転写後に「冷ます時間」を
短くする3つのアイデア
アルミ板・扇風機・冷蔵庫で試しました
抜ける転写紙タイプWは、2023年の仕様変更で、生地に転写してから裏紙を剥がすまでの冷まし時間が「5分以上」から「10分以上」に延びました。1枚ごとに10分待つのは、枚数が多い現場ほど負担になります。実際に多くのお客様から、この点についてご不満の声をいただきました。
そこで東京ショールームで、冷めるのを早める工夫を3つ試しました。冷えたアルミ板をかぶせる、扇風機の風を当てる、冷蔵庫に入れる、の3つです。どれも5分で剥がして、何もしないで置いたものと比べています。
先にお伝えしておくと、現在の作り方説明書の手順は「10分以上放置し、完全に冷めてから剥がす」のままです。この記事は、説明書の時間を短くしてよいという案内ではありません。動画の実演結果と、現行の案内との付き合い方を分けてまとめます。50枚の全工程を計った後工程ガイドの続編です。
- 冷まし時間の基準は、今も説明書の「10分以上・完全に冷めてから」。冷まし時間を短くすることは当社として保証できる範囲ではないと、動画でもお伝えしています
- 3つの方法は、どれも冷めるのを加速させるものです。動画では3つとも、5分で剥がすことができました
- いちばん手軽なのは扇風機。空調の効いた部屋で扇風機の風を当てると、触った感じもアルミ板より冷えていて、反発がほとんどなく滑らかに剥がせました
- 冷えたアルミ板(冷蔵庫で冷やした厚さ3mmの板)を上からかぶせると、何もしないものより引っかかりが少なく、きれいに剥がせました。ステンレスなど冷やせる板でも代用できます
- 冷蔵庫は剥がせたものの、中で水滴がつくおそれがあります。動画でも水滴が1滴ついていました
- どの方法でも共通の基本は、転写紙の面を下にして置くこと。机などの土台は冷めやすいためです(商品ページでも推奨)
なぜ冷まし時間が10分以上になったのか
抜ける転写紙タイプWは、印刷したシートに糊(プラスターシート)をのせてマークを作り、生地にプレスして、冷めてから裏紙を剥がす「コールドピール」の転写紙です。2023年の仕様変更で、このプラスターシートの糊の材質が変わりました。

動画では、変更の理由を環境基準への適合と法令遵守のためと説明しています。従来の材質のままでは作れなくなったためで、当社の抜ける転写紙は国産なので、日本国内のルールに合わせた変更です。
新しい糊は、冷めて定着するまでに少し時間がかかります。そのため、以前と同じ5分ほどで剥がすと糊がまだ柔らかく、定着不良になるおそれがあります。変更の内容はタイプWの作業の変更点で詳しく解説しています。
※仕様変更の時期は、タイプWの商品ページでは「2023年6月中旬以降」、この動画のテロップでは「2023年7月」と表記しています。
実験の条件と、共通の基本
3つの方法は、同じ生地・同じデザインで試しています。それぞれ、プレスしたあと5分のタイマーをかけて剥がし、隣で何もしないで置いておいたものと剥がしやすさを比べました。撮影は夜で、冷房の効いた室内です。
| 項目 | 動画での条件 |
|---|---|
| 転写紙 | 抜ける転写紙タイプW(2023年の仕様変更後のもの) |
| 生地 | United Athle 5401-01(綿100%)の黒Tシャツ |
| プレス | 130℃・25秒(動画撮影時) |
| 剥がすまでの時間 | 5分(比較のため、説明書より短くしています) |
| 環境 | 夜、冷房の効いた室内 |
※現行の作り方説明書では、生地への転写は135℃・20〜30秒(綿のTシャツの場合)です。動画の130℃・25秒は撮影時の実演の条件です。作業の際は、お手元の商品の説明書の条件で行ってください。

冷ますときは、転写紙の面を下に
3つの方法の前に、どの方法でも共通の基本があります。プレスが終わったら、Tシャツをひっくり返して、転写紙の面を下にして置きます。机などの土台は冷めやすいので、転写紙を土台に当てたほうが早く冷めます。タイプWの商品ページでも「冷ます際は転写紙面を下にして冷ますことを推奨」としています。

アイデア①:冷えたアルミ板をかぶせる
1つ目は、冷蔵庫で冷やしておいたアルミ板を使う方法です。動画では厚さ3mmのアルミ板を使いました。アルミでなければいけないわけではなく、ステンレスなど、冷蔵庫で冷やせる板なら代用できます。動画では「もう少し大きいサイズがあればよかった」とも話しています。
プレスが終わったら、冷えた板をマークの上に置きます。このとき、板を上にちょこんとのせるのではなく、マーク全体にかぶせるように置くのがポイントです。物理的に冷えたものに当てて、冷めるのを加速させます。
5分後の結果
まず、何もしないで置いておいたほうから剥がしました。剥がせないことはありませんが、少し反発があり、気持ち糊が残るところもあったかな、という感触でした。テロップでは「反発はあるも、5分で転写できてる」としています。

次に、アルミ板をかぶせて冷ましたほうです。こちらは引っかかりが全然なく、さーっときれいに剥がすことができました。


アイデア②:扇風機の風を当てる
2つ目は、扇風機です。動画で使ったのは、普通のハンディ扇風機。手で持ち続けなくてよいように、テープで机に固定して、プレスしたTシャツに5分間風を当て続けました。プレスは同じく130℃です。

5分後の結果
5分たって触ってみると、だいぶ冷めているのが分かりました。テロップでは「生地を触った感じはアルミ板より冷えてる(アルミ板×扇風機だとよりよいはず)」としています。剥がしてみると、反発がほとんどなく、滑らかに剥がすことができました。

一方、隣で何もしないで置いておいたほうも、少し反発はあるものの、比較的きれいに剥がせました。動画では、扇風機が近くにあったために、こちらも冷えたのかもしれない、と話しています。部屋全体が涼しい感覚だったそうです。

動画のまとめでは、3つの中でいちばん簡単だと感じたのが扇風機だと話しています。扇風機は高価なものではありませんし、エアコンの効いた部屋で扇風機を置いて風を当てると、周りの熱がどんどん逃げていきます。冷まし時間が足りずに失敗するケースを減らせる方法で、夏場の暑い時期にも有効です。
アイデア③:冷蔵庫に入れる
3つ目は、プレスしたTシャツを冷蔵庫に入れる方法です。使ったのは、飲み物を入れる程度の小型の冷蔵庫で、冷蔵庫としてのスペックは高くないものです。プレスしたTシャツをそのまま入れて、同じく5分待ちました。

注意点は湿気です。冷蔵庫に入れると、生地や転写紙に水滴がつく可能性があり、水滴がつくと仕上がりに悪影響が出ます。実際に5分後に開けてみると、水滴が1滴ついていました。
剥がしてみると、しっかり冷めていて、普通に剥がすことができました。ただ、滑らかさは扇風機のほうがよかったという感想です。

冷蔵庫は機種によって冷え方が大きく違うので、お持ちの冷蔵庫でテストするしかありません。動画でも、冷蔵庫を使った方法の結果は保証できないとお伝えしています。
3つの方法の比較
動画の結果を並べました。どれも5分で剥がした場合の結果で、何もしないで5分置いたものと比べてどうだったかを書いています。
| 方法 | 用意するもの | 5分で剥がした結果(動画) | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 何もしない | ― | 剥がせたが、少し反発があった | 現行の説明書では10分以上置く |
| ①冷えたアルミ板 | 冷蔵庫で冷やした金属板(動画は厚さ3mmのアルミ。ステンレスなども可) | 引っかかりがなく、滑らかに剥がせた | 上にのせるのではなく、マーク全体にかぶせる。板の大きさが足りるか |
| ②扇風機 | ハンディ扇風機など。机に固定する | 反発がほとんどなく、滑らか。触った感じはアルミ板より冷えていた | 空調の効いた部屋で使う。いちばん手軽 |
| ③冷蔵庫 | 冷蔵庫(動画は飲み物用の小型) | 普通に剥がせた。滑らかさは扇風機のほうが上 | 水滴がつくおそれ(動画でも1滴)。あまり冷えない場所に置く |
※動画の実演1回ずつの結果です。生地の素材やデザインによって変わります。テロップでは「アルミ板×扇風機だとよりよいはず」と、組み合わせも提案しています。
現行の案内「10分以上」との関係
ここがいちばん大事なところです。動画では5分で剥がしましたが、当社の案内は今も「10分以上」です。動画の中でも、次のようにお伝えしています。

| 現行の案内(2026年10月時点) | 動画の実演 | |
|---|---|---|
| 冷まし時間 | 10分以上放置し、完全に冷めてから裏紙を慎重に剥がす(作り方説明書) | アルミ板・扇風機・冷蔵庫で冷まして5分で剥がした |
| 冷まし方 | 転写紙の面を下にして冷ますことを推奨(商品ページ) | 転写紙の面を下にしたうえで、3つの方法で冷めるのを早めた |
| 生地への転写 | 135℃・20〜30秒(綿のTシャツ) | 130℃・25秒 |
| 保証 | 説明書どおりの作業が基本。うまくいかないときは当社へ相談 | 5分で剥がせなかった場合の責任は負いかねる。参考の目安として、各自でテストを |
この2つを合わせると、3つのアイデアの使い方は次のようになります。
- 基本は説明書どおり10分以上置き、完全に冷めてから剥がします。
- 3つのアイデアは、まず「確実に冷ますため」に使います。動画でも、扇風機で冷ますことで、冷まし時間が足りずに失敗するケースが少なくなると話しています。
- 冷まし時間そのものを短くしたい場合は、お使いの生地とデザインで、ご自身でテストしてから判断してください。当社として、冷まし時間の短縮は保証できる範囲ではありません。
- 剥がす前に生地を触って、完全に冷めているかを確かめます。剥がし始めて反発を感じたら、無理に剥がさず、もう少し待ちます。
待ち時間そのものを無駄にしない工夫もあります。後工程ガイドでは、Tシャツ50枚の全工程を計ったうえで、冷ます時間に次の作業を並べるやり方を紹介しています。冷ましているあいだにプレス機を止めず、次の1枚のプレスや仕上げを進めることで、待ち時間を作業時間に変えられます。
注意点
動画の最後では、「もっとよい冷却方法があれば、ぜひ教えてほしい」とお伝えしています。説明書どおりに作業してもうまく剥がせない場合は、お気軽に当社へご相談ください。
よくある質問
- タイプWは、生地に転写したあと何分冷ませばいいですか?
- 現行の作り方説明書では「10分以上放置」し、完全に冷めてから裏紙を慎重に剥がします。2023年の仕様変更で糊の材質が変わり、以前の「5分以上」から延びました。冷ますときは転写紙の面を下にすることを商品ページで推奨しています。
- 扇風機やアルミ板を使えば、5分で剥がしてもいいですか?
- 当社の案内は10分以上のままで、冷まし時間の短縮は保証できる範囲ではありません。動画では3つの方法とも5分で剥がせましたが、生地やデザインで結果は変わります。短くしたい場合は、お使いの生地とデザインでテストしてから、ご自身の判断で行ってください。
- 3つの中でどの方法がおすすめですか?
- 動画では、いちばん簡単だと感じたのは扇風機でした。空調の効いた部屋でハンディ扇風機の風を5分当てたTシャツは、触った感じがアルミ板より冷えていて、反発がほとんどなく滑らかに剥がせました。
- アルミ板はどんなものを使えばいいですか?
- 動画では、冷蔵庫で冷やした厚さ3mmのアルミ板を使いました。アルミでなくても、ステンレスなど冷やせる板で代用できます。マークの上にのせるのではなく、マーク全体にかぶせるように置きます。
- 冷蔵庫に入れても大丈夫ですか?
- 剥がすことはできましたが、中で生地や転写紙に水滴がつくおそれがあり、動画でも水滴が1滴ついていました。使う場合は、庫内のあまり冷えない場所に置いてください。冷蔵庫の性能で結果が大きく変わります。
この記事のもとになった動画
【実証】転写時の冷ます時間を短縮するアイデア3選をご案内 業者様向けTシャツプリント講座(2023年の仕様変更のあとに撮影した動画。プレス条件は撮影時の実演のものです)
※公開日は確認できなかったため、動画公開当時の内容として記載しています。
剥がすときの反発や失敗で
お困りならご相談ください
白トナープリンタをご検討中の方には、タイプWの無料サンプルをお送りしています。
東京・大阪・福井のショールームでは、プレスから剥がすまでの作業もご覧いただけます。
※本記事の手順・仕様は2026年10月時点のタイプWの商品ページと作り方説明書によります。動画内の温度・時間・冷まし時間は撮影時の実演のものです。作業の際は必ずお手元の商品の説明書をご確認ください。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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