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QUICK ART PRINT ACADEMY / SMALL DTF × LEATHER

小型DTFで革に
フルカラープリント。
11枚中10枚がきれいに付いた

2020年、当社は白トナープリンタと抜ける転写紙Type-Cで約10種類の革に転写を試し、結果は「5勝5敗」でした(白トナー版の記事)。それから約1年半後の2022年、今度は小型DTFプリンターWIP754で、同じ種類の革にプリントしてみました。

結果は、11枚中10枚がきれいにプリントでき、難しかったのはヤギスムースの1枚だけでした。Type-Cでは付かなかったエナメルや牛革クロームにも付いています。この記事では、革ごとの結果を白トナー版と並べて比べ、2022年に当社が調べた「革プリントの市場」と、プリント業者様が革プリントを仕事にするときの考え方、注意点までまとめます。

11枚小型DTFでプリントした革(ヌメ・牛革・ヤギ・エナメル・トカゲ・馬革・床ベロアなど)
10枚きれいにプリントできた革。△はヤギスムースの1枚だけ
4→10枚「○」の数。白トナー×Type-C(動画テロップの評価)と小型DTFの比較
100円台WIPでのA4の原価(2022年の動画撮影時)
先に結論
  • 小型DTFプリンターWIP754で革11枚にプリントした結果、10枚がきれいに付いた。△はヤギスムースだけ(文字の一部が付かなかった)
  • 白トナー×Type-Cで付かなかったエナメル・牛革クローム、一部しか付かなかったヤギスウェード・トカゲ・床ベロアにも、DTFではきれいに付いた
  • それでもWIPでもプリントできない革はある。仕事で受ける前に、使う革で必ずテストする
  • 2022年の調査では、革プリントはUVプリンターかシルクが主流で、料金は「要見積もり」が多かった。WIPのA4原価は100円台なので、価格を抑えて提案しやすい
  • 売り込み先は革の卸業者と、財布や小物を作るハンドメイド作家さん。高価な革製品へのプリントは避ける
01 / TEST

白トナーで付かなかった革に、DTFで再挑戦

2020年の白トナー版の実験では、浅草で仕入れた約10種類の革に、白トナープリンタと抜ける転写紙Type-Cで転写しました。ヌメや牛革スムース、馬革はきれいに付きましたが、エナメルやヤギスムースのようにまったく付かない革もありました。

今回使ったのは、当社の小型DTFプリンターWIP754です。専用のフィルムに白を含むフルカラーで印刷し、パウダーをかけて焼き、プレス機で革に転写します。WIPの登場で「革にプリントできる」範囲が大きく広がった、というのが当社の実感で、それを確かめるために、同じ種類の革にプリントしてみました。

小型DTFでプリントした革を白い机の上に一列に並べた様子
プリントを終えた革を並べたところ。黄色のエナメル、ベージュの牛革、黒いヤギ、茶色の床ベロアなど、色も表面も違う革です。

WIPでのマークの作り方(印刷・パウダー・ベイキング・プレス)は、小型DTFプリンターWIP754の使い方で詳しく紹介しています。この動画では作り方の説明は省き、革ごとの仕上がりを見ています。

※動画では、プレスの温度・時間など革に転写したときの条件は紹介していません。DTFのプレス条件はDTFのプレス温度の記事や商品の説明書をご確認ください。

02 / RESULT

革11枚の結果一覧

動画では11枚の革にプリントしています(タイトルは「10種」ですが、牛革が2枚あります)。評価は動画のテロップのとおりで、カッコ内は同じ動画のテロップに出ている白トナー×Type-Cでの評価です。

No.革の種類小型DTF(WIP754)白トナー×Type-C動画での説明
①ヌメ○○Type-Cでもできていたが、WIPでもきれいにプリントできた
②牛革スムース○○細かいイラストまできれいに入った
③牛革クローム○×Type-Cでは付かなかったが、WIPでは付いた
④ヤギスムース△×イラストは付いたが、下の文字の部分がプリントできなかった
⑤ヤギスウェード○△Type-Cでは付きが良くなかったが、WIPではきれいに付いた
⑥エナメル○×エナメルにもプリントできた
⑦トカゲ○△Type-Cではうまく付かなかったが、WIPでは付いた
⑧馬革○○ランドセルに使われるような革。きれいにプリントできた
⑨床ベロア(銀なし)○△Type-Cでは課題が残ったが、きれいにプリントできた
⑩牛革○○きれいにプリントできた
⑪種類不明の革○△素材名は不明。プリントできた
小型DTFでプリントした革①ヌメから⑥エナメルまでの6枚の写真
①〜⑥の結果。ヤギスムース(左下)だけが△で、エナメルや牛革クロームにもきれいに付きました。
小型DTFでプリントした革⑦トカゲから⑪種類不明の革までの5枚の写真
⑦〜⑪の結果。トカゲ、馬革、床ベロア、牛革、種類不明の革のすべてにプリントできました。

動画の締めくくりでは「11枚プリントして10枚がきれいに付いた。ヤギのスムースは少し難しかったが、ほとんどの革にできると思う」とまとめています。

※動画はプリント直後の仕上がりを見たもので、こすれ・曲げ・長期間の使用での耐久性は検証していません。

03 / COMPARE

白トナー×Type-Cとの比較

同じ動画のテロップで比べると、「○」の数は白トナー×Type-Cが4枚、小型DTFが10枚でした。違いが大きかったのは、Type-Cで付かなかった・一部しか付かなかった革です。

白トナー×Type-Cでの結果その革小型DTFでの結果
○(付いた)ヌメ、牛革スムース、馬革、牛革すべて○
△(一部だけ付いた)ヤギスウェード、トカゲ、床ベロア、種類不明の革すべて○
×(付かなかった)牛革クローム、エナメル○
×(付かなかった)ヤギスムース△(文字の一部が付かず)
黄色のエナメル革に小型DTFでフルカラーのロゴがプリントされている様子
⑥エナメル。白トナー×Type-Cでは「予想どおり、まったく付かない」革でしたが、DTFではロゴがきれいに付きました。
ベージュの牛革クロームに小型DTFでフルカラーのロゴがプリントされている様子
③牛革クローム。Type-Cでは付かなかった革ですが、DTFでは細かい色の帯まで付いています。
黒いヤギスウェードに犬のイラストと白いHANAの文字がプリントされている様子
⑤ヤギスウェード。黒い革の上でも、白インクの文字と写真のようなイラストがはっきり出ています。

白トナー版の記事でも書いたとおり、転写紙の場合は革の表面の加工と糊の相性で付く・付かないが決まりました。今回のDTFでは、Type-Cで相性が悪かった革の多くにも付いています。黒い革に白を含むフルカラーで出せる点も、WIPの強みとして動画で紹介しています。

※白トナー×Type-Cの評価は、この動画(2022年)のテロップの表記です。2020年の白トナー版の動画では、牛革クロームを「△」、ヤギスウェードを「○△」としているなど、表記が少し違う革があります。番号⑩・⑪の革も、白トナー版の動画とは呼び方が違います。また、2つの実験は同じ種類の革を使っていますが、同じ1枚に刷り比べたものではありません。

04 / LIMIT

難しかったヤギスムース

11枚の中で唯一「△」だったのがヤギスムースです。柴犬と風船のイラストは付きましたが、その下にあった「QuickArt」の文字の部分がほとんどプリントできませんでした。白トナー×Type-Cでもまったく付かなかった革です。

黒いヤギスムースに柴犬と風船のイラストがプリントされ、下の文字がほとんど付いていない様子
④ヤギスムース。イラストは付きましたが、下の文字の部分はわずかしか残っていません。

動画でも「多種の革にプリントができるWIPでも、プリントできないものはある」とテロップで伝えています。DTFで付きやすくなったとはいえ、革は種類や加工、1枚ごとの個体差で結果が変わります。同じ名前の革でも、別の仕入れ先の革では結果が違うことがある、と考えておくのが安全です。

05 / MARKET

革プリントの市場(2022年の調査)

動画の第2部では、「革プリント」でインターネット検索し、1ページ目に出てきたサービスを当社が調べた結果を紹介しています。2022年時点の情報です。

項目2022年に分かったこと
プリントの製法UVプリンターかシルクスクリーンが主。UVプリンターは安くても100万円以上、という印象
サービスをしている会社大手ではなく、革を卸で仕入れて在庫を持ち、裁断や加工もできる会社が、その一つとしてプリントもしている印象。Tシャツや軍手に比べて大手の参入が少ない
料金「要見積もり」「まずはご依頼ください」が多い。公開されていた例は約A4サイズでデータ加工1,500円+プリント料1,500円
WIPでの原価A4で100円台(フィルム代とインク代で200円を切る、と紹介。動画撮影時)
約A4サイズでデータ加工1500円、プリント料1500円というネット公開情報のテロップ
ネットで公開されていた革プリントの料金の例(2022年の動画撮影時)。

A4で約3,000円の料金に対して、WIPの原価は100円台です。動画では「UVプリンターの維持費用なども考えると、WIPのほうが提示価格を低くできる」と説明しています。白を含むフルカラーで刷れて、機械代も小さいことが、UVプリンターを買えない方にとって大きな力になる、というのが当社の考えです。

※現在(2026年10月時点)の商品ページでは、WIP754Rの1枚あたりの製作費を約167円(A4)と案内しています。本体はA4機WIP754Rが270,000円(税別)です。動画撮影時は27万円と紹介していました。

06 / TARGET

革プリントを誰に売るか

動画の第3部では、プリント業者様が革プリントをどう仕事にしていけるかを考えています。いま革プリントを商売にしているのは、仕入れ・在庫・加工・販売まで革に関するほとんどの機能を持っている「革のプロ」です。Tシャツのように仕入れてプリントするのとは違い、同じことをプリント業者様がするのは現実的ではありません。そこで動画では、売り込み先を2つに絞っています。

① 革の卸業者・革を扱う業者様

革を仕入れて販売している会社はたくさんありますが、UVプリンターを持っていない業者がほとんどです。エンボスなどの加工はできても、プリントはできずに困っている業者様に「近くで革にプリントできます」と営業する方法です。プリント加工の依頼が思いのほか来たり、そこからTシャツの注文がもらえたりするかもしれません。

② 財布や小物を作るハンドメイド作家さん

ネットの革プリントサービスを使っているのは、革を加工して財布や小物入れなどを作って販売している方が多い、というのが当社の見立てです。ハンドメイドの販売サイトやデザインフェスタのようなイベントで革製品を売っている方に向けて、「革にプリントできる」ことを広く知らせます。

ハンドメイド作家さん達へというテロップと、革の財布を縫製している写真
ハンドメイド作家さんへのアピール。商圏の作家さんにとって、近くに相談できるプリント業者がいることは大きな助けになります。

試行錯誤しながら作るモノづくりの相談相手は、近くにいるのがいちばんです。現物を見ながら「こういう加工はできますか」と相談できるプリント業者が近くにあれば、作り手は助かります。革プリントのサービスはまだ成熟しておらず(=希少価値が高い)、近くでできることを知らない方も多いので、動画ではSNSなどで知ってもらい、あとは問い合わせを待つという方法も提案しています。

また、時間料金制の工房でUVプリンターを使い、出費の大きさを感じている作家さんの声も聞いたことがあるそうです。動画では、モノづくりは時間を気にせずやりたいもの、という考えから、作家仲間でお金を出し合って1台を導入するという方法も提案しています。

07 / FAIR

向かないケースと注意点

DTFで革にプリントできる範囲は広がりましたが、何にでもできるわけではありません。動画の最後に、革プリントを受けるときの注意点として次の2つを挙げています。

注意しておきたいこと:まず、テストを大切にすること。WIPでもプリントできない革はあり、当社も革についてはほぼ素人です。もう一つは、高価な革製品にはプリントしないこと。革ジャンのような製品はプリントに失敗すると何万円もの素材がだめになり、弁償しなければならないこともあります。リスクは自己責任ですが、受けないほうが安全です。
高価な革ジャンの写真と、プリントして失敗すると大変というテロップ
高価な革製品へのプリントは避ける。失敗したときに弁償が必要になることがあります。

そのほか、次の点にも気をつけてください。

  • WIP754はA4サイズまでのプリントです。大きな革や製品全体へのプリントには向きません。
  • 動画はプリント直後の仕上がりを見たもので、革製品としてのこすれや曲げへの耐久性は検証していません。商品にする前に、使い方に合わせて確かめてください。
  • DTFは白インクを使うため、定期的なクリーニングが必要です(作業前のクリーニングは通常約100円・強力約200円。2026年10月時点の商品ページ)。たまにしか刷らない場合の維持の考え方は、DTFプリンターの運用の実際をご覧ください。
  • Tシャツなど衣類の小ロット生産では、メンテナンスがほとんど要らない白トナープリンタが向くケースも多くあります。革や木材などの特殊な素材はDTF、衣類中心なら白トナー、というように、刷りたいものに合わせて選ぶのがおすすめです。

※当社は白トナープリンタ・小型DTFプリンターのメーカーで、革の専門家ではありません。革の種類の名前は動画内の表記のとおりです。

08 / FAQ

よくある質問

小型DTFプリンターで革にフルカラープリントできますか?
できる革が多くあります。当社が2022年に小型DTFプリンターWIP754で11枚の革(ヌメ・牛革・ヤギ・エナメル・トカゲ・馬革・床ベロアなど)にプリントしたところ、10枚はきれいにプリントでき、ヤギスムースだけが文字の一部が付かない「△」でした。ただし、WIPでもプリントできない革はあります。
白トナー×抜ける転写紙Type-Cと比べて、何が違いましたか?
Type-Cではまったく付かなかったエナメルや牛革クローム、一部しか付かなかったヤギスウェード・トカゲ・床ベロアにも、DTFではきれいにプリントできました。動画のテロップでは、Type-Cで「○」だった革は11枚中4枚、DTFでは10枚でした。
どの革が難しかったですか?
ヤギスムースです。イラストは付きましたが、下の「QuickArt」の文字の部分がほとんど付きませんでした。白トナー×Type-Cのときもヤギスムースは付かなかった革です。
革へのプリントは、1枚いくらくらいで受けられていますか?
2022年に当社がインターネットで調べた範囲では「要見積もり」が多く、公開されていた例では約A4サイズでデータ加工1,500円+プリント料1,500円でした。一方、WIPでのA4の原価は動画撮影時で100円台です。現在の商品ページでは、WIP754Rの1枚あたりの製作費は約167円と案内しています。
革へのプリントを受けるときの注意点は?
まず使う革でテストすることです。WIPでもプリントできない革はあります。また、革ジャンなどの高価な革製品へのプリントは避けたほうが安全です。うまく付かなかった場合、製品を弁償しなければならないこともあります。
小型DTFプリンターの価格はいくらですか?
動画撮影時(2022年)は27万円と紹介していました。2026年10月時点では、A4機WIP754Rが270,000円(税別)です。A3機(WIP A3、350,000円・税別)は2026年7月からプリンターの販売を見合わせています。
VIDEO

この記事のもとになった動画

【10種テスト】革にフルカラープリントできるWIP・DTFプリンター教えます!(2022年8月公開。機種・価格・市場の情報は当時のもの)

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※本記事の価格は2026年10月時点の情報です。プリントの結果・原価・市場の調査は動画公開時(2022年8月)のものです。現在販売しているA4機はWIP754R(270,000円・税別)です。

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