小型DTF WIP754で
1時間に何枚プリントできる?
実際に計ってみました
DTFプリンターを選ぶときに、確かめておきたいのが印刷スピードです。DTFは印刷のあとにパウダー・ベイキング(加熱)・プレスがあり、カタログの「1枚の印刷時間」だけでは、1時間に何枚できるのかが分かりにくいためです。
当社では、小型DTFプリンターWIP754(A4機)を使い、印刷からプレスまでを1人で回して、1時間に何枚プリントできるかを東京ショールームで実際に計りました。この記事では、その結果と1時間の流れ、やってみて分かった量産で確かめたい4つのポイントを、同じ形で計った白トナーの記録と並べてまとめます。
- 印刷に約4分半かかるA4のデータで、1時間に11枚プリントできました。目標の13枚には届きませんでしたが、残り1分半で印刷を止めているので、少し延長すれば12枚という結果です
- 4分半ほどのデータなら、1時間に10〜12枚が目安です。2026年10月時点の製品ページでも「1時間あたり約10枚程度(ベイキング・転写工程を含む)」としています
- 何枚作るのにどのくらいかかるかは、「1枚の印刷時間×枚数+5分ほど」で見積もれます。今回も11枚×5分+5分でちょうど60分でした
- いちばん大事なのはプリンターを止めないこと。印刷時間は短くできないので、パウダー・ベイキング・プレスは印刷中に済ませ、ベイキングの待ち時間には位置決めや仕上げプレスを入れます
- 同じように計った白トナーの記録は1時間20枚(位置決めはほぼなし)。白トナーは人の手の速さ、小型DTFはプリンターの印刷時間が枚数を決める、という違いがあります
前提条件と、1時間13枚という目標
小型DTFのプリントは、①印刷 → ②パウダー → ③ベイキング → ④転写(プレス)の4工程です。今回はスタート前に、条件と目標を次のように決めました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 機種 | 小型DTFプリンター WIP754(A4機)、専用の日本語RIPソフト |
| スタート前の準備 | 作業前のクリーニングを2回済ませた状態から開始(1回のクリーニングは約4分、2回で約8分) |
| データ | A4のフィルムにイラストを6つ並べたもの。事前に1枚印刷して、A4 1枚の印刷が4分30秒と確認 |
| ベイキング | ホットプレート(パウダーを付けたフィルムを乗せて加熱) |
| プレス | 熱プレス機で125℃・20秒程度。生地はオレンジの端切れ(位置決めはほぼなし) |
| 作業者 | 1人 |

印刷のあとの作業は、パウダー約1分・ベイキング2〜3分・転写20秒ほどです。合計すると印刷時間の4分30秒の範囲に収まるはずなので、1枚印刷している間に、前の1枚のパウダー・ベイキング・プレスを終えられます。そこで、単純に60分÷4分半=約13枚を目標にしました。動画では「これ以上できることはまずない」上限の数字として置いています。

1時間の流れ:プリンターを止めない段取り
考え方は「1枚の印刷が終わったら、すぐ次の印刷をかけ、その間にパウダーとベイキングをする」です。実際の作業は次の順番で回しました。
| 順番 | 作業 | ポイント |
|---|---|---|
| 1 | キャリーシートにフィルムを貼って印刷 | キャリーシート(フィルムを乗せて送る台紙)は2枚用意。1枚が印刷中でも、もう1枚に次のフィルムを準備できます |
| 2 | 印刷が終わったら、すぐ次の印刷をかける | パウダーより先に、まずプリンターを動かします |
| 3 | 印刷したフィルムにパウダーを付ける | インクが乾かないうちに、できるだけ早く(動画では30分〜1時間以内が目安)。パウダー付けそのものは短時間で終わります |
| 4 | ホットプレートで2〜3分ベイキング | この間に、次に印刷するフィルムをキャリーシートに貼っておきます |
| 5 | 生地にプレス(125℃・20秒程度) | 熱いうちでも、冷めてから剥がしてもOK。生地が分厚いときは冷めてからのほうが良い |
| 6 | フィルムを剥がして仕上げプレス | 仕上げプレスも最初の転写と同じ時間で。生地になじんで柔らかくなります |

1枚ずつではなく、まとめて印刷をかける
最初は1枚ずつ印刷ボタンを押していましたが、印刷ボタンを押してからセット準備完了まで約40秒かかっていました。RIPソフトのオプションで印刷枚数を複数(今回は10枚)に設定しておくと、毎回の操作が減ります。また、印刷の途中でも次のデータを送っておけるので、続けて印刷すると分かっているときは、先にデータを送っておくのが時間の節約になります。
パウダーは印刷後すぐ、ベイキング後は保管がきく
印刷したフィルムは、時間がたたないうちにパウダーを付けます。インクが乾かないほうが、パウダーがしっかり付くためです。パウダーを付けてベイキングし、パウダーが固まった状態になれば、フィルムは保管がききます。今回のように、プレスした生地を冷ましている間に次の作業へ移ることもできます。




30分の時点では4枚が完成し、5枚目をベイキング中でした。動画ではこの時点で「13枚は厳しいかもしれない」と話しています。
ベイキングで気づいたこと:プレートの温度が下がる
ホットプレートの温度を温度計で測っていたところ、最初は約140℃だったのが、同じ設定のまま約120℃まで下がっていきました。温度が低くなると、パウダーの固まりが弱くなります。家庭でも使う普通のホットプレートなので、時間がたつと温度が変わることを前提に、温度計で確かめながら作業してください。

- 時間がたったら、設定温度を少し高くするなどの微調整をする
- プレートの中でも温度は均一ではないので、低めの場所に当たっている部分を、高めの場所へずらす。フィルムの位置を変えると、固まっていない部分も固まりやすくなります
- 2〜3分は目安。目で見て問題なければ、2分以下で終わる場合もあります(動画の1枚は約2分半)
※ベイキングの温度・方法の比較はDTFのパウダーとベイキング完全ガイドにまとめています。
結果:1時間で11枚
1時間でプリントできたのは11枚でした。60分÷4.5分=13.33枚の計算に対して2枚少ない結果です。ただし、1時間の時点で残り1分半ほどで印刷が終わる状態だったので、そこで止めています。少し延長すれば12枚まで行けた、というのが動画での見立てです。

印刷のあとにパウダー・ベイキング・プレスがあるので、単純な「60÷印刷時間」にはなりません。それでも、印刷に4分半ほどかかるイラストなら、1時間に10〜12枚、少なくとも10枚以上はできる、と考えてください。動画のまとめでは「WIP(A4機)は27万円(税別)で、1時間で10枚はプリントができる」としています。

量産で確かめたい4つのポイント
今回は端切れにフィルムを合わせてプレスするだけでしたが、実際のTシャツの量産ではどうすればよいか。1時間やってみて分かったことを、4つのポイントにまとめています。
1. 1枚目の印刷で、印刷時間と色味を確かめる
印刷時間は、何枚作れるかを見積もるための大事な目安です。色味は、最初に見た色で良ければ、基本的にそのままの色で量産できます。逆に1枚目の色が違えば、続けて印刷するものも全部違う色になります。量産に入る前に、1枚目で必ず確かめてください。
2. 総プリント時間の目安は「1枚の印刷時間×枚数+5分」
「1時間で何枚」よりも「何枚作るのに何分かかるか」を知りたい場面のほうが多いはずです。動画では、作りたい枚数×1枚の印刷時間+5分ほどを目安にしています。例えば、印刷時間5分のデータを10枚なら、10×5+5=55分です。
プラス5分は、キャリーシートの入れ替えなどのセットの時間と、プリンターの起動・最後の1枚の仕上げにかかる時間です。今回の11枚も、11×5+5でちょうど60分でした。

| 1枚の印刷時間 | 10枚 | 20枚 | 30枚 |
|---|---|---|---|
| 4分 | 約45分 | 約1時間25分 | 約2時間5分 |
| 4分30秒 | 約50分 | 約1時間35分 | 約2時間20分 |
| 5分 | 約55分 | 約1時間45分 | 約2時間35分 |
※動画の目安の式に当てはめて当社で計算した参考値です。実際の時間は、デザインやプレスする生地、作業の慣れで変わります。
3. プリンターは常に動かす(いちばん大事)
印刷時間はイラストによって3分のものも5分のものもありますが、どれも短くすることは難しい時間です。プリンターが止まっていると、ほかの作業をしていても、結局は印刷を待つ時間ができてしまいます。印刷が終わったら、他の作業の手を止めてでも、すぐ次の印刷をかける。これがいちばん大事なポイントです。
4. ベイキング中に「何をするか」を決めておく
パウダー付けは手を動かす時間ですが、ホットプレートでの2〜3分は待ち時間になります。プリンターを動かしながらベイキングしている間は、手が空きます。動画では、この時間にできることとして次を挙げています。

- Tシャツなどへのプレス前の位置決め
- 転写後のフィルムを剥がす(端切れの検証では冷めてから剥がしましたが、実際の衣類なら温かいうちに剥がしても問題ありません)
- 仕上げプレス(ほとんどの方が、仕上げプレスをしたほうが生地になじんで仕上がりが良いと感じるはず、と話しています)
- ベイキング後のフィルムの4辺を切る(外側の余白は粉が残りやすい部分です)
- 周囲の掃除(パウダーケースを使っても、移動中に粉が落ちて机が汚れることがあります)
優先順位は、1位がプリンターで常に印刷を続けること、2位が貯まっている仕事をベイキング中に行うことです。手を止めて後回しにした作業をベイキングの時間にまとめて片付けるので、少し仕事が貯まっているくらいのほうが作業は回りやすい、と動画では話しています。この順番を守れば、「印刷時間×枚数+5分」でほぼ終わります。
印刷時間が3分より短いデータは、面付けしてまとめる
パウダー付けとベイキングには3分ほどかかるので、印刷が3分より短いデータでは後工程が追いつかず、上の式は当てはまりません。ただし、印刷が3分以内で終わるイラストは、たいていフィルムに対してデザインが小さいものです。複数枚作るときは、A4のフィルムの中に面付け(複数並べて配置)してください。そうすると、1回の印刷が4分ほどになり、式どおりに見積もれるようになります。
白トナーの実測(1時間20枚)との違い
この動画の最後で「同じような形で白トナーもやってみたい」と話し、翌月、白トナープリンタでも1時間に何枚プリントできるかを計りました。その結果は白トナーで1時間に何枚プリントできる?にまとめています。数字だけを並べると次のとおりです。
| 項目 | 小型DTF WIP754(この記事) | 白トナー(2023年3月公開の動画) |
|---|---|---|
| 1時間の枚数 | 11枚 | 20枚(位置決めはほぼなし。位置決めを含めると20枚で約1時間20分の見込み) |
| 条件 | 1人・プレス機1台・A4のデータ(イラスト6つ)を端切れに | 1人・プレス機1台・抜ける転写紙Type-WでA4のデザインをポリエステル生地に |
| 枚数を決めるもの | プリンターの印刷時間(A4 1枚4分30秒) | 人の作業(印刷は1枚10〜20秒ほどで、糊付け・カット・位置決め・プレスに時間がかかる) |
| 作業前の準備 | クリーニング2回(約8分) | ほとんどなし |
| 人の手の空き方 | ベイキングの2〜3分が待ち時間。その間に位置決め・剥がし・仕上げを入れる | 手を動かし続ける時間が長い。冷ます時間(約5分)にほかの作業を重ねる |
白トナーの動画でも、小型DTFは作業前のクリーニングに時間がかかる分、白トナーのほうがすぐ作業に取りかかれて速く進んだ感覚がある、と話しています。一方で、小型DTFは印刷中に手が空くので、その時間に位置決めや仕上げプレスなどを進められます。白トナーは人が手を動かし続けて枚数を出す製法、小型DTFはプリンターを止めずに回して枚数を出す製法、と考えると違いがつかみやすくなります。
どちらも、デザインの大きさ、プリント位置の指定、プレスする生地で時間は変わります。1日に作りたい枚数や、作業する人数に当てはめて比べてください。費用面の比較は3つの製法のコスト比較、製法そのものの違いは白トナーとDTFの比較が参考になります。
注意点と、この数字が当てはまらないケース
このほか、作業前のクリーニング(2026年10月時点の案内では2回程度が基本で、通常1回約100円、強力クリーニング1回約200円)や、ホットプレートの温度管理など、印刷以外の段取りも1日の枚数に影響します。プリンターの使い方の全体は小型DTFプリンターWIP754の使い方をご覧ください。
よくある質問
- 小型DTFプリンターWIP754で、1時間に何枚プリントできますか?
- 当社の実測(2023年2月公開の動画)では、印刷に約4分半かかるA4のデータで、1時間に11枚プリントできました。残り1分半で印刷を止めたので、少し延長すれば12枚という結果です。4分半ほどのデータなら1時間に10〜12枚が目安です。2026年10月時点の製品ページでも、1時間あたり約10枚程度(デザインにより変動/ベイキング・転写工程を含む)を目安としています。
- 何枚作るのに、どのくらい時間がかかるか計算できますか?
- 動画では「作りたい枚数×1枚の印刷時間+5分ほど」を目安にしています。プラス5分は、フィルムを入れ替えるセットの時間や、プリンターの起動・最後の仕上げにかかる時間です。実測でも11枚×5分+5分でちょうど60分でした。
- 量産するときに、いちばん大事なことは何ですか?
- プリンターを止めないことです。印刷時間は短くできないため、印刷が終わったら他の作業の手を止めてでもすぐ次の印刷をかけます。パウダー・ベイキング・プレス・フィルム剥がし・仕上げプレスは、印刷中とベイキング中の待ち時間に行います。
- 印刷したフィルムは、すぐにパウダーを付けないといけませんか?
- はい、インクが乾かないうちに、できるだけ早く付けます。動画では30分〜1時間以内を目安にしています。ベイキングしてパウダーが固まった後のフィルムは保管がききます。
- 印刷時間が3分より短い小さなデザインでも、同じ計算でよいですか?
- パウダーとベイキングに3分ほどかかるので、印刷が3分より短いと後工程が追いつかなくなります。動画では、小さなデザインはフィルムに複数並べて(面付けして)印刷し、1回の印刷が4分ほどになるようにすることを勧めています。
この記事のもとになった動画
【小型DTF】A4機WIP754で1時間に何枚プリントできるか実証 業者様向けプリント講座(2023年2月公開)
※動画内の価格(WIP A4機 27万円・税別)は撮影時のものです。2026年10月時点のWIP754R(A4機)は270,000円(税別)/297,000円(税込)です。
小型DTFのスピードを、実機で確かめませんか
東京・大阪・福井のショールームで、WIPシリーズの印刷からパウダー・ベイキング・プレスまでの流れをご覧いただけます。
仕上がりを確かめられる無料サンプルも受け付けています。
※本記事の価格・仕様は2026年10月時点の情報です。枚数・時間は当社の動画での実測値で、デザイン・生地・作業する人によって変わります。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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