30〜40秒
マスキングテープで短縮

※ 全7工程の実測(総作業2時間56分59秒)における位置決めの数値です。7工程のうち最も長く、次に長い「プレス」と合わせると全体の52.3%を占めていました。

すべての土台:Tシャツをまっすぐ置く

まず大事なのはTシャツをまっすぐ置くこと
まず大事なのはTシャツをまっすぐ置くこと

どの方法を使うにしても、最初にやるべきことは同じです。Tシャツを作業台にまっすぐ置くこと。ここが斜めになっていると、そのあとどれだけ精密に測っても意味がありません。

左右の袖が対称になるように整え、身頃のシワを伸ばす。地味ですが、位置ズレの大半はここで防げます。

初級:L字定規2本 + マスキングテープ 約700円から

L字定規は「2本」使う

L字型定規を2つ組み合わせると便利
L字型定規を2つ組み合わせると便利

1本だと押さえながら測ることになり、そのぶん誤差が出ます。2本を組み合わせてT字にすると、縦の中心線と襟下からの寸法を同時に出せます。

使っているのはシンワ測定 サンデーカーペンター 30×15cm(表裏同目・白目盛/品番12435)。1本300円台なので、2本買っても1,000円かかりません。

仮止めは3Mのマスキングテープ

耐熱テープではありませんが130℃程度なら大丈夫
耐熱テープではありませんが130℃程度なら大丈夫

使っているのは3M 塗装用マスキングテープ M40J-20(黄色・幅20mm・長さ18m)。100円台です。

耐熱テープではありませんが、130℃程度なら問題なく使えます。専用の耐熱テープを買わなくても、ホームセンターで手に入るこのテープで十分ということです。粘着も強すぎないので、剥がすときに生地を傷めません。

準備:作業台に目盛り付きマスキングテープを貼っておく

準備としてやっておくといいです
準備としてやっておくといいです

エーモン 目盛り付きマスキングテープ(幅20mm×約15m・品番4856)を作業台の縁に貼っておきます。約400円です。

これを最初にやっておくと、毎回メジャーを出さなくても作業台そのものが定規になります。準備の段階で一度貼るだけなので、やっておいて損はありません。

※ 意図が違っていたら直します。「作業台の縁に貼って基準線にする」という理解で合っていますか?

初級で使う道具まとめ

道具品番価格の目安
L字定規(サンデーカーペンター 30×15cm)シンワ測定 12435約330円2本
塗装用マスキングテープ 20mm×18m3M M40J-20約120円1
目盛り付きマスキングテープ 20mm×約15mエーモン 4856約400円1
合計約1,200円

※ 価格は2026年8月時点の実売価格の目安です。

中級:墨出し器の十字レーザー 5,000円以内で始められます

レーザーで十字が出るので位置決めが非常に楽です
レーザーで十字が出るので位置決めが非常に楽です

建築現場で使う墨出し器を、作業台に向けて設置します。縦横の十字が床ではなくTシャツの上に出るので、それを基準線にします。

あとは目視で合わせ、マスキングテープで留めます
あとは目視で合わせ、マスキングテープで留めます

1枚目で正しい位置を出したら、あとは2枚目以降はレーザーに合わせるだけ。測る作業そのものが消えます。合わせたらマスキングテープで留めて、プレス機へ持っていきます。

必要なのは墨出し器と三脚だけ

三脚も1500円。5000円以内で始められます
三脚も1500円。5000円以内で始められます
道具製品価格の目安
レーザー墨出し器Kiprim LV8(2ライン・グリーン)約3,200円
三脚オーム電機 OCT-ATR4-127約1,470円
合計5,000円以内

専用の設備を買う必要はありません。カメラ用の三脚に載せるだけで使えます。

墨出し器と定規、多少のスペースがあればできます
墨出し器と定規、多少のスペースがあればできます

設置に広い場所は要りません。三脚を立てて、その下にTシャツを置ける机があれば成立します。

補足:レーザーの線は、動画では点滅して見えることがありますが(カメラのシャッターとの干渉です)、実際には点滅しません。ずっと安定して光っています。

上級:プロジェクターと鏡でグリッドを投影 変則配置に強い

プロジェクターをパソコンに繋いでいます
プロジェクターをパソコンに繋いでいます

プロジェクターをノートパソコンに繋ぎ、1cm角のグリッドを作業台に投影します。線ではなく面で基準が出るので、「何cmずらすか」が目で見て分かります。

真上に吊らなくていい——鏡を使う

鏡にプロジェクターの光を当てて反射させています
鏡にプロジェクターの光を当てて反射させています

プロジェクターを天井から吊るのは大変です。そこで横に置いたプロジェクターの光を鏡に当て、反射させて作業台に落とします。これなら机の上に置くだけで済みます。

プロジェクターとTシャツの距離と角度を確認
プロジェクターとTシャツの距離と角度を確認

投影されたグリッドが実寸と合うよう、距離と角度を調整します。ここが唯一の手間で、一度合わせてしまえばあとは速いです。

関連:投影したグリッドを実寸に合わせるためのツール「投影グリッドマット」を無料で公開しています。使い方は専用ページをご覧ください。

プレス機の上で位置決めをするのは、おすすめしません

プレス機によっては、位置合わせ用のポインター機能が付いているものがあります。便利そうに見えますが、当社ではおすすめしていません。理由は2つです。

真ん中は分かりますが、襟ぐりから何センチかは不明
真ん中は分かりますが、襟ぐりから何センチかは不明

理由1:左右の中心は分かるが、襟ぐりからの距離が分からない

十字が出るので左右の中心は取れます。しかし「襟ぐりから何cm下げるか」はポインターでは決められません。結局そこは目分量になります。

Tシャツが平行かどうかも、少し斜めでもまっすぐに見えます
Tシャツが平行かどうかも、少し斜めでもまっすぐに見えます

理由2:斜めになっていても気づけない

プレス機の台は狭く、Tシャツを広げきれません。少し斜めに置いていても、レーザーの線に対してはまっすぐに見えてしまいます。1枚目は良くても、枚数を重ねるとバラつきが出る原因です。

机の上などで真っすぐセットしてマスキングをしてからプレスを推奨
机の上などで真っすぐセットしてマスキングをしてからプレスを推奨
おすすめの手順:広い机の上でTシャツをまっすぐ置き、位置を決め、マスキングテープで留めてからプレス機へ運ぶ。プレス機の上は「押す場所」であって「決める場所」ではない、と考えると分かりやすいです。

この分け方には、もうひとつ利点があります。プレス機が動いている間に、次の1枚の位置決めを進められることです。プレス機の上で位置決めをしていると、この並行作業ができません。

マークに使うペンについて

Tシャツや転写紙に基準点をマークするとき、どのペンを使うか。転写紙側のマークは剥がすときに紙ごと無くなるので何でも構いませんが、Tシャツ側に直接付ける場合は選び方があります。

ペン評価理由
チャコペン(水で消えるタイプ)◎ 一番安全手芸用。水で消せます
フリクション(消せるボールペン)◯ ただし注意約65℃で無色になるためプレスの熱で消えます。ただし約−20℃以下で色が戻る性質があり、冬の車内保管や寒冷地への発送では再び出ることがあります
シャープペン・鉛筆薄く書けますが、黒鉛が繊維に残ることがあります
油性ボールペン× 避ける洗濯しても落ちません
抜ける転写紙(タイプWなど)は、十字マークを書いておくと合わせやすくなります。DTFフィルムは透明なので下のTシャツが透けて見えますが、抜ける転写紙は不透明で下が見えないためです。マークは十字(クロス)にして、合わせたいポイントに書きます。レーザーの十字とそのまま重ねられます。

※ ペンの選び方は当社からのご提案です。必ず端材でテストしてから本番にお使いください。生地の色と素材で結果が変わります。

S・M・Lでプリント位置はどれだけ下げるか

よくいただくご質問です。同じ「襟ぐり下◯cm」で全サイズを作ると、大きいサイズほど絵が上に見えてしまいます。

まず、ボディの寸法を知る

ワンサイズごとに着丈が約4cm、身幅が約3cm
ワンサイズごとに着丈が約4cm、身幅が約3cm
寸法測り方1サイズあたりの差
着丈肩の一番高いところから裾まで約4cm
身幅脇の下の位置で、左右に一直線約3cm
肩幅左右の肩先どうしの間
袖丈肩先から袖口まで

答え:1サイズごとに約1cmずつ下げる

約1cmずつ下げれば十分です
約1cmずつ下げれば十分です
サイズ着丈襟ぐり下
S65cm7cm
M69cm8cm
L73cm9cm
なぜ1cm刻みでいいのか。着丈は1サイズあたり4cm伸びるので、理屈のうえでは1サイズ約1.3cm下げるのが正確です。ただし生地には±2cm程度の個体差があります。0.3cmの精度を追いかけても意味がないので、1cm刻みで十分に揃って見えます。

※ 数値は当社で使用しているボディでの目安です。ボディの形状やデザインの縦横比によって最適な位置は変わります。

時短効果:1枚1分 → 30〜40秒

マスキングテープを貼れば1枚1分から30〜40秒に時短できるはずです
マスキングテープを貼れば1枚1分から30〜40秒に時短できるはずです

位置を合わせてマスキングテープで留める。この手順を固定するだけで、1枚あたり1分かかっていた位置決めが30〜40秒になります。

50枚なら約50分が25〜35分。15分から25分の短縮です。道具を買わなくても、手順を変えるだけでここまで変わります。

そもそも「位置のやり取り」をなくす

作業台の上の話をしてきましたが、その手前にもう一つ時間を取られている工程があります。お客様との「プリント位置どこにしますか」のやり取りです。

Tシャツ プリント配置ツールの画面
Tシャツ プリント配置ツールの画面

ブラウザ上でボディの型番とサイズを選び、デザイン画像を載せると、襟下・左右中央・プリント幅が数値で表示されます。そのまま指示書として出力できるので、口頭やメールでの確認が要らなくなります。無料でお使いいただけます。

pro.quick-art.com/designtool_placement.html

3つの方法の比較

初級:L字定規2本中級:十字レーザー上級:プロジェクター
初期費用約1,200円5,000円以内プロジェクター+鏡
1枚あたりの速さ
デザイン変更への対応△(合わせ直し)
設置の手間なし大(最初だけ)
向いている作業少量・単発同一デザインの量産多品種・サイズ違い

失敗しやすいポイント

  • Tシャツが斜めに置かれている:一番多い原因です。測る前に必ず整えてください
  • プレス機の上で位置を決めている:襟ぐりからの距離が決められず、斜めにも気づけません
  • 襟の「どこ」から測るかを決めていない:襟の縫い目か、リブの下端か。人によって変わると位置もずれます。社内で一つに決めてください
  • 全サイズを同じ襟下で作る:大きいサイズほど絵が上に見えます。1cmずつ下げてください
  • 仮止めしない:プレス機を閉じる瞬間に転写紙が動きます

よくある質問

マスキングテープは耐熱テープでなくて大丈夫ですか?

3Mの塗装用マスキングテープ(M40J-20)を使っています。耐熱テープではありませんが、130℃程度なら問題ありません。専用品を買わなくても大丈夫です。

サイズ違いを混ぜて作るとき、位置は変えるべきですか?

変えてください。1サイズごとに約1cmずつ下げます。S=襟ぐり下7cm、M=8cm、L=9cm が目安です。

1サイズ1.3cmではなく1cmでいいのですか?

生地には±2cm程度の個体差があります。0.3cmの差を追いかけても、その差は個体差に埋もれてしまいます。1cm刻みで十分に揃って見えます。

レーザーとプロジェクター、片方だけ買うならどちらですか?

作るものが毎回同じならレーザー、毎回違うならプロジェクターです。迷う場合は、まずL字定規でしばらく作ってみて「何に一番時間を取られているか」を見てから決めても遅くありません。

プレス機のポインター機能は使えないのですか?

使えないわけではありませんが、左右の中心しか決められず、Tシャツが斜めになっていても気づけません。机の上で位置を決めてマスキングしてからプレスすることをおすすめします。

背中や袖のプリントも同じ考え方でいいですか?

要確認:後身頃・袖の基準の取り方を記載

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