パウダープリントと
白トナープリントの違い
業務で選ぶときの5つの視点
家庭用のインクジェットプリンターとアイロンで手軽に始められるパウダープリントと、業務用の白トナープリント。どちらも「デザインを印刷した部分だけを生地に転写する」プリント方法で、作ったものを販売するという目的も同じです。「何が違うのですか?」というご質問は多くの方からいただいていて、視聴者の方からも動画のリクエストをいただきました。
この記事では、その回答として作った動画の内容をもとに、プリントできる生地の色・仕上がりと洗濯・導入費用・プレス機・製作時間の5つの視点で、2つの違いを業務の立場から整理しました。パウダープリントが活きる場面も、あわせてご紹介します。
- 共通点は、印刷した部分だけがプリントされること。余白にフィルムなどが残らない
- いちばんの違いは生地の色。パウダーのカラー表現は白・淡色の生地に限られ、白トナーは黒や濃い色にもフルカラー
- 導入費用はパウダーが圧倒的に手ごろ。顔料インクジェットのセット約1万円+家庭用アイロンから始められる(動画撮影時)
- 業務で差が出るのは作業の猶予時間。パウダーは印刷後すぐにパウダーをかける必要があり、まとめて作るのが苦手。白トナーは工程ごとに時間の余裕があり量産しやすい
- 自分のデザインをハンドメイドで売る、白い制服にお名前を入れる、ならパウダーでも十分。注文を受けて作る業者様には白トナーが向いている、というのが動画での考え方
共通点:印刷した部分だけがプリントされる
パウダープリントは、インクジェットプリンターなどで専用の転写紙に印刷し、乾く前にパウダー(粉)をかけて余分を落とし、アイロンやプレス機で生地に転写する方法です。白トナープリントは、白トナープリンタで抜ける転写紙に印刷し、糊のシートと重ねてプレスして転写マークを作り、生地に転写します。
やり方は違いますが、どちらもインク(トナー)で印刷した部分だけが生地に残ります。デザインの周りの余白にフィルムなどが残らないのは、この2つの大きな特徴です。

パウダープリントの中にも、印刷に使うプリンターで2つのやり方があります。
- 全色顔料のインクジェットプリンターで印刷する(家庭用のプリンターで始められる)
- 昇華プリンターで印刷する
どちらのプリンターを使うかで、仕上がりや導入費用が変わります(3章・4章)。
いちばん大きな違い:プリントできる生地の色
動画で「ここを押さえてほしい」と強調しているのが、プリントできる生地の色の違いです。

| パウダープリント | 白トナープリント | |
|---|---|---|
| カラー表現ができる生地の色 | 白・淡色の生地 | 白・淡色に加え、黒・赤・青などの濃い色も |
| 濃い色の生地 | 金・銀などのメタリックの表現のみ | 白を含むフルカラー |
| 生地の種類 | 綿・ポリエステル・ナイロン | 綿・ポリエステル・ナイロン(強撥水は不可) |
パウダープリントでも、綿・ポリエステル・ナイロンのどれにもプリントできます。ただ、濃い色の生地ではカラーの表現ができません。動画ではそのイメージを「黄色や赤の紙に、クレヨンで描くようなもの」とたとえています。どうしても下地の色の影響を受けてしまうのです。
業者様として注文を受けるとき、パウダープリントだけでは「黒の生地にカラーでプリントしてほしい」という注文には応えられません。白トナープリントなら、真っ黒の生地でも赤の生地でも、色に関係なく対応できます。動画では、白トナープリントならお客様からの注文を断ることがほとんどないと話しています。

金・銀のメタリックの表現は、パウダープリントではプリンターを問わずでき、白トナープリントでもできます。白トナーでの作り方は「箔・メタリックプリントの作り方」で紹介しています。
仕上がりと洗濯の強さ
パウダープリント:プリンターで仕上がりが変わる
顔料インクジェットプリンターで作ったパウダープリントでは、データの色が濃くなると、表現がなめらかでなくなるケースがあります。インクがたくさんたまるところで、少しぶつぶつした表現になるためです。下の写真の赤は、本来は1色の赤のデータです。大きな丸のようなベタのデザインでは、ぼこぼこした表現になりやすく、商品にするのは少し難しいという印象だと動画では話しています。

一方、昇華プリンターで作ったものは、こうしたぼこぼこした感じが少なく仕上がります。同じパウダープリントでも、顔料と昇華では表現に差が出るので、持っている機種によって仕上がりが変わります。
洗濯の強さ

| パウダープリント | 白トナープリント | |
|---|---|---|
| 洗濯堅牢度(動画での紹介) | 4〜5級 | 5級(2026年10月時点のタイプWの商品ページでは4-5級) |
| 動画で挙げた特徴 | イラストの色の濃さによって耐久性に違いがある、というお客様の声もある | ベタやイラストの濃さによる表現や洗濯の強さの違いがない |
| 着心地 | 白トナーと同じく柔らかく、汗も抜けていく(動画での説明) | 貼った感じがなく、柔らかい。汗も抜けていき着心地が良い |
パウダープリントの4〜5級は、動画でも「低くない数字」と話しているとおり、販売できる水準です。現在の商品ページの等級で比べると、白トナー(タイプW)も4-5級なので、等級の上では大きな差はありません。洗濯堅牢度は色の落ちにくさを見る試験で、剥がれにくさとは別の指標です(「洗濯堅牢度は「剥がれにくさ」ではありません」)。

動画で白トナーの強みとして話しているのは、色やデザインに左右されない点です。当社で2〜3年着ている黒のドライTシャツのプリントも、洗濯によるダメージをほとんど感じないと紹介しています。イラストが剥がれることはほとんどなく、生地が傷んで割れると、それと一緒にイラストも割れていく構造だと説明しています。
導入費用とランニングコスト
導入費用は、パウダープリントのほうが圧倒的に手ごろです。動画撮影時の価格(税別)を表にまとめました。

| 項目 | パウダー(顔料インクジェット) | パウダー(昇華プリンター) | 白トナー |
|---|---|---|---|
| プリンター | セットで約1万円 | A4 73,000円/A3 98,000円 | 35万円 |
| 転写紙(A4 1枚) | 約200円 | 約200円 | 抜ける転写紙 300円 |
| 印刷代(A4 1枚) | — | 約30円 | 約30円 |
| A4 1枚の材料費 | — | 約230円 | 約330円 |
| 印刷以外のメンテナンス | プリンターを維持するためのクリーニングでインクを使う | 多くはないが、ゼロではない | クリーニングでの消費の考え方がほとんどない |
※価格は2021年6月の動画撮影時のもので、動画では税別と説明しています。A3サイズの転写紙代はA4の約2倍が目安です。
インクジェットプリンターは、ノズルのつまりを防ぐためのクリーニングでインクを使うので、印刷以外のメンテナンスコストがかかります。白トナープリンタには、こうしたクリーニングによる消費がほとんどなく、1か月電源を切っていても、そのまま使えると動画では説明しています。
2026年10月時点の白トナーの費用は次のとおりです。
| 項目 | 動画撮影時 | 2026年10月時点 |
|---|---|---|
| 白トナープリンタ | 35万円 | WTRIP835 本体 390,000円(税別) |
| A4 1枚の材料費 | 約330円(転写紙300円+印刷代30円) | 約374円(抜ける転写紙タイプW 341円+印刷代33円・税込) |
| メンテナンス | クリーニングによる消費がほとんどない | 定期メンテナンス不要、メンテナンスコスト0円(商品ページ) |
パウダープリントの機材は動画撮影時の価格のみで、現在の価格は確認していません。昇華プリンターでできることは「昇華転写の基礎」、白トナーの印刷代の考え方は「ウェアプリントの印刷代はいくら?」で紹介しています。
家庭用アイロンとプレス機
パウダープリントは、家庭用アイロンでも作れるのが手軽さの一つです。ただ、A4サイズのデザインをアイロンで押さえ続けるのは大変で、販売のためにたくさん作るとなると、その手間がストレスになります。動画では、業務で売上を立てるならプレス機は強い味方で、基本的に必須と考えていると話しています。

| プレス機 | 動画撮影時(税別) | 2026年10月時点(税込) |
|---|---|---|
| あおり式(作業台38×38cm)JL-PL001AⅡ | 58,000円 | 本体 74,800円 |
| 平板スイング式 JL-PL003BⅡ | 134,000円 | 本体 176,000円 |
プレス機は重いほうが圧力がしっかりかかります。動画撮影時の重さは、あおり式が30kgを切る程度、スイング式が50kgほどでした。スイング式は上の熱板が真上から下りてくるので、圧力が均一にかかります。とはいえ、あおり式でも抜ける転写紙の白トナープリントは十分にできているとも話しています。
個人でパウダープリントをする方は、置き場所を抑えたい方が多いので、あおり式が合うと思います。白トナーで最初からしっかり始めたい方には、スイング式がおすすめです。動画撮影時は、白トナープリンタとプレス機を合わせて約50万円と説明していました。それぞれのプレス機は「あおり式プレス機 JL-PL001AⅡの使い方」「平板スイング式Wideプレス機 JL-PL003BⅡ」でくわしく紹介しています。
製作時間と、まとめて作れるか
リクエストでいただいた製作時間の違いです。動画撮影時の手順は次のとおりでした。
| パウダープリント | 白トナープリント(動画撮影時) |
|---|---|
| ① 印刷して、パウダーをかけて余分を落とす(1分ほど) ② 150℃・30秒ほどプレス ③ 冷めてから剥がす(冷ます時間は5分ほど) | ① 抜ける転写紙に印刷し、糊のシートと重ねて130℃・30秒でプレスして剥がす(転写マークの完成) ② 生地にのせて130℃・30秒でプレス ③ 冷めてから剥がす(5分ほど) ④ 130℃・20秒で仕上げプレス |
※白トナーの条件は動画撮影時のものです。2026年10月時点のタイプWは、糊付けが135℃(A4は表裏20〜30秒)、生地に転写したあとは10分以上冷ましてから剥がします。
大きな違いは「印刷してからの猶予時間」
工程の数だけを見れば、どちらも大きくは変わりません。動画で「全然違う」と強調しているのは、印刷してから生地にプリントするまでの猶予時間です。
パウダープリントは、印刷したインクが乾いてしまうとパウダーが付きにくくなるため、印刷したらすぐにパウダーをかけて、プレスまで進める必要があります。基本は1枚印刷して、1枚作る、という流れです。何十枚もまとめて印刷しておいて、あとからパウダーをかけていく作り方はリスクがあり、まとめて作業するのが苦手です。

白トナープリントは、印刷してから糊付けするまで、糊付けしてから生地に転写するまでのどの工程にも時間の余裕があります。先にマークをまとめて作っておけるので、流れ作業にしやすいのです。作ったマークは長く持ち、動画では半年〜1年ほど置いてから使っている方もいると話しています。

当社のスタッフが白トナーで作った例では、朝10時から夕方5時まで、1時間の休憩をはさんだ実質6時間で120枚でした。1人で1日100枚は作れると考えている、と動画では話しています。生産性の面でも、白トナーに分があります。2026年10月時点のタイプWの商品ページでは、デザインによるものの1時間で15〜20枚程度の製作が可能と案内しています(「白トナーで1時間に何枚プリントできる?」)。
どちらが向いているか:売り方で考える
動画の結論は、ご自身のビジネスモデルを書き出してみると分かる、というものです。どこで、誰から、どんな注文を受けて、どう販売するのかを考えると、向いている方法が見えてきます。
| 売り方 | 向いている方法(動画での考え方) |
|---|---|
| 自分でデザインした商品を、minne・Creema・メルカリなどでハンドメイド販売する | パウダープリントでも十分。白や淡色の生地を選べばよく、導入費用が低い |
| 白い制服などへのお名前プリント(制服店・ネーム店など) | パウダープリントの実用例として紹介 |
| お客様から注文を受けて作る(生地の色やデザインを指定される) | 白トナープリント。黒や濃い色の注文、ベタの多いデザインにも応えられる |
| まだ決まっていない | できることの幅が広い白トナー |

パウダープリントは、できるイラストの幅に制限があるぶん、自分で作ったデザインを売るハンドメイド商品に向いています。動画では、パウダープリントを始めるなら、まずは家庭用で試してほしいとすすめています。いきなり10万円ほどの昇華プリンターを入れるのはハードルが高いので、約1万円の顔料インクジェットプリンターと家庭用アイロンで作ってみて、そのうえで改めて考える価値がある、という考え方です。
一方、注文を受けて作る業者様にとっては、生地の色の制限は大きな問題です。動画では、売れるTシャツの色はやはり黒か白で、スポーツでは下着の透けを気にして濃い色の生地も選ばれると話しています。こうした注文に色を問わず応えられることが、白トナーを選ぶ理由になります。東京ショールームで「パウダーと白トナーの違い」を質問されたお客様の8〜9割が、白トナープリントを選ばれているそうです。
それぞれの弱点と、この記事の注意点
この記事は2021年6月の動画の内容をもとにしています。パウダープリントの機材や転写紙の価格・仕様は、メーカーや製品によって違い、現在の価格は確認していません。白トナーの価格・作業条件は、2026年10月時点の商品ページの情報で補っています。動画の内容は当社の考え方であり、パウダープリントの製品を評価するものではありません。
よくある質問
- パウダープリントと白トナープリントの、いちばん大きな違いは何ですか?
- プリントできる生地の色です。パウダープリントのカラー表現は、白や淡い色の生地に限られます。黒や濃い色の生地では、下地の色の影響を受けるためです(金・銀などのメタリックの表現は濃い色の生地にもできます)。白トナープリントは、黒・赤・青などの濃い色の生地にも、白を含むフルカラーでプリントできます。
- パウダープリントは、家庭用のプリンターでもできますか?
- できます。動画では、パウダープリントのやり方として、全色顔料のインクジェットプリンターで印刷する方法と、昇華プリンターで印刷する方法の2つを紹介しています。家庭用の顔料インクジェットプリンターなら、動画撮影時でプリンターのセットが約1万円、家庭用アイロンでも作れます。いきなり10万円ほどの昇華プリンターを入れる前に、まず家庭用で試してみることを動画ではすすめています。
- 洗濯の強さに違いはありますか?
- 動画では、パウダープリントの洗濯堅牢度を4〜5級、白トナープリントを5級と紹介しています。2026年10月時点の抜ける転写紙タイプWの商品ページでは4-5級と案内しているので、等級の上では大きな差はありません。動画で違いとして挙げているのは、パウダープリントではイラストの色の濃さによって耐久性に違いがあるというお客様の声があったのに対し、白トナープリントではベタやイラストの濃さによる違いがほとんどない点です。
- 1日に何枚くらい作れますか?
- 動画では、パウダープリントは1枚作るのに8分ほどかかり、7時間の作業で約52.5枚と試算しています。白トナープリントは、当社のスタッフが1時間の休憩をはさんだ実質6時間で120枚を作った例を紹介しています。パウダープリントは印刷してからパウダーをかけるまでの時間に余裕がないため、何十枚もまとめて作業するのが苦手です。
- どちらを選べばいいですか?
- ご自身の売り方で考えるのがおすすめです。自分でデザインした商品を、ハンドメイドのマーケットなどで販売する場合や、白い制服へのお名前プリントなどは、パウダープリントでも十分に対応できます。お客様から注文を受けて作る場合、とくに黒や濃い色の生地の注文も受けたい場合は、生地の色を問わない白トナープリントが向いています。
- 白トナープリントを始めるには、いくらかかりますか?
- 動画撮影時は、白トナープリンタ35万円とプレス機で約50万円と説明していました。2026年10月時点では、白トナープリンタWTRIP835の本体が390,000円(税別)で、商品ページでは白トナープリンタ・プレス機・転写紙で約50万円と案内しています。A4 1枚あたりの材料費は約374円(転写紙+印刷代・税込)が目安です。
この記事のもとになった動画
【基礎】パウダープリントと白トナープリントの違いを徹底解説 業者様向けTシャツプリント講座(2021年6月9日公開。価格・作業条件は当時のもの)
濃い色の生地への仕上がりを、実物で比べませんか
白トナープリントの無料サンプルをお送りしています。東京・大阪・福井のショールームでは、
黒や赤の生地へのプリントも実演でご覧いただけます(完全無料・要予約)。
※パウダープリントの機材・転写紙の価格と、白トナー・プレス機の動画内の価格は、2021年6月の動画撮影時のもの(税別)です。白トナー・プレス機の現在の価格と作業条件は、2026年10月時点の商品ページの情報です。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


抜ける転写紙
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