抜ける転写紙の
4辺の切り方・冷まし方・
剥がし方とよくある失敗
抜ける転写紙タイプWの説明書には、生地にプレスしたあと「完全に冷めてから剥がす」と短く書いてあります。ほとんどの方はそれで問題なくプリントできていますが、少数ながら、4辺の切り方・冷まし方・剥がし方のところでつまずいている方もいます。
この記事では、転写マークができたあとの工程に絞って、当社が推奨する基本のやり方を写真でまとめました。あわせて、糊付け(トリミング)でよくある失敗と原因、4辺を切り忘れたときについてしまう白い糊の枠の取り方と予防策も紹介します。
- 4辺は必ず切る。ただしデザインぎりぎりに切らない。4方向のうち1か所でも余白があれば、そこから剥がしやすくなる
- 生地にプレスするときは、プリントしたい部分をいちばん高くして段差をなくす
- 冷ますときは生地ごと裏返して、転写紙の面を下に。紙が反る力で端の定着が甘くなるのを防げる。冷ます時間は10分以上(現行の説明書)、触って熱の余韻が無いことも確認
- 剥がすときは1点を押さえて一気に剥がさない。紙を少し持ち上げながら、もう片方の手で生地を下に押さえ、両手の間隔を狭く保つ
- 糊付け(トリミング)の失敗の主な原因はシートが冷めることと剥がす速度が一定でないこと
- 4辺を切り忘れてついた白い糊の枠は、仕上げプレスのあと、消毒用エタノールをかけて布の上から爪を立てるようにこすると目立たなくなる。乾かしてから検品する
マークができてから完成までの流れ
抜ける転写紙タイプWでプリントする流れは、次のとおりです。この記事で扱うのは、③〜⑥の工程です。
- 専用の白トナープリンタで、印刷シート(MP93シート)にデザインを印刷する
- 糊シート(プラスターシート)と重ねてプレスし、熱いうちに剥がす(糊付け・トリミング)。印刷した部分にだけ糊がつく
- 4辺を切る
- 生地に乗せてプレスする
- 完全に冷ます
- 転写紙を剥がす
- リケイ紙(シリコン紙)を乗せて、仕上げプレスをして完成
②の糊付けのやり方は、タイプWの剥がし方(糊のつけ方)完全ガイドで詳しく解説しています。プリント全体の作業時間や、どの工程に時間がかかるかは後工程ガイドをご覧ください。
4辺の切り方:余白を残す
なぜ4辺を切るのか
糊付けを終えたシートをよく見ると、外側にうっすらと白い糊がついています。糊シートを剥がす作業で、どうしてもついてしまう部分です。幅は外側から2〜3mmほど。このままプレスすると、生地に四角い枠のような白い跡がついてしまいます。それを防ぐために、4辺を切り落とします。

デザインぎりぎりに切らない
大事なのは、デザインと切る線の間に余白を残すことです。ぎりぎりで切ってしまうと、あとで生地から転写紙を剥がすときにつまむ余白(遊び)が少なくなり、デザインの一部が紙のほうに残ってしまうことがあります。
といっても、4辺すべてに広い余白はいりません。4方向のうち1か所でも余白があれば、そこから剥がせば十分です。剥がすのが苦手な方は、まず切るときの余白を少し多めにしてみてください。


※ハサミ・カッター・裁断機で4辺カットの時間を比べた結果は、4辺カットは裁断機で|22分→6分にまとめています。枚数が多い場合は裁断機がおすすめです。
生地へのプレス:段差をなくす
生地にプレスするときは、段差をなくすことが大切です。Tシャツの胸にプレスする場合、いちばん高くなるのは襟ぐりです。襟ぐりが高いと、プリントしたい部分の圧力が弱くなってしまいます。
対策は、プリントしたい部分の下にマットを敷いて高くするか、襟ぐりをプレス機の下ゴテから外してしまうことです。基本はプリントしたい部分をいちばん高くしてプレスする、と覚えてください。

※下ゴテにかぶせる理由や圧力の考え方はTシャツプレスの基本、マットの選び方はプレス用マットの記事で詳しく解説しています。
冷まし方:裏返して冷ます
この記事でいちばんお伝えしたいのが冷まし方です。プレスしたあと、多くの方は転写紙を上にしたまま置いて冷ましていると思います。おすすめは、生地ごと裏返して、転写紙の面を下にして冷ますやり方です。
転写紙を上にして冷ますと注意
転写紙は冷めていく間に、余白の部分から上へ反るようになります。この上に行こうとする力に引っ張られて、端のほうのデザインの定着が少し甘くなることがあります。

裏返して冷ませば、反りを押さえられる推奨
対処法は簡単で、裏返すだけです。転写紙の面が下になると、紙の反ろうとする力を生地の重みで押さえつけられるので、次の剥がす作業もとてもやりやすくなります。剥がす工程でうまくいかなかったお客様の多くは、転写紙を上にして冷ましていました。当社の感覚では、これだけで剥がす工程のトラブルの8割方はなくなると考えています。

冷ます時間と場所
- 時間の目安は10分以上(現行の説明書。動画でも10分置きました)
- 手で触って、プレスの熱の余韻がなければ冷めています
- 冷ます場所は、プレス機など熱い場所の近くを避けて、少し涼しい場所に置きます

剥がし方:生地を押さえて剥がす
完全に冷めたら、4辺を切るときに余白を残した側から剥がし始めます。
1点を押さえて一気に剥がさない注意
ショールームで初めて作業される方の多くは、片手で1か所を押さえたまま、もう片方の手でがばっと剥がすやり方をされます。これでも剥がれることは剥がれますが、剥がし進めるほど押さえた所から生地が引っ張られて伸びてしまいます。生地と紙が突っ張った状態になり、そこで転写不良になる可能性があります。
紙を少し上げ、生地を下に押さえる推奨
おすすめは、右手で紙を少し上に上げながら、左手で生地を下に押さえるやり方です。紙を剥がすというより、生地を下に押さえてずらす感じです。こうすると生地が伸びないので、紙の反発で転写不良になることはほとんどありません。
コツは、右手と左手の間隔をできるだけ狭くしておくこと。剥がし進めるのに合わせて、左手も追いかけていきます。A4でもそうですが、A3のように大きなデザインでは、なおさら大事になります。

エッジ(角)が欠けるときは、剥がす入り方を変える
お客様から「文字の角(エッジ)が少し欠ける」というご相談をいただいたことがあります。当社では再現できなかったのですが、動画では、角の部分からいきなり剥がし始めることを欠けやすい原因として挙げています。四角い転写紙だと自然と隅から剥がしたくなりますが、エッジの欠けが気になる場合は、隅から斜めに入るのではなく、横の辺から剥がし始めてみてください。
このお客様は、転写紙を上にして冷ましていました。裏返して冷ますことと、4辺を切るときの余白を少し多くすることを試していただいたところ、エッジの欠けも少なくなったとご報告をいただいています。

糊付け(トリミング)のよくある失敗
ここで少し前の工程に戻ります。当社では、印刷シートから糊シートを剥がして糊をのせる作業を「トリミング」と呼んでいます。抜ける転写紙の作業でいちばんのポイントになるのが、このトリミングの成否です。2017年の動画で紹介した、初めての方によくある失敗例は次の3つです。
- 失敗例1:空中でトリミングする。プレス台から持ち上げて、宙に浮かせたまま剥がす
- 失敗例2:プレス台から移動してトリミングする。作業台などに移してから剥がす
- 失敗例3:トリミングのスピードが速すぎる
3つとも、主な原因はシートが冷めていることと、トリミングが一定の速度でないことです。シートが熱いうちに、熱いプレス台の上で、焦らず一定の速度で剥がすのが正しいやり方です。

同じ動画では、糊付けが終わった印刷シートを光に照らすと、糊がついているかを確かめられることも紹介しています。プレスする前に確認しておくと安心です。
※2017年の動画は当時の仕様で、プレス条件は125℃・表裏20秒(A4)でした。現行の説明書では135℃で、A4は表裏20〜30秒、A3は表裏30〜40秒です(説明書の記載。当社FAQでは表裏30〜40秒と案内しており、糊が付きにくいときは長めに)。最新の手順と、2024年6月の動画で分かった3つのポイントはタイプWの剥がし方(糊のつけ方)完全ガイドをご覧ください。
不要な白い糊の取り方と予防
プリントの作業を長く続けていると、細かいミスはどうしても出てきます。よくあるのが、4辺を切り忘れて、生地に四角い白い糊の枠がついてしまうミスです。白い糊がつく原因には、ほかにも次のようなものがあります。
- 4辺の切り忘れ
- リケイ紙(シリコン紙)に糊がついていて、それが生地に移る
- プレス機(上の熱板や下のテフロンシート)についた糊が生地に移る

取り方:エタノールをかけてこする
- 消毒用エタノール(アルコールの入ったもの)と、布を用意します
- 作業は仕上げプレスをしてから行います
- 白い糊の部分にエタノールをかけます
- 布の上から爪を立てるような感じでこすると、糊が取れていきます
- 動画では約10分この作業をして、四角い枠が目立たなくなりました(厳密には、まだ少し残っています)

予防:リケイ紙とプレス機を清潔に
- トリミング用と転写用で、リケイ紙を分けて保管する。トリミングの作業中にリケイ紙に糊がつくことがあり、目で見て判断するのは難しいためです
- プレス機の下のテフロンシートを拭く、または裏返して使う
- 上の熱板をエタノールで拭いて掃除する。熱板に糊がついているパターンも多くあります
- プレス作業をする日は毎朝掃除する(当社の本社では毎日行っています)

失敗と原因の早見表
| 症状 | 主な原因 | 対策 |
|---|---|---|
| デザインのまわりに四角い白い枠がつく | 4辺の切り忘れ。リケイ紙やプレス機についた糊 | 4辺を切る。リケイ紙を分ける。熱板・テフロンシートを掃除。ついた枠はエタノールでこする |
| デザインの一部が転写紙に残る | 余白がなく剥がしにくい。冷まし方で端の定着が甘い | 1か所は余白を残して切る。裏返して冷ます |
| 端のデザインの定着が甘い | 転写紙を上にして冷まし、紙の反る力で引っ張られた | 生地ごと裏返し、転写紙の面を下にして冷ます |
| 剥がすときに生地が伸びて転写不良 | 1点を押さえて一気に剥がした | 紙を少し上げ、生地を下に押さえる。両手の間隔を狭く |
| 文字の角(エッジ)が欠ける | 角から勢いよく剥がし始めた | 横の辺から剥がし始める。裏返して冷ます。余白を多めに |
| プリントしたい部分の圧が弱い | 襟ぐりなどの段差 | プリント部分をいちばん高くする(襟ぐりを下ゴテから外す・マットを敷く) |
| 糊付けで糊がつかない部分が出る | シートが冷めた。剥がす速度が一定でない | 熱いうちにプレス台の上で、一定の速度で剥がす |
注意点
この記事のやり方は、当社が推奨するかなり慎重な、教科書的なやり方です。正直に言うと、ここまで意識しなくても、多くのお客様はうまくプリントできています。ただ、少数ながらトラブルのご報告もあるため、うまくいかないときに見直すポイントとしてまとめました。
また、この記事の「完全に冷めてから剥がす」は、抜ける転写紙タイプWのやり方です。転写紙の種類によって、冷ます・剥がすの手順や温度は違います。お使いの転写紙の説明書に従ってください。タイプWの商品ページでは、強撥水生地には使えないことも案内しています。
よくある質問
- 抜ける転写紙の4辺は、なぜ切る必要があるのですか?
- 糊付け(トリミング)の作業で、シートの外側2〜3mmにどうしても白い糊がついてしまうためです。切らずにプレスすると、生地に四角い枠のような白い跡がつきます。切るときはデザインぎりぎりにせず、4方向のうち1か所は余白を残すと、あとで剥がしやすくなります。
- 生地にプレスしたあと、どれくらい冷ませばいいですか?
- 現行の説明書では10分以上置くよう案内しています。手で触ってプレスの熱の余韻が残っていないことも確かめてください。プレス機など熱い場所の近くを避けて置いてください。
- 冷ますときは転写紙を上と下、どちらにすればいいですか?
- 生地ごと裏返して、転写紙の面を下にして冷ますのがおすすめです。転写紙を上にすると、冷める間に紙が反り、その力で端のデザインの定着が甘くなることがあります。下にすれば、反る力を押さえられます。
- 剥がすときに生地が伸びてしまいます。
- 1か所を押さえたまま一気に剥がすと、生地が引っ張られて伸びます。右手で紙を少し上げながら、左手で生地を下に押さえ、両手の間隔を狭く保って剥がしてください。
- 4辺を切り忘れて白い枠がついてしまいました。取れますか?
- 仕上げプレスのあと、消毒用エタノールをかけて、布の上から爪を立てるようにこすると目立たなくなります。動画では約10分の作業で枠が目立たなくなりました。湿っている間は目立ちにくいので、1日置いて乾かしてから検品してください。
- 4辺を切ったのに白い糊がつくのはなぜですか?
- リケイ紙やプレス機の熱板・テフロンシートについた糊が、生地に移っている可能性があります。トリミング用と転写用でリケイ紙を分け、熱板やテフロンシートをエタノールで拭いて、プレス作業をする日は毎朝掃除してください。
この記事のもとになった動画
抜ける転写紙の4辺の切り方・冷まし方・剥がし方を徹底解説(2021年12月28日公開)
【抜ける転写紙】プリントでついてしまった不要な白糊の除去方法 業者様向け白トナープリント講座(2021年8月25日公開)
抜ける転写紙 トリミングのコツ よくある失敗例 解説編 MPプラスターType-Wにて(2017年4月15日公開。プレス条件は当時の仕様)
うまくいかないときは、写真を送ってご相談ください
白トナープリンタをご検討中の方には、抜ける転写紙の無料サンプルをお送りしています。
東京・大阪・福井のショールームでは、4辺カットからプレス・剥がしまで実際にご覧いただけます。
※本記事の商品情報は2026年10月時点のものです。動画内のプレス条件は撮影時の商品の仕様によるもので、現在の商品とは異なる場合があります。作業の際は必ずお手元の商品の説明書をご確認ください。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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