小型DTFで
バッグ5種にプリント。
ジュートも「1mm以上」なら刷れる
DTFの強みは、白トナーの転写がつきにくい素材も含めて、いろいろな繊維素材にプリントできることです。トートバッグなどのバッグ類は、プリントの大きさがほとんどA4の中に収まるので、A4サイズの小型DTFプリンターとも相性が良い商品です。
東京ショールームで、当社の小型DTFプリンター(A4機)で作ったフィルムを、コットン(薄手・厚手)・フェルト・不織布・ジュートの5種類のバッグに貼ってみました。使ったのはミニプレス機と家庭用アイロンだけです。バッグごとのプレスの条件、マチやボタンの段差の逃がし方、ジュートで細い文字がどこまで出るか、1時間に作れる枚数と費用まで、実演の結果をまとめます。
- 薄手のコットンバッグは130℃・20秒、厚手は130℃・30秒。どちらも冷めてから剥がす。厚手でも0.75mmの細い文字まで転写できた
- ボタンやマチで段差のあるフェルトバッグは、プレス機だと跡が入る。マットを中敷きにして、家庭用アイロンで体重をかけて押すときれいに付いた
- 不織布は熱で歪みやすい。温度・時間・圧力を下げて調整する。保冷機能の付いたバッグは熱転写できない
- 凹凸のあるジュートバッグは、0.75mmの文字が一部欠けた。1mm以上なら無難、2mm・3mmならより安心。ルールを決めれば受注できる
- バッグのプリントは小さめが多く、A4に4面付けすれば1時間に約40枚。資材代は動画撮影時でA4 1枚約150円
なぜバッグは小型DTF向きなのか
理由は2つあります。ひとつは素材の幅です。バッグはコットンだけでなく、フェルト、不織布、ジュート(麻)など素材がさまざまです。DTFは印刷したフィルムにパウダー(ホットメルト)をつけて熱で貼る製法で、いろいろな繊維素材に貼り付きやすいのが特長です。
もうひとつはプリントの大きさです。バッグのプリントは基本的にA4の中に収まります。A4サイズまでしか刷れない小型DTFのA4機でも、サイズで困ることはほとんどありません。

今回いちばん試したかったのが、ジュートバッグです。ジュートは表面が網目状で凹凸があり、転写のミスが起きやすい素材です。そのため、大きなロットを扱うネットのプリント業者様では受付を断られるケースもあります。逆に言えば、条件を決めて刷れるなら、小ロットの業者様が引き受けられる仕事になります。
使った機械と道具
フィルムは、当社の小型DTFプリンターWIP754(A4機)で印刷し、パウダーをつけてベーキング(加熱)まで済ませたものを使いました。今回は「フィルムをバッグに貼る」工程に絞って実演しています。

| 道具 | 使いどころ |
|---|---|
| 小型DTFプリンター(A4機) | フィルムの印刷。印刷後にパウダーをつけてベーキングする |
| ミニプレス機 | コットン・不織布・ジュート(大)のプレス。持ち手側を台から外せるので、バッグを平らに置きやすい |
| 家庭用アイロン | フェルト・ジュート(小)のプレス。コテ面がフラットで、穴のないものが向く |
| マット(中敷き) | マチの段差を逃がし、プレス面を平らにする |
| シリコン紙・フォースインペーパーS | プレス時の当て紙と、剥がしたあとの仕上げプレス |
※WIP754は現在、WIP754R(A4機)として販売しています。価格は8章にまとめました。
コットンバッグ(薄手・厚手)
まずはナチュラル色のコットンバッグ2枚です。薄手のファイルバッグと、厚手のコットンバッグを用意しました。DTFでできて当たり前の素材ですが、細い文字がどこまで出るかを見るため、文字の太さを0.75mm・1mm・2mm・3mmの4段階にしたデザインも刷っています。
薄手(ファイルバッグ):130℃・20秒
生地が薄いので、下敷きなどは入れず、そのままプレスしました。シリコン紙をのせて130℃で20秒ほどプレスし、冷めてから剥がします。テロップでは、家庭用アイロンでもできると補足しています。

厚手:事前プレス3秒、130℃・30秒
厚手のコットンバッグは、今回は検証のため下敷きを入れずにプレスしました(本来はバッグの中に中敷きを入れると安定します)。硬めの生地は、先に3秒ほど事前プレスすると表面が平らになり、転写しやすくなります。
本番は130℃・30秒です。厚手の生地は細いデザインがつきにくい可能性があるため、時間を伸ばして定着を良くしています。結果は、太い文字はもちろん、0.75mmの細い文字も問題なく転写できました。

仕上げプレスで「生地になじむ」
DTFは、フィルムを剥がした直後はプリントが生地の上に乗った感じになります。生地が厚いほど、またイラストが細いほど目立ちます。商品として仕上げるなら、もう一度プレスする仕上げプレスが大切です。
仕上げプレスにはシリコン紙を使う方が多いのですが、コットン系の素材にはフォースインペーパーSを使うと、生地のなじみが非常に良くなります。仕上げたあとは、プリントの下から生地の凹凸が見えるくらいになじみました。


フェルトバッグ(ボタン・マチの段差)
紺のフェルトバッグには、ボタンとマチ(底の厚み)があります。まず、ボタンを避けてミニプレス機でそのまま押してみると、マチの部分が出っ張っていて、プリント面にまっすぐな線の跡が入ってしまいました。段差がある場合は、中敷きを入れるか、家庭用アイロンを使います。
マットを中敷きにして、アイロンで2回
バッグの中にマットを入れて、マチの段差をなくし、プレスしたい面を平らにします。フェルトはシワになりやすい素材なので、先にアイロンで事前プレスして生地面を平らにしておきます。

アイロンは、コテ面がフラットなものが向いています。スチーム用の穴があるタイプは、穴の部分に圧力がかかりません。温度は実測で128℃、目盛りでいうと中温と高温の間くらいでした。アイロンは機種によって温度が違うので、温度計で確かめてください。
体重をかけながら押し、アイロンの場所と向きを変えて2回プレスすると、圧力がしっかりかかります。完全に冷めてから剥がしたところ、押しが甘くついていない部分が出たので、そこだけもう一度アイロンを当ててから剥がし、無事に転写できました。最後に仕上げプレスをして完成です。

不織布バッグ(熱の歪み)
赤い不織布バッグは薄い生地なので、転写そのものはしやすい素材です。ただし、保冷などの機能が付いた不織布バッグは熱転写できません。今回は機能のない薄いタイプを使い、シリコン紙をのせて20秒ほどプレスしました。
冷めてから剥がすと、熱で生地に少し歪みが出ていました。不織布の特徴で、バッグの種類によっても出方が違います。歪みを減らすには、プレス温度を下げる・プレス時間を短くする・圧力を弱くするといった調整が必要です。

歪みには注意が必要ですが、転写そのものはきれいにできました。同じ赤系の色のイラストでも、生地に埋もれずに発色しています。
ジュートバッグ(文字の太さの検証)
ジュートバッグは表面が網目状で、凹凸があるのが特徴です。凹んだ部分はフィルムが届きにくく、転写しにくくなります。形は大きめの手提げで、マチもあるので、そこも意識してプレスします。
大きいジュート:ミニプレス機で持ち手を外して
ミニプレス機は、持ち手の部分を台から外してバッグを置けます。中に中敷きを入れてプレス面を平らにすると、しっかり圧力がかかります。写真(猫)と、0.75mm・1mm・2mm・3mmの文字、犬のイラストを刷りました。
完全に冷めてから剥がした結果、0.75mmの文字はついた部分とつかなかった部分が出ました。「F」の字の細い横線などが欠けています。1mm以上なら無難、2mm・3mmならより安心というのが今回の結果です。写真やイラストのような面のあるデザインは問題なく転写できました。

こちらもフォースインペーパーSで仕上げプレスをすると、だいぶ生地になじみ、犬のイラストの下からジュートの網目が見えるようになりました。ただし、欠けた部分は仕上げプレスで直るわけではなく、かえって目立ちます。
小さいジュート:家庭用アイロンで
小さいジュートバッグには、家庭用アイロンで文字だけのデザインを貼りました。生地をならしてフィルムを置き、全体にしっかり体重をかけてプレスします。剥がしてみると、3mmと2mmは問題なし、1mmもおおむね転写できました。

バッグ別のプレス条件まとめ
動画の実演の条件と結果を、バッグごとに整理しました。どのバッグも、完全に冷めてから剥がすのが共通です。
| バッグ | プレス方法 | 条件 | 結果・注意点 |
|---|---|---|---|
| 薄手コットン (ファイルバッグ) | ミニプレス機+シリコン紙。下敷きなし | 130℃・20秒 | きれいに転写。家庭用アイロンでも可 |
| 厚手コットン | ミニプレス機。事前プレス3秒 | 130℃・30秒 | 0.75mmの文字まで転写。底のマチの影響に注意 |
| フェルト | 家庭用アイロン+マットの中敷き。事前プレスで平らに | 実測128℃、体重をかけて場所と向きを変え2回 | プレス機ではマチの段差で線の跡。押しの甘い部分は再プレス |
| 不織布 | ミニプレス機+シリコン紙 | 20秒ほど | 熱で歪みが出た。温度・時間・圧力を下げる。保冷機能付きは不可 |
| ジュート(大) | ミニプレス機。持ち手を台から外し、中敷き | しっかり圧力をかける | 0.75mmは一部欠け。1mm以上が目安 |
| ジュート(小) | 家庭用アイロン | 全体に体重をかける | 3mm・2mmは問題なし、1mmもおおむね可 |
※動画での実演の条件です。生地の厚み、プレス機やアイロンの個体差で最適な条件は変わります。本番の前に、同じバッグでテストしてください。仕上げプレスは、コットン系・ジュートではフォースインペーパーSを使いました。
1時間の枚数と費用
小型DTFのA4機は、A4いっぱいのデザインで1時間に約10枚が目安です。印刷に時間がかかるのが小型DTFの弱点ですが、バッグのプリントはA4いっぱいを使うことが少なく、小さいデザインなら1枚のフィルムに複数面付けできます。

| デザインの大きさ | 1時間に作れる枚数(目安) | 資材代(動画撮影時) |
|---|---|---|
| A4いっぱい | 約10枚 | 約150円(フィルム約120円+印刷代約30円) |
| A4の半分(2面付け) | 約20枚 | 約75円 |
| A4の4分の1(4面付け) | 約40枚 | 約38円(150円÷4で計算) |
※4分の1サイズの資材代は、動画のA4 1枚約150円を4で割った参考値です。現在(2026年10月時点)の製品ページでの目安は、A4 1枚あたり印刷フィルム132円+印刷代35円で約167円(税込)です。デザインにより変動します。
いくらで始められるか
| 項目 | 動画撮影時 | 2026年10月時点 |
|---|---|---|
| 小型DTFプリンター(A4機) | WIP754 27万円 | WIP754R 270,000円(税別) |
| プレス | ミニプレス機 | あおり式ミニプレス機 JL-PL001E(作業台23×30cm)など。価格は製品ページでご確認ください |
| 始める費用の目安 | WIP754+ミニプレス機で約32万円 | プリンター本体270,000円(税別)+プレス機 |
| アイロン | 動画で使ったアイロンは5,000円程度と紹介 | ― |
※WIP754Rの本体セットには、パウダー500g・インク(CMYK各70ml、白70ml×2本)・印刷フィルムA4 100枚などが付属します。パソコン(Windows)は別途必要です。A3機(WIP A3、350,000円・税別)は2026年7月からプリンターの販売を見合わせています。
向かないケース・注意点
バッグはDTFの得意分野ですが、何でもうまくいくわけではありません。動画で分かった注意点をまとめます。
家庭用アイロンは手軽ですが、押していない部分が残りやすいのが弱点です。数をこなすなら、ミニプレス機など圧力と温度が安定する道具があると作業が楽になります。
また、小型DTFは印刷に時間がかかり、白インクを使うため作業前のクリーニング(通常1回約100円)などの手入れが必要です。綿・ポリエステルのトートバッグが中心で、生産性やメンテナンスの少なさを重視するなら、白トナープリンタと抜ける転写紙Type-C(キャンバスバッグなど厚手の生地向け)という選び方もあります。白トナーでのトートバッグへのプリントは、無地トートバッグの仕入れ先の記事で紹介しています。
よくある質問
- 小型DTFでどんなバッグにプリントできますか?
- 動画では、薄手と厚手のコットンバッグ、フェルトバッグ、不織布バッグ、ジュートバッグの5種類にプリントできました。保冷機能の付いた不織布バッグは熱転写できません。
- バッグにプレスする温度と時間は?
- 動画では、薄手のコットンバッグが130℃・20秒、厚手のコットンバッグが130℃・30秒(事前プレス3秒)でした。フェルトバッグは家庭用アイロン(実測128℃)で体重をかけて2回押しています。どれも冷めてから剥がします。
- ジュートバッグに細い文字は刷れますか?
- 0.75mmの文字は一部が欠けました。1mm以上なら無難、2mm・3mmならより安心です。受注するなら「線や文字は2mm以上」などのルールを決めておくのがおすすめです。
- プレス機がなくてもできますか?
- フェルトと小さいジュートバッグは家庭用アイロンで転写しました。コテ面がフラットで穴のないアイロンを使い、押していない部分が残らないように注意してください。数をこなすならプレス機があると便利です。
- 1時間に何枚作れて、1枚いくらかかりますか?
- A4いっぱいのデザインで1時間に約10枚、A4の4分の1サイズなら4面付けで約40枚が目安です。資材代は動画撮影時でA4 1枚約150円、2026年10月時点の製品ページの目安では約167円(税込)です。
- いくらで始められますか?
- 動画撮影時は、小型DTFプリンターWIP754とミニプレス機で約32万円と紹介しています。2026年10月時点では、A4機WIP754Rが270,000円(税別)で、これにプレス機とWindowsパソコンが必要です。
この記事のもとになった動画
【実演解説】小型DTFでバッグにプリントするメリットを説明します 業者様向けDTFプリント講座(約17分。機種名・価格は動画公開当時のもの。WIP754は現在WIP754Rとして販売)
バッグへのDTFプリント、仕上がりを確かめませんか
小型DTFの無料サンプルをお送りしています。東京・大阪・福井のショールームでは、
実機でのプリントもご覧いただけます(完全無料・要予約)。
※本記事の価格は2026年10月時点の情報です。動画内の機種名・価格・資材代は動画公開当時のものです。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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