黒のドライTシャツに
フルカラープリントする方法
ランニングやスポーツ、夏のイベントで着られるドライTシャツ。生地はポリエステルで、黒や紺などの濃い色も定番です。ところが、黒のドライTシャツにフルカラーでプリントするのは意外と難しい仕事です。高い温度でプレスすると生地の黒い色が浮き上がってきたり、プレスの跡が目立ったりするからです。
この記事では、当社の動画で実演した白トナー+抜ける転写紙タイプWでの作り方を、手順・温度・時間の順にまとめました。黒地でも色が沈まない理由と、ブリード(色の浮き上がり)を防ぐ温度の考え方、向かないケースまで、動画で話した内容をもとに整理しています。
- 黒のドライTシャツには、白トナーで印刷した抜ける転写紙タイプWが手軽。カッティングもカス取りもいらず、白を含むフルカラーで刷れる
- 動画では糊付けを約130℃・20〜30秒・強圧、生地への転写も130℃で行い、完全に冷めてから剥がして仕上げプレス
- ポリエステルは150℃を超えるとブリード(生地の黒が浮いて赤黒・グレーっぽくなる)が起こりやすい。130℃前後で作れるのが抜ける転写紙の強み
- ドライTはプレスの跡がつきやすい。気になるときは125℃・120℃に下げ、圧力を少し上げ、時間を延ばす
- 130℃でもブリードする生地は、そもそも転写に向かない。白い紙を当てて事前に確かめる
黒のドライTシャツが難しい理由
ドライTシャツはポリエステルの生地です。ポリエステルの濃色生地は、熱をかけすぎると生地を染めている色が浮き上がってくることがあります。これがブリードです。黒の生地なら、上にのせた白や明るい色が赤黒っぽく、グレーっぽくくすんでしまいます。
もうひとつはプレスの跡です。ドライTシャツの生地は表面が比較的なめらかなので、プレス機の熱盤の形がそのまま跡になりやすい性質があります。
つまり、黒のドライTシャツには「低い温度で、しっかりくっつく」プリントが向いています。動画では、白トナーで印刷する抜ける転写紙タイプWを使い、この条件で作っています。

※ブリードの起きる理由や、昇華・DTFでの見分け方はブリード(再昇華)を徹底解説で詳しくまとめています。
用意するもの
| もの | 役割・ポイント |
|---|---|
| 白トナープリンタ(WTRIP835)+RIPソフト | MPシートに白を含むフルカラーを印刷する。白にしたい部分をY1%に設定してRIPソフトから印刷する(商品ページの説明) |
| 抜ける転写紙 Type-W | MPシート(印刷用)とプラスターシート(糊)の2枚1組。綿・ポリエステル・ナイロンに対応。強撥水の生地は不可 |
| 熱プレス機 | 糊付けと生地への転写に使う。家庭用アイロンでは抜く工程ができないため、プレス機が必要 |
| ラミネーター | 手作業でマークを作る場合、2025年3月以降は必須(転写紙一覧ページの記載)。動画の撮影時(2020年)は、プレス機で糊付けしていました |
| リケイ紙(シリコン紙) | 剥がしたあとの仕上げプレスで、プリントの上にのせる |
| 無地のドライTシャツ | プリント向けのポリエステル生地を選ぶ。事前のテストは必要 |
※WTRIP835の本体価格は390,000円(税別)、A4 1枚あたりの資材代は転写紙代341円+印刷代33円で約374円です(2026年10月時点、商品ページより)。
作り方(印刷から仕上げまで)
動画で実演した流れです。デザインは、走る男女のイラストに「keep good manners」の文字を入れた、白を含むフルカラーです。
① 左右反転して、MPシートに印刷する
デザインを左右反転して、MPシートに白トナーごと印刷します。実際のMPシートは白いのでイラストが見えにくく、動画では見やすいように色のついた紙に印刷したもので説明しています。

② 糊を付ける(トリミング)
印刷したMPシートにプラスターシート(糊)を重ねて熱をかけ、熱いうちに剥がします。糊は印刷した部分だけにくっつき、余白には残りません。動画では約130℃・20〜30秒・強圧でプレスしています。


カッティングもカス取りもないので、イラストが細かくても複雑でも、この作業時間は変わりません。動画では「生産性の面で効率が良い」と説明しています。
③ 4辺を切って、ドライTシャツにのせる
糊付けしたマークの4辺を切り、ドライTシャツの上にのせます。動画の生地はポリエステルで表面が比較的平らなため、事前プレス(生地のしわ・湿気を取るプレス)はしなくても大丈夫と説明しています。

④ 130℃で転写する
動画では「130℃で10秒くらいで大丈夫」と説明し、実演では約20秒プレスしています。温度を下げた場合は、そのぶんプレス時間を延ばします(次の章で説明します)。

⑤ 完全に冷めてから剥がし、仕上げプレス
転写したあとは、完全に冷めてから裏紙を剥がします。最後にリケイ紙をのせて仕上げプレスをすれば完成です。


※プレスの温度・時間は転写紙ごとに異なります。タイプWの商品ページの洗濯堅牢度試験は「135℃30秒プレス→135℃30秒でシリコン紙をのせて仕上げプレス」の条件です。ドライTシャツでは、次の章のとおり温度を控えめにして調整してください。
温度の考え方:プレス痕とブリード
プレスの跡が気になるとき
ドライTシャツは生地が平らなぶん、プレスの跡がつきやすくなっています。防ぎたいときは、動画では次のように説明しています。
| 調整 | 内容 |
|---|---|
| 温度を下げる | 130℃から125℃、120℃へ |
| 圧力を上げる | 温度を下げたぶん、圧力を少し上げる |
| 時間を延ばす | 温度を下げた場合は、プレス時間を少し延ばす |
プレス跡を目立たなくする資材についてはウェアプリントでのマットの使い方も参考になります。
ブリードは「温度が低いほど起こりにくい」
動画では、ポリエステル系の生地は150℃を超えるとブリードが起こりやすくなると説明しています。130℃ほど(125℃くらいでも可)でプレスすれば、色は保たれます。逆に160℃、170℃でプレスすると、黒い色が浮き上がって赤黒っぽく、グレーっぽくなるおそれがあります。

黒地でも色が沈まない理由
動画で挙げた技術的な特長の1つ目は「発色がきれい」なことです。理由は、糊付けで使ったプラスターシートの白い糊にあります。
糊はイラストの後ろ(生地側)に入ります。黒い生地の上に、まず白い糊の層があり、その上に色がのる形になるので、生地の色に負けません。黒でも、赤でも、青でも、発色の強い仕上がりになります。


ドライTシャツの仕事を押さえておく理由
動画を撮影したのは2020年5月です。東京ショールームのある巣鴨の近くでも、走っている方が目に見えて増えたと話しています。ジムが休みになったことや、遠出ができず趣味が変わったことで、新しくランニングを始めた方が増えたためです。
動画では「ランニングは体の調子が良くなるので、始めた方は続けていくはず」と話しています。仲間と同じTシャツで走る、チームでそろえるといった、これまでのウェアプリントと同じ需要が期待できます。夏に向けてドライTシャツのフルカラープリントを押さえておくことを、動画では業者様にすすめています。
※この章は動画撮影時(2020年5月)の状況をもとにした話です。
向かないケースと注意点
そのほか、作業面で知っておきたい点です。
| 注意点 | 内容 |
|---|---|
| 剥がすタイミングが2回ある | 糊付けは熱いうちに、転写は完全に冷めてから。逆にすると失敗します |
| 糊付けは手作業 | 1枚あたり約60〜90秒(現在の手順)。枚数が多い場合は、自動糊付け機ペイスターと専用のタイプP(A4 1枚約12秒)という選択肢もあります |
| 生地ごとのテスト | 同じ「ドライTシャツ」でもメーカー・品番で生地が違います。新しい品番は、白い紙でのブリード確認と試しプリントをしてから受注してください |
生地ごとの注意点は熱転写プリントの生地・素材別の注意点5つ、汗をかいたときのプリント部分の変化は汗をかいたとき、プリント部分はどうなる?で検証しています。
よくある質問
- 黒のドライTシャツに白を含むフルカラーでプリントできますか?
- できます。白トナープリンタで抜ける転写紙タイプWに印刷すれば、白を含むフルカラーで、カッティングやカス取りをせずにプリントできます。糊の白い層が下地になるため、黒い生地でも色が沈みません。
- ドライTシャツへのプレス温度と時間は?
- 動画では、糊付け(トリミング)を約130℃・20〜30秒・強圧、生地への転写を130℃(説明は10秒くらい、実演は約20秒)で行い、完全に冷めてから剥がして仕上げプレスしています。プレス跡が気になる場合は125℃・120℃に下げ、圧力を少し上げて時間を延ばします。
- ブリードとは何ですか?防ぐには?
- ポリエステル生地を染めている色が熱で浮き上がり、上にのせた色が赤黒っぽく、グレーっぽくなる現象です。動画では150℃を超えると起こりやすく、130℃ほどなら色が保たれると説明しています。130℃でも起こる生地は、温度を下げても改善しにくく、転写には向きません。
- ブリードしやすい生地かどうか、事前に確かめる方法は?
- 生地に白い紙をのせて熱をかけ、白い紙に黒い色が移ってくるかを見ます。色が移る生地はブリードしやすいので、受注前に確かめておきましょう。
- 家庭用アイロンでも作れますか?
- 作れません。抜ける転写紙は、印刷した部分だけに糊を付ける工程にプレス機が必要です。また、手作業でマークを作る場合は、2025年3月以降はラミネーターも必須です。
この記事のもとになった動画
【絶対おさえたい】黒のドライTシャツにフルカラープリントする方法(2020年5月25日公開。糊付けの手順は撮影当時のもの)
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白トナーの無料サンプルをお送りしています。東京・大阪・福井でデモ体験も受け付けています。
抜ける転写紙 Type-Wを見る 白トナープリンタWTRIP835を見る 白トナーの無料サンプルを申し込む デモ・見学を予約する※本記事の価格・仕様は2026年10月時点の商品ページの情報です。プレス条件・手順は動画撮影時(2020年5月)のものを含みます。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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全面プリント転写紙
発泡シート
箔・ラバー・ラメ
トナー・ドラム
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