初級 L字定規/中級 レーザー/上級 プロジェクター
Tシャツ50枚を作って計測したとき、位置決めだけで約50分かかっていました。全工程で最も長い時間です。
数枚なら気にならない工程ですが、50枚100枚となると、それがそのまま作業時間とミスの数になって返ってきます。予算と枚数に応じた3つのやり方を、実際に全部試したうえでまとめました。
枚数が少ないならL字定規2本(約700円)。繰り返すなら墨出し器の十字レーザー(5,000円以内)。サイズ違いや変則配置が多いならプロジェクター+グリッド投影。
そしてどの方法でも、マスキングテープで留めるひと手間を入れるだけで1枚1分が30〜40秒になります。
※ 全7工程の実測(総作業2時間56分59秒)における位置決めの数値です。7工程のうち最も長く、次に長い「プレス」と合わせると全体の52.3%を占めていました。
どの方法を使うにしても、最初にやるべきことは同じです。Tシャツを作業台にまっすぐ置くこと。ここが斜めになっていると、そのあとどれだけ精密に測っても意味がありません。
左右の袖が対称になるように整え、身頃のシワを伸ばす。地味ですが、位置ズレの大半はここで防げます。
1本だと押さえながら測ることになり、そのぶん誤差が出ます。2本を組み合わせてT字にすると、縦の中心線と襟下からの寸法を同時に出せます。
使っているのはシンワ測定 サンデーカーペンター 30×15cm(表裏同目・白目盛/品番12435)。1本300円台なので、2本買っても1,000円かかりません。
使っているのは3M 塗装用マスキングテープ M40J-20(黄色・幅20mm・長さ18m)。100円台です。
エーモン 目盛り付きマスキングテープ(幅20mm×約15m・品番4856)を作業台の縁に貼っておきます。約400円です。
これを最初にやっておくと、毎回メジャーを出さなくても作業台そのものが定規になります。準備の段階で一度貼るだけなので、やっておいて損はありません。
※ 意図が違っていたら直します。「作業台の縁に貼って基準線にする」という理解で合っていますか?
| 道具 | 品番 | 価格の目安 | 数 |
|---|---|---|---|
| L字定規(サンデーカーペンター 30×15cm) | シンワ測定 12435 | 約330円 | 2本 |
| 塗装用マスキングテープ 20mm×18m | 3M M40J-20 | 約120円 | 1 |
| 目盛り付きマスキングテープ 20mm×約15m | エーモン 4856 | 約400円 | 1 |
| 合計 | 約1,200円 | ||
※ 価格は2026年8月時点の実売価格の目安です。
建築現場で使う墨出し器を、作業台に向けて設置します。縦横の十字が床ではなくTシャツの上に出るので、それを基準線にします。
1枚目で正しい位置を出したら、あとは2枚目以降はレーザーに合わせるだけ。測る作業そのものが消えます。合わせたらマスキングテープで留めて、プレス機へ持っていきます。
| 道具 | 製品 | 価格の目安 |
|---|---|---|
| レーザー墨出し器 | Kiprim LV8(2ライン・グリーン) | 約3,200円 |
| 三脚 | オーム電機 OCT-ATR4-127 | 約1,470円 |
| 合計 | 5,000円以内 | |
専用の設備を買う必要はありません。カメラ用の三脚に載せるだけで使えます。
設置に広い場所は要りません。三脚を立てて、その下にTシャツを置ける机があれば成立します。
プロジェクターをノートパソコンに繋ぎ、1cm角のグリッドを作業台に投影します。線ではなく面で基準が出るので、「何cmずらすか」が目で見て分かります。
プロジェクターを天井から吊るのは大変です。そこで横に置いたプロジェクターの光を鏡に当て、反射させて作業台に落とします。これなら机の上に置くだけで済みます。
投影されたグリッドが実寸と合うよう、距離と角度を調整します。ここが唯一の手間で、一度合わせてしまえばあとは速いです。
プレス機によっては、位置合わせ用のポインター機能が付いているものがあります。便利そうに見えますが、当社ではおすすめしていません。理由は2つです。
十字が出るので左右の中心は取れます。しかし「襟ぐりから何cm下げるか」はポインターでは決められません。結局そこは目分量になります。
プレス機の台は狭く、Tシャツを広げきれません。少し斜めに置いていても、レーザーの線に対してはまっすぐに見えてしまいます。1枚目は良くても、枚数を重ねるとバラつきが出る原因です。
この分け方には、もうひとつ利点があります。プレス機が動いている間に、次の1枚の位置決めを進められることです。プレス機の上で位置決めをしていると、この並行作業ができません。
Tシャツや転写紙に基準点をマークするとき、どのペンを使うか。転写紙側のマークは剥がすときに紙ごと無くなるので何でも構いませんが、Tシャツ側に直接付ける場合は選び方があります。
| ペン | 評価 | 理由 |
|---|---|---|
| チャコペン(水で消えるタイプ) | ◎ 一番安全 | 手芸用。水で消せます |
| フリクション(消せるボールペン) | ◯ ただし注意 | 約65℃で無色になるためプレスの熱で消えます。ただし約−20℃以下で色が戻る性質があり、冬の車内保管や寒冷地への発送では再び出ることがあります |
| シャープペン・鉛筆 | △ | 薄く書けますが、黒鉛が繊維に残ることがあります |
| 油性ボールペン | × 避ける | 洗濯しても落ちません |
※ ペンの選び方は当社からのご提案です。必ず端材でテストしてから本番にお使いください。生地の色と素材で結果が変わります。
よくいただくご質問です。同じ「襟ぐり下◯cm」で全サイズを作ると、大きいサイズほど絵が上に見えてしまいます。
| 寸法 | 測り方 | 1サイズあたりの差 |
|---|---|---|
| 着丈 | 肩の一番高いところから裾まで | 約4cm |
| 身幅 | 脇の下の位置で、左右に一直線 | 約3cm |
| 肩幅 | 左右の肩先どうしの間 | — |
| 袖丈 | 肩先から袖口まで | — |
| サイズ | 着丈 | 襟ぐり下 |
|---|---|---|
| S | 65cm | 7cm |
| M | 69cm | 8cm |
| L | 73cm | 9cm |
※ 数値は当社で使用しているボディでの目安です。ボディの形状やデザインの縦横比によって最適な位置は変わります。
位置を合わせてマスキングテープで留める。この手順を固定するだけで、1枚あたり1分かかっていた位置決めが30〜40秒になります。
50枚なら約50分が25〜35分。15分から25分の短縮です。道具を買わなくても、手順を変えるだけでここまで変わります。
作業台の上の話をしてきましたが、その手前にもう一つ時間を取られている工程があります。お客様との「プリント位置どこにしますか」のやり取りです。
ブラウザ上でボディの型番とサイズを選び、デザイン画像を載せると、襟下・左右中央・プリント幅が数値で表示されます。そのまま指示書として出力できるので、口頭やメールでの確認が要らなくなります。無料でお使いいただけます。
→ pro.quick-art.com/designtool_placement.html
| 初級:L字定規2本 | 中級:十字レーザー | 上級:プロジェクター | |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | 約1,200円 | 5,000円以内 | プロジェクター+鏡 |
| 1枚あたりの速さ | △ | ◎ | ◎ |
| デザイン変更への対応 | ◯ | △(合わせ直し) | ◎ |
| 設置の手間 | なし | 小 | 大(最初だけ) |
| 向いている作業 | 少量・単発 | 同一デザインの量産 | 多品種・サイズ違い |
3Mの塗装用マスキングテープ(M40J-20)を使っています。耐熱テープではありませんが、130℃程度なら問題ありません。専用品を買わなくても大丈夫です。
変えてください。1サイズごとに約1cmずつ下げます。S=襟ぐり下7cm、M=8cm、L=9cm が目安です。
生地には±2cm程度の個体差があります。0.3cmの差を追いかけても、その差は個体差に埋もれてしまいます。1cm刻みで十分に揃って見えます。
作るものが毎回同じならレーザー、毎回違うならプロジェクターです。迷う場合は、まずL字定規でしばらく作ってみて「何に一番時間を取られているか」を見てから決めても遅くありません。
使えないわけではありませんが、左右の中心しか決められず、Tシャツが斜めになっていても気づけません。机の上で位置を決めてマスキングしてからプレスすることをおすすめします。
要確認:後身頃・袖の基準の取り方を記載