熱転写プリントの
生地・素材別の注意点5つ
綿・ポリ・ナイロン・スウェット・トート
これからプリントを始める方から、いちばん多くいただく質問のひとつが「生地ごとに、何に気をつければいいですか?」です。綿とポリエステル、ナイロンでは、熱を当てたときの性質がまったく違います。
この記事では、白トナー転写とDTFでの実例をもとに、5つの素材の注意点と対策をまとめました。シートの種類が違っても、熱転写全般に使える内容です。
| 素材 | いちばんの注意点 | 対策 |
|---|---|---|
| 綿 | 時間がたつとシワが出る | シワがあれば事前プレスで伸ばす |
| ポリエステル | プレス跡(変色)が残る | 温度低め・時間短め・圧は普通。あたり軽減シート |
| ナイロン | 熱で縮む | 先に生地だけプレスして縮ませてから転写 |
| スウェット | 厚くて熱と圧が届きにくい | 温度・時間・圧をしっかり上げる |
| トートバッグ | 硬く、段差が多い | 表面に貼りつくタイプの転写紙+段差をなくす |
※温度・時間は、当社の白トナー転写紙(抜ける転写紙)とDTFでの目安です。お使いのシートの説明書もあわせてご確認ください。
どの素材にも共通する「段差」の対処法
素材の話の前に、すべての生地に共通する注意点です。たとえば襟ぐりのすぐ下にプリントするとき、襟ぐりがプレス台の上にあると、そこだけが高くなり、プリントしたい場所に圧がかかりません。袖の縫い目なども同じです。


- じゃまな部分をプレス台から外す襟ぐりや袖を台の外に出せば、プリントしたい場所だけが台にのります。
- マットを中に入れて、プリントする場所を高くするラバースポンジマットや段差マットをTシャツの中に入れると、縫い目より高くなり、しっかり圧がかかります。
マットの種類や使い分けは、ウェアプリントでのマットの使い方で詳しく解説しています。
綿:シワがあれば事前プレス
綿のTシャツは、買ってからしばらく置いておくとシワが出やすい素材です。届いたばかりの新品にはあまりありませんが、在庫として置いておくうちに目立ってきます。
シワのある場所にそのままプリントすると、シワがプリントに影響します。そのときは、転写紙をのせる前に生地だけをプレスして、アイロンがけのようにシワを伸ばしてください。これを「事前プレス」と呼びます。
- シリコン紙をのせる生地の汚れや熱板の汚れを防ぐため、シリコン紙(リケイ紙)を敷きます。
- 5〜10秒ほどプレスする温度はふだんのプリントと同じ130〜135℃で大丈夫です。
パッと見てシワが気にならなければ、事前プレスは必要ありません。

白トナー転写・DTFとも、130〜135℃で20〜30秒プレスし、冷めてからはがします。綿は熱転写がもっとも安定しやすい素材なので、特別な工夫はあまり必要ありません。
ポリエステル:プレス跡に注意
ポリエステルは綿のようなシワはほとんど出ないので、事前プレスは基本的に不要です。生地の表面がなめらかなので、転写そのものは綿よりしやすいくらいです。
気をつけたいのはプレス跡です。ポリエステルは、熱板が当たった部分の色そのものが変わってしまうことがあり、当たっていない部分との差が四角く目立ちます。綿と違い、洗濯しても消えません。
- 温度はできるだけ低く当社の抜ける転写紙タイプWなら、120℃くらいでも転写できます。
- 時間は短く、圧は普通程度に20秒ほど、強すぎない圧でプレスします。
- あたり軽減シートを使うシリコン紙の上にあたり軽減シート(別売)を重ねると、跡がつきにくくなります。
- それでも気になるときはスチームアイロン跡のまわりにスチームを当てると、目立たなくできます。


プレス跡の消し方は、プレス跡を目立たなくする方法で詳しく解説しています。
ナイロン:先に縮ませてから転写
ナイロン生地の最大の特徴は、熱を当てると縮むことです。新品でも、熱板を当てると生地がくしゃっと縮みます。
転写紙をのせたままいきなりプレスすると、生地が縮みながら転写されるので、プリントがしわしわになって失敗します。

- 生地だけを先にプレスして縮ませる転写紙をのせずに一度プレスし、生地を縮ませます。
- 縮んだ生地を伸ばして整えるしわを伸ばして平らにします。2回目に熱を当てたときは、もうほとんど縮みません。
- 転写紙をのせて、120℃・15〜20秒でプレスナイロンは溶けはしませんが熱に弱い素材です。表面がさらっとしているので、低めの温度・短めの時間で転写できます。
ナイロンに合う転写素材を選ぶ
| 方式 | おすすめ |
|---|---|
| 白トナー転写 | 糊がうすいタイプWを使う |
| DTF | ナイロン用のパウダー(粒子が細かい)とフィルム(うすいもの)を使う。当社でも販売しています |
綿やポリエステルに使うものよりうすい素材を使うほうが、仕上がりがきれいになります。
ジャンパーのファスナー対策
ナイロンのジャンパーは、前にファスナーがついていることが多く、そのままプレスするとファスナーの段差が影響します。


- ファスナーを開けて、プレス台にかぶせるファスナーが台の外に出るので、段差がなくなります。
- または、厚めのマットを中に入れるファスナーをつけたままなら、ジャンパーの中にマットを入れます。ナイロンは生地がうすいので、ラバースポンジマットでは足りないことがあり、厚みのある段差マットのほうが確実です。
スウェット:熱と圧をしっかり
トレーナーやパーカーのスウェット生地は、Tシャツに比べて厚くて硬く、表面に凹凸があります。繊維が詰まっていて、糊が奥まで入りにくいのが特徴です。

| Tシャツ(綿) | スウェット | |
|---|---|---|
| 温度 | 130℃ | 135℃(少し高め) |
| 時間 | 30秒 | 40秒ほど(5〜10秒のばす) |
| 圧力 | 普通〜強め | しっかり強く |
※抜ける転写紙タイプWでの目安です。
さらに、マットを中に入れてしっかり圧を出すと、Tシャツと同じように転写できます。トレーナーでうまくいかないときは、熱量と圧力が足りないことがほとんどです。パーカーのポケットやフードへのプリントは、パーカーの特殊な部分にプリントする方法で解説しています。
トートバッグ:転写紙選びと段差
キャンバス生地のトートバッグは、とても硬く、繊維がぎっしり詰まっているため、糊が奥に入りにくい構造です。
表面に貼りつくタイプの転写紙を使う
| 方式 | トートバッグでのおすすめ |
|---|---|
| 白トナー転写 | タイプC(シールのように表面に貼りつくタイプ)。タイプWは繊維の奥に入る構造なので、トートバッグでは失敗しやすい |
| DTF | 通常の綿用でOK。ただし、しっかり圧をかけないと難しい |
どちらの方式でも、温度・時間・圧力をしっかり上げてプレスしてください。
形がいろいろ。段差をなくす工夫が必要
トートバッグは、マチやボタン、ポケットがあるなど、形がさまざまです。段差をなくすために、じゃまな部分を台の外に出したり、ラバースポンジマットを切って中に入れたりします。形によっては、プレス機ではなく家庭用アイロンのほうが作業しやすい場合もあります。

段差の多いバッグは、1枚ごとに手間がかかります。お客様から注文を受けるときは、シンプルでプリントしやすい形のバッグを提案すると、作業の効率が大きく変わります。トートバッグを専門に扱う問屋さんには、種類がたくさんあります。
まとめ:基本は「熱量と圧力」
素材によって注意点は違いますが、熱転写の基本はしっかり熱を伝えて、しっかり圧をかけることです。そのうえで、
- ポリエステルは圧や熱をかけすぎるとプレス跡が出る
- ナイロンは熱で縮むので、先に縮ませる
- スウェット・トートは熱と圧が足りなくなりやすい
という熱を当てたときの性質の違いを知っておくと、これからのプリントがぐっと楽になります。
素材ごとの転写紙の選び方は、抜ける転写紙の商品ページでも確認できます。
よくある質問
- 綿のTシャツは事前プレスが必要ですか?
- シワが目立つときだけで大丈夫です。綿は買ってから時間がたつとシワが出やすいので、その場合はシリコン紙をのせて130〜135℃で5〜10秒ほどプレスし、シワを伸ばしてからプリントしてください。
- ポリエステルのプレス跡は洗濯で消えますか?
- 消えません。綿のプレス跡は繊維がつぶれただけなので洗濯で戻りますが、ポリエステルは熱で色そのものが変わるため残ります。温度を低く、時間を短く、圧を普通程度にし、あたり軽減シートを使ってできるだけ目立たなくするのが対策です。
- ナイロンのジャンパーにプリントしたら、しわしわになりました
- ナイロンは熱で縮むため、転写紙をのせたままプレスすると縮みながら転写されて失敗します。先に生地だけをプレスして縮ませ、伸ばして整えてから、転写紙をのせて120℃・15〜20秒ほどでプレスしてください。
- トレーナーにうまく転写できません
- スウェット生地は厚くて硬いため、熱量と圧力が足りないことがほとんどです。Tシャツより温度を少し上げ、時間を5〜10秒のばし、マットを中に入れてしっかり圧をかけてください。
- トートバッグにはどの転写紙が向いていますか?
- 白トナー転写なら、表面にシールのように貼りつくタイプCがおすすめです。繊維の奥に入るタイプWは、硬く詰まったキャンバス生地では失敗しやすくなります。DTFの場合は通常の綿用で大丈夫ですが、しっかり圧をかけてください。
この記事のもとになった動画
【計5種類】熱転写プリントでの生地・素材別の注意点を解説 業者様向けTシャツプリント講座(約18分)
素材ごとの仕上がり、
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