DTFプリンターの
運用の実際。
3年で分かったこと
DTFプリントの技術が日本に入ってきたのは、2021年の夏ごろです。プリンターのしくみや「1時間に何枚刷れるか」といったスペックは、販売店も含めて多くの会社が発信しています。一方で、導入したあとにどうなっているのかは、ほとんど表に出てきません。
当社は小型DTFプリンターWIP754を開発・販売してきたメーカーとして、2024年9月に、発売から約3年で分かったことを動画で率直にお話ししました。インクが詰まる理由、故障率・修理費の実数、活躍している業種、仕上がりの意外な点、そして使う頻度での選び方です。この記事では、その内容を整理し、2024年9月時点の数字と、2026年10月時点の案内を分けてまとめます。
- DTFでいちばん大変なのは、インクが固まって詰まったときの対処。高粘度のインクは、使わずに置くとチューブ・ダンパー・ヘッドで固まる
- 2024年9月時点で、WIP754の故障率は30%台(白トナーは1%程度)。ヘッド交換などは5件、ヘッド交換は4万円〜、修理の平均実費は約8千円
- 保守契約はなく都度の実費。小規模事業者には保守料より実費のほうが負担が少ない、という考え方
- 小型DTFで活躍しているのは革・木材・軍手などの小物のプリント。Tシャツ中心の業者様は3割ほど
- 選び方は使う頻度と枚数。動画では「月産100枚以下なら白トナーがいちばん」。現在のWIP754Rは「2週間程度の間隔でも安定」と案内が変わっている
DTFプリンターの2つのタイプと、情報が少ない理由
DTFプリンターは、DTFインクで専用フィルムに印刷し、パウダー(粉)をつけて熱で焼き、転写マークにする機械です。印刷からパウダー・加熱までを1台で自動で行う一体型(大型で高額)と、印刷したあとを自分の手で行うセパレート型(小型で少額)の2つに分かれます。当社のWIP754は小型のセパレート型です。
インクは一般的にCMYK+白の5色で、メーカーによって中身はさまざまです。

日本に入ってから約3年、運用の実際の情報がほとんど出てこないのには理由があります。DTFプリンターは、メーカー → 販売代理店 → お客様という流れで売られています。販売店にとってプリンターは大切な仕入れ先の製品なので、オープンなネット上ではデメリットを言いにくい立場です。対面なら伝えられても、その情報は広まりません。
当社はプリンターを自社で開発・販売しているので、気づいたことをそのままお伝えできます。ただし、当社は白トナープリンタのメーカーでもあるため、当社に有利に聞こえる内容が含まれるかもしれないことは、動画の中でもお断りしています。
なぜDTFはインクが詰まりやすいのか
発売から約3年でいちばん実感したのは、インクが固まったときの対処が大変だということでした。DTFインクの特徴は、粘度(ねばり)が大きいことです。製造からの使用期限があり、月日がたつと固まっていきます。ボトルのように量が多いと固まりにくいのですが、細いチューブの中に入っている量だと、使わないうちに固まって流れが悪くなります。血の流れが悪くなるようなイメージです。
プリンターヘッドには細かい穴(ノズル)がたくさんあり、その周りでインクが固まると穴がふさがれ、インクが出にくくなったり色が薄くなったりします。これを防ぐためにクリーニングをしますが、それでも直らない場合はヘッドの交換になります。普通のインクジェットプリンターや昇華・溶剤プリンターでも詰まりは起きますが、その頻度が非常に大きいのがDTFの特徴です。

| インクの粘度 | 発色 | 詰まり |
|---|---|---|
| 高い | 濃くて良い | 詰まりやすい |
| 低い(しゃばしゃば) | 薄くなる | 詰まりにくい |
つまりDTFは、ヘッドの穴の大きさ・数と、インクの粘度の相性、そしてプリンター自体のクリーニングのしくみで安定性が決まります。DTFの印刷に使われるヘッドはほとんどがEPSON製で、動画撮影時点ではEPSON純正のDTF専用プリンターは出ておらず、ほかの用途のヘッドを使っているのが現状でした。
インクの通り道も確認ポイント
プリンターによって、インクタンクからヘッドまでの構造も違います。横にインクタンクがあり、インクタンク → チューブ(管) → ダンパー → ヘッドと流れる構造では、管が長いほど固まりやすく、トラブルになりやすくなります。一定期間置いておくと、プリンター内部のチューブやダンパー、ヘッドの付近でインクが固まって詰まるので、固まったときの処置方法と費用を事前に確認しておくことが大切です。

WIP754には、このチューブがありません。インクタンクのすぐ下がヘッドになっているので、詰まりが起きる場所が少ない構造です。動画撮影時点では、個体差はあるものの週1回のクリーニングメンテナンスくらいで使えている状況でした。

WIP754の故障率と修理費(2024年9月時点)
ここからは、発売から約3年で80台を販売したWIP754の実際の数字です(動画の冒頭では、当社のDTF全体で累計90台近くと紹介しています)。すべて2024年9月の動画撮影時点の数字です。
| 項目 | 2024年9月時点 |
|---|---|
| 無償保証 | 6か月 |
| 年間の保守料金 | なし(修理のたびに実費をいただく) |
| 故障率(当社の修理受付数から) | 30%台。他社DTFの情報はないが、白トナープリンタ(故障は1%程度)に比べると多い |
| 本体交換・ヘッド交換に至った件数 | 5件 |
| ヘッド交換の費用 | 4万円〜 |
| 修理受付1件あたりの平均実費 | 約8千円 |

保守契約を設けていないのは、保守料を払うより、実費のほうがお客様の負担は少ないと考えているからです。大抵の機器は、小規模事業者にとって保守料金が高すぎる、というのが当社の考えで、小型DTFは安く手軽に使っていただくことを優先しています。

また当社は、DTFのA3機やロール機を発売中止にしてきた過去があります(2024年9月7日の撮影時点)。インクの詰まりにうまく対処できず、返品・返金で対応したこともありました。何日間放置するか、何枚テスト印刷を重ねるかといった実証実験には限界があり、大手企業でも難しいところがある、と動画では話しています。
2026年10月時点の案内と、変わったこと
動画から約2年たった現在、A4機はWIP754Rとして販売しています。商品ページ(2026年10月時点)の案内を、動画の内容と並べました。
| 項目 | 2024年9月の動画 | 2026年10月時点の商品ページ |
|---|---|---|
| 本体 | WIP754 | WIP754R(A4機)270,000円(税別) |
| 無償保証 | 6か月 | お買い上げ日から6か月。保証期間後も有償で修理・メンテナンスに対応。電話・メールの技術サポートは無料 |
| 使う頻度 | 一般的なDTFは週1回程度の利用には向かない(WIP754は週1回のクリーニングくらいで使えていた) | 2週間程度の間隔での使用でも安定。数週間使わなかった場合もクリーニングで復活するケースが多数。ただし稀に復活しない場合もあり、その場合は本社で修理対応 |
| 修理・ヘッド交換 | ヘッド交換4万円〜、平均実費約8千円 | 送付でのクリーニング・ヘッド交換とも有償。金額の目安は商品ページの「メンテナンス・修理について」とFAQに掲載 |
| ヘッド周り | — | 使用頻度にもよるが、半年〜1年程度でヘッド周りのクリーニングや修理が必要になることがある |
| 作業前のクリーニング | — | 通常1回約100円、強力1回約200円 |
使う頻度についての案内は、動画のころより緩やかになっています。商品ページでは、2023年1月からの新しい白インクで詰まりが改善されたことも紹介しています。それでも、白インクの性質上、定期的なクリーニングが必要なこと、放置後に稀に復活しない場合があることは、今も変わりません。
※A3機(WIP A3、350,000円・税別)は、洗浄カートリッジで長期放置にも対応できる機種として販売していましたが、2026年7月からプリンターの販売を見合わせています。動画で触れている「A3機やロール機の発売中止」は、2024年9月の撮影時点までの話です。クリーニングの費用や放置実験はDTFのメンテナンスとインク代で詳しく紹介しています。
DTFが活躍している業種
当社の小型DTFで活躍されているのは、小物にプリントしている会社が中心です。革や木材、いろいろな繊維のもの、軍手や靴下などにプリントされています。

Tシャツなどのウェアプリントをメインにしている業者様は3割ほどで、思ったより少ない割合です。Tシャツなら「A3サイズが欲しい」というニーズもあり、ウェアプリントには白トナープリンタWTRIP835を選ばれる方が多くなっています。当社としても、ウェアの小ロット生産にはWTRIP835がいちばん適していると考えています。
一方、大型のDTFプリンターで活躍しているのは、受注が安定して多い会社です。毎日使えばインク詰まりは少なくなります(印刷枚数が多いことによるマシントラブルは当然あります)。逆に、受注が少ないと運用はうまくいきにくくなります。大型機はセットアップに手間がかかり、クリーニングのたびにインクやフィルムの無駄も出るので、Tシャツ2〜3枚のために動かしていては利益が上がりません。
仕上がりで分かったこと
① 濃色の生地に「白」を出すのが苦手
DTFは、CMYKのインクを印刷した上に白を重ね、ひっくり返して転写します。カラーの部分は下に白が重なるので、とてもきれいです。ところが白い部分は白インクだけで表現するため、カラーより発色が弱くなります。ガーメントプリンターも同じ構造で、白を2回印刷するなどして対応しています。

そのためメーカー各社は、白インクのダンパーを8つ以上にするなどして、濃色の生地に白をたくさん出す工夫をしています。これはDTFプリンターを選ぶときの重要なポイントです。

② 意外と厚みを感じる
東京ショールームで白トナーとDTFの仕上がりを両方触っていただくと、「トナーのほうが薄いですね」という感想をよくいただきます。DTFも製品によって違いますが、厚みが薄いという評判はあまり聞きません。写真のような大きいベタのプリントでは「重たく、汗が抜けない」という声も聞きました。撮影の前日には、接客販売の仕事をしている知人から、汗がこもると臭いの原因になるのでDTFのTシャツは避けている、という話も聞いています。
③ それでも、DTFならではの強みは大きい
フィルムのマークになった状態なら、白トナーでは難しかった特殊な生地や、革・木材など、とても多くの素材にプリントできます。大量生産では、溶剤プリンターで印刷してカス取りしていた工程が、印刷から転写マークまで自動化され、人手と経費が減りました。クリーニングでインクは多く使いますが、インク自体はガーメントプリンターより安いのが一般的です。

使う頻度と枚数で選ぶ
DTFのデメリットは、機械のトラブルが起きやすいことです。大型機を使っているユーザーがSNSに書いていたトラブルには、次のようなものがありました。

ほかにも、季節や温度・湿度で仕上がりが変わる、夜の工場に虫が寄ってくる、といった話も聞きます。大型DTFを買ってうまくいかず、外注に頼っている会社もあるようです。DTFはまだ新しい技術で、トラブルへのノウハウがネット上にもほとんどありません。「導入すれば絶対うまくいく」ではなく、夏はこう、冬はこうという癖をつかみ、自分で突き詰めていく気持ちが必要になります。
そのうえで、当社が発売直後から感じていたことは、作る枚数と使う頻度で機械を決めるのがいちばん、ということです。
| 使い方 | 向いている製法(動画での考え方) |
|---|---|
| 月曜〜金曜ずっと動かす、毎回まとまった枚数を刷る | 大型DTF。量をこなすほどスケールメリットが出る |
| Tシャツ以外の革・木材・軍手などにも刷りたい | 小型DTF |
| 使う頻度が少なく、月産100枚以下 | 白トナー。メンテナンスが不要 |

大型の自動DTFを入れるなら、毎日動かせるか、毎回30枚以上刷るかなど、自分が何回・何枚プリントするのかで判断してください。週1回ほどしか使わないのに大型機を入れると、メンテナンスだけで数時間かかることもあり、メリットがありません。使う頻度が低いと、いざ使うときにインク詰まりの対処だけで時間と労力がかかりすぎます。
プリント業者様がいちばん気にされる仕上がりの差は、両方を扱っている当社から見ると、ウェアのプリントではそれほど大きくありません。ショールームに来られた方の評価も同じくらいです。濃い発色は白トナーのほうが出しやすい印象はありますが、無償サンプルで実物を見比べて判断してください。
この記事を読むときの注意点
この記事の数字は、当社のWIP754の修理受付をもとにした2024年9月時点のものです。他社のDTFプリンターの故障率は分からないため、比べることはできません。また、当社は白トナープリンタのメーカーでもあるので、白トナー寄りの見方になっている部分があるかもしれません。
DTFの技術は、中国やアメリカをはじめ、これからも進歩していくはずです。動画でも「使用頻度が少ない方向けのDTFプリンターも今後出てくると思う」と話していて、実際に当社の案内も変わってきています。導入を考えるときは、その時点の機種の案内と、販売店の具体的な対応を必ず確かめてください。
よくある質問
- DTFプリンターは、なぜインクが詰まりやすいのですか?
- DTFインクは粘度が高く、月日がたつと固まっていく性質があります。使わずに置くと、チューブやダンパー、プリンターヘッドの細かい穴(ノズル)の付近でインクが固まり、出が悪くなります。粘度が高いほど発色は良くなりますが詰まりやすく、粘度が低いと詰まりにくい代わりに発色が薄くなる、というバランスの上に成り立っています。
- 小型DTFプリンターWIP754の故障率はどのくらいですか?
- 2024年9月の動画時点で、導入されたお客様の故障率(当社の修理受付数から)は30%台でした。白トナープリンタの故障は1%程度なので、それに比べると多い数字です。プリンター本体の交換やヘッド交換に至ったのは5件でした。
- WIP754の修理費や保証はどうなっていますか?
- 2024年9月の動画時点では、無償保証は6か月、年間の保守料金はなく、修理のたびに実費をいただく形でした。ヘッド交換は4万円〜、修理受付1件あたりの平均実費は約8千円でした。2026年10月時点でも無償保証は6か月(お買い上げ日から)で、保証期間後も有償の修理・メンテナンスに対応しています。現在の修理費の目安は商品ページでご確認ください。
- DTFプリンターは、たまにしか使わなくても大丈夫ですか?
- 2024年9月の動画では、一般的なDTFプリンターは週1回程度しか使わない方には向かない、と説明していました(当社のWIP754は週1回のクリーニングくらいで使えていました)。現在のWIP754Rの商品ページでは、2週間程度の間隔での使用でも安定して使える、数週間使わなかった場合もクリーニングで復活するケースが多い、ただし稀に復活しない場合もある、と案内しています。
- DTFと白トナー、どちらを選べばいいですか?
- 使う頻度と作る枚数で選ぶのが基本です。動画では、使用頻度が少なく月産100枚以下の方は白トナーがいちばん、と話しています。革・木材・軍手などTシャツ以外の素材にもプリントしたい場合はDTFが向きます。ウェアのプリントでは、仕上がりの差は大きくなく、ショールームに来られた方の評価も同じくらいでした。
- DTFプリンターを買う前に、販売店に何を確認すればいいですか?
- 「どのくらいの期間放置しても大丈夫だったか、大丈夫でなかったか」と、「詰まったときに具体的にどう対処するのか、費用はいくらか」の2つです。チューブやダンパーを交換できるか、洗浄の方法があるかも確認しましょう。答えが抽象的な場合は注意が必要です。
この記事のもとになった動画
2024年9月現在でのDTFプリンタの運用面など実際のところをお話しします 業者様向けTシャツプリント講座(2024年9月公開。数字は2024年9月7日の撮影時点のもの)
使い方に合う機械を、実物で確かめませんか
白トナー・DTFの無料サンプルをお送りしています。東京・大阪・福井のショールームでは、
両方の仕上がりを触って比べていただけます(完全無料・要予約)。
※故障率・修理費・販売台数は2024年9月の動画撮影時点の数字です。価格・保証・使用頻度の案内は2026年10月時点の商品ページの情報です。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


抜ける転写紙
全面プリント転写紙
発泡シート
箔・ラバー・ラメ
トナー・ドラム
DTFインク・フィルム
プレス資材
昇華インク
Type-WLナイロン・薄い生地
Type-Cキャンバスバッグ
Type-Pペイスターで楽に















オーブンプリントマグカップ・食器に
Tattooシール肌に貼れるタトゥー






























