プリント機器導入の
よくある失敗5つと
防ぐための心得
当社のショールームには、これからTシャツプリントを始める方が毎年たくさん来られます。その中で、「この機械を買ったけれどうまくいかず、別の機械を探している」というお話を何度も聞いてきました。
この記事は、500件以上の商談で実際に聞いてきた導入の失敗事例5つと、失敗を防ぐための心得をまとめたものです。特定の製法をすすめる話ではありません。どの機械を選ぶ方にも共通する、買う前に確かめておきたいポイントです。
- 失敗のいちばんの原因は、「やりたいこと」と「その機械でできること」のズレ。価格の安さだけで選ぶと起こりやすい
- 機械を選ぶ前に、何ができて(得意)、何ができないか(苦手)を把握する。導入して1年後の注文をイメージして、不足が出ないかを見直す
- プレス機は高価な機種や自動機なら安心、とは限らない。使いそうな製法をすべて挙げて、その1台で対応できるかを確認する
- 買う前に、導入後の質問先と、その販売店がその機器を得意としているかを確かめる。担当者が1人だけだと、休暇や退職のときに困る
- 導入はゴールではなくスタート。売ったら終わりではなく、導入後に上手くいくまで付き合ってくれる先を選ぶ
よくある失敗事例5つ(一覧)
まずは全体像です。前半の3つは「機械選び」、後半の2つは「買う先選び」の失敗です。どれも、当社が商談の中で実際に聞いてきたケースです。
| 失敗 | よくある状況 | 根本の原因 |
|---|---|---|
| ① 昇華プリンター | 初期費用の安さで選んだら、白・淡色のポリエステルにしか刷れなかった | 昇華転写でできることの理解不足 |
| ② ガーメントプリンター | 黒や濃色のTシャツにも刷りたいのに、白・淡色にしか刷れない機種を選んだ | 対応できる生地の幅を確認していない |
| ③ プレス機 | 後から別の製法を追加したら、圧力が足りずうまく転写できなかった | プレス機と製法の相性を確認していない |
| ④ 相談窓口 | メーカーに聞くと「販売店へ」、販売店に聞くと分からない。質問先を失った | 導入後の窓口を確認していない |
| ⑤ 餅は餅屋で | その機器が得意ではない販売店から買い、質問しても答えが返ってこない | 販売店の得意分野を確認していない |
※動画撮影時(2023年)の、プリント製法についての一般論です。例外はあります。また、事実に基づいていますが、当社の主観を含む点はご了承ください。
失敗①② 「できること」を知らずに機械を選ぶ
① 初期費用の安さで、小型の昇華プリンターを選んだ
「Tシャツプリントを始めたい。でもできるだけ安く始めたい」。そう考えて小型の昇華プリンターを選ぶ方は少なくありません。動画撮影時、A4の昇華プリンターは85,800円(税別)ほどで、プレス機と合わせても20万円を切るくらいでした。始めやすさはとても魅力的です。
ただし、昇華転写で布にプリントできるのは、白(淡色)のポリエステル生地に限られます。たとえば白のドライTシャツや、白のポリエステルのタオルです。綿の生地や、黒などの濃色生地には刷れません。

一方で、一般的なプリントTシャツは白以外の需要が多いのが現実です。白より黒のほうが売れることもよくあります。その結果、お客様の注文に応えられず、次のプリント機器を探すことになる。これが1つ目の失敗です。
原因は、昇華転写でできることを十分に知らないまま、「自分のやりたいことができる」と思い込んでしまったことです。もう少し予算を上げれば、ほとんどの生地に色を問わずフルカラーで刷れる機械もあります。「最初から昇華プリンターを買う必要はなかった」と後悔される方もいます。
② 白・淡色生地にしか刷れないガーメントプリンターを選んだ
2つ目も、理屈は同じです。ガーメントプリンターの中には、白・淡色の綿やポリエステルにしかプリントできない機種があります。導入してから「黒や濃色のTシャツにも刷りたい」となっても、その機械では対応できません。対象の素材が限られていて、やりにくさを感じる方が多い失敗です。
今、業界で売れているのは、1つの機械で多様なお客様のニーズに対応できるプリンターです。DTFが広まっているのも、生地の種類や色を選ばずに刷れることが大きな理由です。
心得:導入するプリント機器で「何ができて(得意で)、何ができないか(苦手か)」を、事前にしっかり把握してください。今はネットで調べれば、各機種のできること・できないことは簡単に分かります。
失敗③ プレス機の選定を間違う
熱プレス機は、世の中に無数の種類が販売されています。見た目は似ていても、それぞれ細かく特徴が違います。大きく分けると、圧力が強いものと強くはないものがあり、さらに温度が安定しているかどうかにも差があります。
| プレス機のタイプ | 向いている使い方(一般論) |
|---|---|
| 圧力が強くないプレス機 | シルクスクリーンやガーメントプリントの乾かし。DTFプリントやほかの転写にも使える |
| 圧力がしっかりかかるプレス機 | 白トナープリント、溶剤プリント、カッティングなど、圧力が求められる製法。DTFなどほかの転写も、圧力が強いほうが安定しやすい |
失敗が起きるのは、最初に買ったプレス機のまま、圧力が求められる製法を後から追加したときです。たとえば、安くて小さいプレス機で白トナーの転写をしようとして、圧力のムラでうまく転写できないケースがあります。
やっかいなのは、外から見分けるのが難しいことです。自動機だから圧力が強い、価格が高いからしっかり圧力がかかる、とは限りません。高価な自動プレス機でもうまくいかない例がある一方、手頃な手動機でしっかり圧力がかかる例もあります。これが熱プレス機の世界です。

プレス機で確かめておきたい6つの製法
プレス機は一度導入すると、処分や入れ替えがなかなか難しい機械です。もう1台買う、差し替える、という失敗を防ぐために、次の製法のどれに対応できるかを販売店に聞いてください。
- シルクスクリーン(乾かし)
- カッティング
- 白トナープリント
- DTFプリント
- ガーメントプリント(乾かし)
- 昇華転写
あわせて、故障率や故障したときの対応も聞いておくと安心です。はっきりした答えが返ってこない場合は、不安材料と考えてよいでしょう。プレス機は同じ型番でも個体差が出ることがあるため、いちばん確実なのは実機でいろいろテストすることです。
※参考:動画撮影時(2023年)の当社の手動プレス機(作業台38×38cm)は58,000円(税別)で、ほぼすべての熱転写に対応するものとしてご案内していました。長期利用での故障率は5%以下、自社工場でのアフター対応、温度の安定性と圧力の強さが特徴です。現在の機種・価格は熱プレス機のページでご確認ください。
失敗④⑤ 相談窓口と「買う先」を確かめない
残りの2つは、機械そのものではなく「誰から買うか」の失敗です。導入した後に起きる問題ですが、防げるのは買う前だけです。
④ 導入後の相談窓口を確かめていなかった
実際にあったケースです。あるお客様が、メーカーAのプリンターを販売代理店Bから購入しました。
- 使い方で分からないことがあり、メーカーAに質問した
- メーカーAの答えは「販売店Bに聞いてください」
- 販売店Bに質問すると、Bはそのプリンターについてよく分かっていなかった
- 結果として、明確な答えが返ってくる質問先を失ってしまった

このケースでは最終的にメーカーが対応してくれましたが、対応してもらえないこともあります。今は、ほとんどのプリント機器を、知見がなくてもどの会社でも販売できる時代です。カタログやECサイトに載せておき、注文が入ったら仕入れて売る、という販売も当然あります。
心得:導入した後に困ったら、どこに聞けばよいのか。その先は、本当にその機器を分かっているのか。これを買う前に必ず確認してください。せっかくお金を払って買っても、聞く人がいなければ、分からないまま悩み続けることになります。
⑤ 「餅は餅屋で」買わなかった
販売会社には、それぞれ得意なプリント機器(製法)があります。車のメーカーごとに得意な車種があるのと同じです。同じ会社のラインナップの中にも、得意な機器と、あまり経験のない機器が混ざっています。
得意ではない商品をその会社から買い、あとで質問しても十分な答えが返ってこなかった、というケースがあります。たとえば当社は小ロット・多品種の生産が得意な会社です。もし当社が、知見のない超大ロット向けの機器を販売すれば、導入後のフォローでお客様にご迷惑をおかけすることになるでしょう。どの会社にも、得意と不得意があります。

「全部扱っています」というのは、それだけでは大きな強みとは言えません。見るべきは、その会社が何屋さんなのかです。得意な会社の中でも、担当者によって詳しさに差があることもあります。担当者1人に頼りきりだと、その人が長期休暇や退職でいなくなったときに困ります。
心得:
- その機器を売る会社が、その機器の取り扱いを得意としているかを確認する
- 導入後に対応してくれる担当者のほかに、もう1人以上対応できる人を確保しておく
- 分からないときに、社内で答えられる人やテストできる体制があるかを確認する
- 導入しようとしている製法の知識をネットなどで予習し、いくつかの販売先に質問して「大丈夫か」を判断する
失敗を防ぐための導入前チェックリスト
ここまでの心得を、買う前に確認する項目としてまとめました。どの製法・どのメーカーの機器を検討している方にも使えます。
| 確認すること | 確かめ方 | 防げる失敗 |
|---|---|---|
| 受けたい注文の生地(綿・ポリ・ナイロン)と色(白・濃色)に対応しているか | 受けたい注文を書き出し、メーカーの仕様や販売店に照らし合わせる | ①② |
| その機械が「得意なこと」と「苦手なこと」 | ネットで各機種のできる・できないを調べる。複数の販売先に聞く | ①② |
| 導入して1年後も、その機種で不足が出ないか | 1年後に受けていたい注文をイメージして見直す | ①②③ |
| プレス機が、使いそうな製法すべてに対応できるか | 6つの製法を挙げて販売店に聞く。圧力の強さと温度の安定性を確認 | ③ |
| プレス機の故障率と、故障したときの対応 | 販売店に聞く。はっきり答えられない場合は要注意 | ③ |
| 実機やサンプルで仕上がりを確かめたか | デモや無償サンプルで確認。できれば実機でテストする | ①②③ |
| 導入後に困ったときの質問先 | メーカーと販売店のどちらが答えるのか、その窓口が機器を分かっているかを聞く | ④ |
| 販売店がその機器を得意としているか | その会社が何屋さんなのか、その機器の販売・サポート経験を聞く | ⑤ |
| 担当者以外に対応できる人がいるか | 担当者のほかに、もう1人以上相談できる人を確保する | ④⑤ |
| 導入後のアフターフォローの中身 | フォローができるか、具体的にどう対応しているかを聞く | ④⑤ |
導入はゴールではなくスタート
お客様にとって、機器の導入はスタートです。本当のゴールは、導入した機械で実際にプリントがうまくいき、仕事が回るようになることです。
ところが販売店によっては、売ったところがゴールになってしまうことがあります。機械を売って終わり、という会社には、導入後のフォローは期待しにくいかもしれません。資材を使い続けてもらうことで成り立っている会社は、導入後もお客様が上手くいくように力を入れる傾向がある、と当社は考えています。買う前に、導入後のアフターフォローができるのか、どのようにフォローしているのかを確かめてください。

初期導入で失敗すると、せっかくプリントを始めようと思った気持ちが折れてしまいます。「もういいや」とやめてしまう方を見るのは、プリント業界にとっても大きな損失です。失敗の多くは、やりたいこととできることのズレから生まれます。販売する側も購入する側も、このミスマッチを減らしていくべきだと当社は考えています。
気になる製法があれば、まずはその製法で何ができて何ができないのかを調べてみてください。この記事が、その確認のきっかけになれば幸いです。製法ごとの特徴は「ウェアプリントの各製法の特徴」にまとめています。
よくある質問
- Tシャツプリント機器の導入で、よくある失敗は何ですか?
- ①安さで昇華プリンターを選び、白・淡色のポリエステルにしか刷れないと後から気づく。②濃色に刷れないガーメントプリンターを選ぶ。③プレス機の圧力や温度の安定性が足りない。④導入後の質問先がない。⑤その機器が得意ではない販売店から買う。この5つが多いケースです。
- 昇華プリンターはTシャツプリントに向いていないのですか?
- 向き不向きがはっきりした機械です。布へのプリントは白(淡色)のポリエステル生地に限られ、綿や濃色には刷れません。白のポリエステル生地やマグカップの受注が多い方には良い選択です。
- プレス機はどう選べばよいですか?
- 価格や自動・手動だけで判断せず、圧力の強さと温度の安定性を確認してください。使いそうな製法をすべて挙げて、その1台で対応できるかを販売店に聞くのが確実です。同じ型番でも個体差があるため、できれば実機でテストしてから決めましょう。
- プリント機器はどこから買うのがよいですか?
- その機器の取り扱いが得意な販売店から買うことをおすすめします。導入後の質問先、その窓口が機器をよく分かっているか、担当者以外にも対応できる人がいるかを、買う前に確認してください。
- 機器を導入する前に、何をしておけばよいですか?
- 導入して1年後をイメージし、その機種で対応できない注文が出ないかを見直してください。ネットで機種ごとのできること・できないことを調べ、販売店に質問し、無償サンプルや実機で仕上がりを確かめると、ミスマッチを大きく減らせます。
この記事のもとになった動画
【必見】Tシャツプリント機器導入の失敗事例と失敗を防ぐための心得 業者様向けTシャツプリント講座(2023年公開。価格・機種の情報は撮影当時のもの)
買う前に、「できること」を確かめませんか
白トナー・小型DTFの無償サンプルをお送りしています。東京・大阪・福井でデモ体験、
オンラインでの個別説明(30分程度)も受け付けています。
※本記事の価格・実績は2026年10月時点の情報です。動画内の価格(昇華プリンター・プレス機など)は撮影当時のものです。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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