白トナープリンタで
デカール・ステッカーを作る
白トナープリンタは、Tシャツなどのウェアだけのものではありません。当社の白トナープリンタを導入いただいた方の中には、プラモデルやミニカーに貼るオリジナルのデカールを作るために使っている方が複数いらっしゃいます。また、お客様から「ステッカーは作れますか?」というお問い合わせも、年々増えています。
この記事では、当社のYouTube動画3本の実演をもとに、白トナープリンタWTRIP835で水転写デカールを印刷して貼る手順、市販のレーザープリンタ用ラベルシールでステッカーを作り、屋外に約20日貼った結果、そしてカッティングマシンで形に切り抜く方法を、できることと限界の両方からまとめます。
- WTRIP835で、ハイキューパーツさんのクリアデカールTHに印刷できる。CMYの3色の下に白が全面に入るので、透明なデカールでも絵柄が出る
- 貼り方は、水に約30秒→のりを塗った場所にのせる→約30秒でフィルムが外れる→濡らした綿棒で空気を抜く。ピンセットは必須
- 白や薄い色の下地はきれい。濃い色の下地では発色が少し弱くなる(白の隠ぺい力の限界)
- ステッカーは、市販のレーザープリンタ用ラベルシールにCMYKで印刷して作れる。屋外に約20日貼ると、保護フィルムありはほぼ影響なし、なしは光沢が落ちて色が少し変わった
- 弱点は切る手間。抜ける転写紙のように印刷した部分だけにのりが付くわけではないので、ハサミ・カッターか、スキャンカットなどのカッティングマシンで切る
白トナーで作るデカールとは
ここでいうデカールは、プラモデルなどに貼る水転写式のシールです。台紙に印刷したデカールを水に浸すと、表面の薄いフィルムが台紙から外れ、それを貼りたい場所に移して使います。

当社の白トナープリンタは、動画公開当時で累計約800先に導入いただいていて、その中にデカール用途で導入された方が複数いらっしゃいます。よく使われているのが、ハイキューパーツさんのデカールシートです。今回の動画は、ハイキューパーツさんから商品紹介の許諾をいただいて制作しました。
使ったシート:ハイキューパーツ クリアデカールTH
動画で使ったのは、ハイキューパーツさんのクリアデカールTHです。パッケージには「B5サイズ・6枚入」「家庭用レーザープリンター専用」と書かれています。透明なデカールなので、そのまま印刷すると、下地の色が透けて絵柄が見えにくくなります。
白トナープリンタでは、CMYの3色の下に白トナーを重ねて印刷します。データは正像(反転しない向き)で、イラストの裏側全面に白が入るイメージです。

白トナープリンタを持っている方は、デカールシートを使えば、オリジナルのデカールシートを作って販売する、お客様のプラモデルに貼るところまで請け負うといった、Tシャツ以外の仕事にも広げられます。
デカールの貼り方:準備物と手順
当社は普段、服のプリントをしている会社です。今回はデカールに詳しくない方向けに、YouTubeなどで貼り方を学んだうえで、最低限の道具で実際に貼ってみました。

| 準備物 | 動画での説明 |
|---|---|
| 印刷したデカール | ハイキューパーツさんのクリアデカールTHにWTRIP835で印刷したもの |
| ピンセット | 非常に重要。指で扱うとフィルムが破れることがある |
| デカールのり | タミヤさんのデカールのり。普通のものと軟化剤入りがある。動画撮影時、量販店で1本約300円 |
| 水を入れた器 | デカールを浮かべる |
| 綿棒 | 少しとがったものが使いやすい。水を含ませて使う |
手順
- 貼りたい絵柄の部分を切り分け、水の上に置く。時間は30秒ほどが目安
- 待っている間に、貼る場所にデカールのりをしっかり塗る。曲面に貼るときは軟化剤入りが向いている
- 30秒たったら、デカールを台紙ごと貼る場所に置く
- さらに30秒ほどで、フィルムが台紙から外れるようになる。ピンセットで台紙を外し、位置を合わせる
- 水を含ませた綿棒で、気泡や空気を押し出しながら貼り付ける。乾いた綿棒ではなく濡らして使うと、破れを防げる
- 位置を整えたら、乾燥させて完成


2つ目の貼り付け(紫のミニカーの星のデカール)は、立体があまり大きくない場所だったので、動画では「軟化剤入りでなく、通常の強めののりでもよいかもしれない」と話しています。水分は、べちゃべちゃにするほどでなくてよいものの、綿棒に結構含ませるとよいようです。仕上げにクリアのラッカーを塗ることもできます。
下地の色で、デカールの仕上がりが変わる
透明なフィルムに白を重ねて印刷しても、白が下地の色を完全に隠すわけではありません。動画では、OHPフィルムにも同じように印刷して、CMYKの裏に白が載っている様子を見せています。デカールの仕上がりは、基本的にこの白の隠ぺい力で決まると考えてください。

| 貼った下地 | 動画での結果 |
|---|---|
| 白・グレー | 問題なし。グレーのトラックの赤いハート、白いケースの絵柄はきれいに出た |
| 青 | 白い部分が青の影響を受けた |
| 紫 | 紫の影響を受けた |
| 赤 | 赤の影響を受けた |
動画では、約39万円の白トナープリンタ(WTRIP835)では白の隠ぺいに限界がある、という評価もいただいていると話しています。濃い色の下地でもっとはっきり見せたい場合、当社の見解では現状100万円以上の白トナープリンタが必要です。一方で、白や薄い色の下地に貼るデカールなら、WTRIP835でもお役に立てることが多くあります。
ラベルシールでステッカーを作る
ここからはステッカーです。これまで当社にシールの取り扱いがなかったため案内できていませんでしたが、WTRIP835でもステッカーシールは作れます。動画では、他社のレーザープリンタ用ラベルシールを使いました。

| 使ったシート | 内容(動画撮影時) |
|---|---|
| A-oneさん サインラベルシール(保護フィルムあり) | A4サイズ5枚で約1,500円。屋外でも使いやすい保護フィルムが付いている |
| A-oneさん サインラベルシール(保護フィルムなし) | A4サイズ10枚で約1,000円 |
作り方は3ステップ
- プリンタからシートに印刷する:白いラベル用紙なので白トナーは使わず、ブラックとホワイトのトナーを入れ替えたCMYKの通常印刷で、厚紙のモードで印刷
- 保護フィルムを貼る(フィルムなしでもよい):フィルムの端をめくって位置を合わせ、裏を少しずつ外しながら、定規をスキージー代わりに押し付けて空気を抜く。多少入った空気は後から抜けば大丈夫
- 切って貼る:ハサミやカッターで形に切る

注意したいのは切る工程です。Tシャツで使う抜ける転写紙のように、印刷した部分だけにのりが付くわけではないので、形どおりに切り抜く必要があります。四角などカッターで切れる形ならよいのですが、細かいイラストをハサミで切るのは難しく、カッティングマシンか手切りになります(6章)。
屋外に約20日貼ったステッカーの結果
作ったステッカーを5月20日に店舗の扉(屋外)に貼り、野ざらしのまま6月10日に撮影しました。撮影日は雨が降っていました。


| 条件 | 約20日後(動画での評価) |
|---|---|
| 保護フィルムあり・屋外 | そんなに影響を受けていない。色の変化は少ない印象 |
| 保護フィルムなし・屋外 | 光沢がなくなった。色合いは多少変わったが、そこまで悪くない |
| 保護フィルムなし・屋内 | 雨の影響を受けないので、フィルムなしでも十分 |
結論として、屋外に貼るなら保護フィルムあり、屋内ならフィルムなしでも十分です。動画では、トナーは一般に耐光性があるといわれていることにも触れています。
※耐久性の評価は、約20日間・1か所の屋外テストでの動画撮影時の結果です。それより長い期間や、日差しの強い場所・車体などでの耐久性は確かめていません。
一般的なステッカーとの違い
一般に販売されているステッカーの多くは、溶剤インクジェットプリンターで作られています。耐久性は非常に優れていますが、プリンターが高額で、100万円以上かかるイメージです。ちょっとしたステッカーを作りたい方には向きません。
白トナープリンタは、Tシャツもきれいにプリントでき、ある程度のステッカーも作れます。大量生産ではなく、小ロットで幅広いものを作りたい方にとっては、選択肢が広がる方法です。
スキャンカットで、ステッカーの形に切り抜く
ハサミで切るのが難しいイラストは、カッティングマシンを使うときれいに切れます。動画では、Brother(ブラザー)さんのスキャンカット CM110を使いました。
| 項目 | 動画での内容 |
|---|---|
| 機種 | Brother スキャンカット CM110(2013年12月発売の古いモデル) |
| 入手 | 撮影時、同じ機種は新品では見当たらず、中古で3万円程度で販売されていた。当社では取り扱っていない |
| 操作 | ダイレクトカット。マットにシートを置いてスキャンすると、外側のカットラインが自動で出る。パソコンにつながず本体だけでできる |
| 時間 | シート1枚で約2分40秒 |
| 設定(動画の画面) | カット速さ 3/カット圧力 −2 |

保護フィルムの有無で、切れ方が変わった
同じ設定で切ったところ、保護フィルムなしのシートは台紙まで完全に切れて、ステッカーがばらばらになりました。マットから外すときに、粘着で一部が持っていかれた所もあります。保護フィルムありのシートは、台紙を残したハーフカットになり、ステッカーとしてそのまま使える仕上がりでした。

カットの圧を強めると全部切れ、弱めるとハーフカットになります。シートに合わせて、ハーフカットになる圧を見つけるのがポイントです。
向かないケースと注意点
- 濃い色の下地に貼るデカール:WTRIP835の白は下地の色を完全には隠せず、発色が弱くなります。濃い色の下地が中心なら、事前にサンプルで確かめてください。
- 長期間・過酷な屋外で使うステッカー:今回の屋外テストは約20日です。耐久性を最優先するなら、溶剤インクジェットで作るステッカーのほうが優れています。
- 大量のステッカー:白トナープリンタのステッカーは、小ロット向けの方法です。切る工程(手切り・カッティングマシン)にも手間がかかります。
- 使った用紙は他社の市販品:クリアデカールTH、ラベルシール、デカールのり、スキャンカットは、いずれも当社の商品ではありません。動画で試したもの以外の用紙は、当社では動作を確かめていません。
動画内の価格・機種の販売状況は、撮影時のものです。デカールの印刷サンプルについて、動画公開当時は、ハイキューパーツさんのデカールシートとデータをお送りいただければ、印刷してお返しし、評価いただく対応をしていました。現在の対応はお問い合わせください。
よくある質問
- 白トナープリンタで、プラモデル用のデカールは作れますか?
- 作れます。動画では、白トナープリンタWTRIP835でハイキューパーツさんのクリアデカールTH(水転写式のデカールシート)に印刷し、ミニカーやケースに貼りました。CMYの3色の下に白が全面に入るので、透明なシートでも絵柄が透けにくくなります。当社の白トナープリンタをお持ちの方の中にも、デカール用途で導入された方が複数いらっしゃいます。
- 濃い色のプラモデルにも、きれいに貼れますか?
- 貼れますが、下地が濃い色だと発色が少し弱くなります。動画では、白やグレーの下地では問題なく、青・紫・赤の下地では下地の色の影響が見えました。WTRIP835の白の隠ぺい力には限界があり、薄い色の下地のほうが向いています。
- ステッカーを作るときも、白トナーを使いますか?
- 動画では白トナーは使っていません。白いラベル用紙に刷るので、ブラック(K)とホワイト(W)のトナーを入れ替えてCMYKの通常印刷にし、厚紙のモードで印刷しています。WTRIP835は、KとWを入れ替えて使う仕様です。
- レーザープリンタ用のラベルシールで作ったステッカーは、屋外で使えますか?
- 動画では、5月20日に店舗の扉に貼り、6月10日(約20日後、雨の日)に確かめました。保護フィルムを貼ったものは、ほとんど影響を受けていない印象で、フィルムなしは光沢がなくなり、色が少し変わりました。屋外なら保護フィルムあり、屋内ならフィルムなしでも十分、というのが動画の結論です。20日より長い期間の耐久性は、この動画では確かめていません。
- ステッカーの形に切るには、ハサミしかありませんか?
- 四角などはカッターで切れますが、複雑な形はハサミでは難しくなります。動画では、Brother(ブラザー)さんのカッティングマシンスキャンカット CM110で、印刷したシートを読み取り、外形だけをハーフカットしました。パソコンにつながず本体だけで操作でき、シート1枚が約2分40秒で切れました。スキャンカットは当社では販売していません。
- デカール用紙やラベル用紙は、クイックアートで買えますか?
- 動画で使ったハイキューパーツさんのクリアデカールTH、A-one(エーワン)さんのラベルシール、タミヤさんのデカールのりは、いずれも他社の市販品です。それぞれのメーカーや販売店でお求めください。
この記事のもとになった動画
【オリジナルデカール作製】ハイキューパーツさんのデカールシートを白トナープリンタWTRIP835で印刷→貼り付け(3本のうち最も新しい動画。累計800台の時期)
【耐久性実証】レーザプリンタでのステッカーシールの作り方について 業者様向け白トナープリンタ講座(屋外テストは5月20日貼り付け・6月10日撮影。価格は動画公開当時)
【実証解説】ステッカーをレーザプリンタとスキャンカットで作ります業者様向け白トナープリンタ講座(耐久性実証の動画の続き。中古価格は撮影時)
ウェア以外のプリントも、白トナーで広げませんか
白トナープリンタWTRIP835は、本体390,000円(税別・2026年10月時点)。
東京・大阪・福井のショールームで実機をご覧いただけます(完全無料・要予約)。
※クリアデカールTH(ハイキューパーツ)、サインラベルシール(A-one)、デカールのり(タミヤ)、スキャンカット(Brother)は他社の商品です。動画内の価格・販売状況は撮影時のものです。
メーカーの売り文句ではなく、現場で刷って、売って、サポートしてきた事実だけをお伝えします。


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